目次
1. 葉わさびとは?茎わさびや花わさびとの違いも確認

まず、わさびとはどのような植物なのであろうか。われわれが通常目にするわさびは、ペーストや粉状のものが大半である。まずは、植物としてのわさびについて、それぞれの部位の特徴、形状に注目してみよう。
葉わさびとは
わさびはアブラナ科に属する多年草である。日本特産であり、山間部の渓流に育つという特徴を有している。わさびの葉はハート形をしており、直径が8~10cmほどになる。葉面は無毛でつやがある。葵の葉にも似ているため、山葵の字があてられるともいわれている。根わさびと違い、葉わさびはすり下ろさずに歯ごたえのよさを楽しめる。
葉わさびと茎わさび・花わさびの違い
わさびはまた、茎や花も食用になる。茎わさびはその名のごとくわさびの茎をカットしたものである。場合によっては、葉わさびの一部となっていることもある。茎わさびは劣化が早いため、通常は市場に出ることが少ない。わさびはまた、花も食用となる。いかにも山に咲く花らしく、白色の可憐さが好ましい。湯通ししておひたしにしたり、天ぷらにして食べるレシピがよく知られている。
葉わさびの旬の時期
わさびは3~5月にかけて地上茎が伸びるため、葉わさびの旬は春とされている。花わさびは、開花する2月の中旬から楽しめる食材である。日本で有数のわさびの産地といえば、静岡県、長野県、岩手県などが知られている。
2. 葉わさびとわさび菜は同じもの?それとも別もの?

名前の中にわさびという文字があるわさび菜。葉わさびと混同しがちであるが、2つの食材はまったく別のものである。なぜわさび菜にはこの名がついているのかも含め、2つの野菜の違いについて説明する。
わさび菜はからし菜の一種で葉わさびとは別物
葉わさびもわさび菜も、アブラナ科に属することでは共通している。いずれも辛味を有する野菜であるが、わさび菜はカレー粉などにも使用されるからし菜の一種である。わさび菜の辛味は、鼻にツンと抜けるような特徴があることからこの名がついたようである。わさびは、古来日本に自生する植物であったが、わさび菜は九州で栽培されていたからし菜から生まれた新しい品種である。
外観も異なるわさび菜と葉わさび
2つの野菜は形状も異なる。葉わさびは艶のある緑色でハート形を呈しているが、わさび菜は波打つフリルのような姿で黄緑色である。また、葉わさびはお浸しや天ぷらなどにして加熱して食べるのが基本であるのに対し、わさび菜はサラダ感覚で生で食べることが可能である。つまり2つの食材は、葉の柔らかさや食感もまったく異なるといっても過言ではないのである。
3. 葉わさびや茎わさびを美味しくする料理のコツ

ツンとした辛味が魅力の葉わさびや茎わさび。これらを入手しても、食べるためには下処理が必須である。その独特の食味や風味をより生かすためのコツを紹介する。
葉わさびは下処理後に時間を置くのがコツ
わさびの辛味は大人仕様。どうせならばより刺激的に楽しみたいものである。そのためには、塩をまぶしてあく抜きをするのが手順の第1である。葉わさびや茎わさびを茹でて下処理したあと、すぐに食さずに密封容器に入れたり、ラップにくるんでしばらく時間を置くのがベターである。いずれの場合も3時間ほど置くと、辛味は強くなる。ラップよりも密封容器に保管したほうがより辛くなることも覚えておこう。
入手後すぐに調理するのもコツ
茎にしろ葉にしろ、わさびは日が経つほど風味が飛んでしまう。なるべく2、3日を目安に食べきることをおすすめする。長期保存をする必要がある場合は、下茹でを済ませたうえで冷凍することも可能である。ただし、香りやシャキシャキとした歯ごたえは少なからず失われると思ったほうがよい。また、醤油漬けにして長期保存をするのもひとつの手である。醤油漬けであれば冷蔵で約2週間、冷凍で約2ヶ月の保存が可能である。いずれの保存法も、漬け汁は風味の保持のために必要であることも覚えておこう。
4. 葉わさびや茎わさびの美味しい食べ方

凛冽な大自然の中で育つわさび。葉わさびや茎わさびをシンプルに美味しく食べるためのいくつかのアイデアを見てみよう。
葉わさびの美味しい食べ方
葉わさびは、根の部分に比べると辛味が薄いのが一般的である。より辛味を味わうために、塩をもみ込んであく抜きをするのがよいだろう。葉わさびの部分は、おひたしや天ぷら、みそ汁の具、薬味として美味しく食べることができる。
茎わさびの美味しい食べ方
傷みやすく入手が難しいとされる茎わさび。よく知られた食べ方には、醤油漬けや酢漬けが挙げられる。白いごはんには格好のおともである。また、炒めものや煮付けにも向いている。さまざまな料理において、よいアクセントとなるのが茎わさびなのである。
5. 葉わさびや茎わさびの栽培方法

葉わさびや茎わさびは、なかなか手に入らないのがデメリットである。それでは、家庭での栽培は可能なのであろうか。わさびの自宅栽培について見てみよう。
陸わさびであればいける
われわれが通常口にする沢わさびは、1年を通して安定した気温と美しい水が栽培条件である。一方、葉や茎を食べることを主目的とする畑わさびであれば自宅での栽培も可能である。保水性がある土壌や日照条件などをクリアした場合は、5~6月にかけて種をまき株分けしていく。葉や茎の部分は、年間を通して収穫が可能である。
6. 通販できる?葉わさびや茎わさびの購入方法

スーパーには出回りにくい葉わさびや茎わさびは、果たして通販で購入することは可能なのであろうか。その入手方法を見てみよう。
栽培地から産地直送での購入が可能
栽培条件が厳しいわさびは、通常のスーパーではお目にかかりにくい食材である。しかし、通販ならば葉も茎も入手できる。茎はとくに傷みやすいといわれているため、葉わさびに比べると大手の通販サイトでも量は多くない。しかし、わさびの特産地からの取り寄せは可能である。その年の気候によっても出荷の状況は異なるため、わさび販売の専門サイトに直接問い合わせるのもよいだろう。
結論
チューブ状のわさびにしか触れる機会がない人も多いかもしれないが、わさびは葉や茎、そして花の部分も食用可能な植物である。根ほどではないもののそれぞれの部位にピリッとした辛味があり、独特の食感を味わうことができる。また、葉や茎を味わうのであれば自家栽培ができる可能性もある。ぜひ日本古来の美味として堪能してほしい。