1. 南高梅はほかの梅と何が違う?

偶然の発見から生まれた?
南高梅は、梅の三大産地の一つである和歌山県で生産されているブランド梅である。大きい実でありながら種は小さく、皮も薄いのが特徴だ。和歌山県みなべ町で生まれた南高梅は、ブランド梅になるまでに長い年月がかかった。最初の南高梅は偶然の発見だった。明治35年、高田貞楠氏は育てていた梅の中に、ひと際大きい梅が実っている木を見つけたという。高田氏はこの梅のなった木を栽培し、「高田梅」と名付けたとされている。
ブランド梅となるまでの軌跡
1951年に「梅優良母樹種選定会」が発足されると、高田梅も研究対象となった。南部高校の教諭であった竹中勝太郎氏を筆頭に5年にわたる調査が行われ、その結果、優良種として高田梅が選定された。ここで初めて、高田梅はブランド梅となるのだが、その際に調査を行なった竹中氏が所属する南部高校の功績も含め、「南高梅」と名を変えた。そして南高梅は、現在も和歌山県みなべ町、田辺町で生産され続け、紀州ブランド梅として確固たる地位を築いている。
2. 南高梅の美味しい時期と選び方

栽培技術が進歩した現代においても、梅が流通するのは6月の梅雨の時期のみと短い。南高梅が市場に出回るのも6月が中心だが、気候によっては5月下旬や7月上旬にも流通する場合もある。梅は加工目的によって、青梅の状態で収穫するか、黄色く完熟した状態で収穫するかを変える。南高梅の場合は完熟した状態で収穫され、そのまま流通するため、全体が黄色く熟しているものの方が美味しい。また、果肉が柔らかい南高梅は傷がつきやすい。傷ついた部分から味が落ちていくため、傷がないことも選ぶ際の重要なポイントだ。ブランド梅であるため、きちんと梱包された状態で流通しているが、自分の目で確認することも、美味しい南高梅を選ぶ際には欠かせない。
3. 南高梅の美味しい食べ方とは?

果肉が柔らかく、熟した状態で手に入る南高梅は、梅干しにして食べるのが最適だ。梅干しといえば真っ赤なものをイメージするが、家庭で初めてチャレンジするならば白梅干しがおすすめ。白梅干しとは、梅干しを赤く染める「しそ漬け」の工程を省いて作った梅干しを指す。
白梅干しの作り方
買ってきた南高梅を軽く洗い、竹串でヘタを取る。密閉できる瓶、またはジップロックに南高梅と塩、焼酎を入れ、梅雨明けまで漬けておく。梅雨が明け、晴れの日が続くようになったら、天日干しを3日間行い、完成。梅干しを作るときに注意するポイントは、梅を傷つけないことだ。特にヘタ取りを行うときに、竹串で誤って身を傷つけてしまうこともあるため、細心の注意が必要だ。
南高梅の果肉の柔らかさを味わうならば梅干しが最適だが、梅シロップや梅ジャムにしても美味しく食べられる。梅シロップであればおよそ1週間、梅ジャムであれば1日で作れるため、早く味わいたいときにはおすすめだ。
南高梅の果肉の柔らかさを味わうならば梅干しが最適だが、梅シロップや梅ジャムにしても美味しく食べられる。梅シロップであればおよそ1週間、梅ジャムであれば1日で作れるため、早く味わいたいときにはおすすめだ。
結論
現在でも多くの梅農家で栽培されている南高梅は、美味しい梅を次世代へ残そうという人たちの思いで作られた梅だ。果肉の柔らかさと皮の薄さは、梅をそのまま食べる梅干しには最適であるため、高級ブランド品として、いまも人々に愛されている。梅干しに加工されて流通することが多い南高梅だが、自分で梅干しを作ってみるのも面白い。梅雨の時期になったら、南高梅を漬けつつ夏の到来を待つのも、季節の楽しみ方の一つだろう。