1. 青唐辛子とは

唐辛子にはさまざまな種類があるが、青唐辛子とは具体的にどのような唐辛子を指すのだろうか?まずは基礎知識から簡単に身につけていこう。
赤く色づく前に収穫されたもの
青唐辛子は、赤唐辛子になる前に収穫されたものを指す。日本で唐辛子といえば赤だが、アフリカ周辺では青唐辛子が主流といわれている。旬は7〜9月頃とされ、和・洋・中問わずさまざまなジャンルの料理に使える食材だ。
ししとうとの違いは?
青唐辛子もししとうも、ナス科トウガラシ属の野菜である。そのうち辛みがない品種をししとう、辛みがある品種を唐辛子と呼んでいる。ただし、ししとうも栽培の過程でストレス(水分不足など)を受けた個体は辛くなる場合がある。
青唐辛子の辛さは?
辛い個体とそうでない個体があるが、早めに収穫することから赤唐辛子と比べて風味と辛味がやや弱いとされる。ワタの部分がとくに辛いため、辛さが苦手な方は取り除くのがおすすめだ。ただし、種やワタを取り除く作業中、顔や目に触れるのは厳禁である。場合によっては激しい痛みが長時間続くなど刺激があるためだ。種やワタを取り除いたあとは、重点的に石鹸で手を洗うことが重要なので覚えておこう。ちなみに、唐辛子の辛味成分は油に溶ける性質があるので、油を使って洗い流すのもおすすめである。
主な使われ方
カレーのスパイスやパスタのアクセントなどに使用されることが多い。また種を取り除いた青唐辛子と、青柚子の皮を混ぜて「柚子胡椒」にしたり、山椒の実と混ぜて「山椒唐辛子」を作ったりするほか、南蛮味噌に使われたりもする。
辛いかどうかは見分けがつかない?
辛い唐辛子と辛くない唐辛子は見た目が似ており、外見上区別するのが難しい。購入する際は間違えないよう、辛い種類かどうか確認しておくと安心だ。
2. 青唐辛子のカロリーと糖質

青唐辛子のカロリーと糖質はどれくらいあるのだろうか?文部科学省「食品成分データベース」(※1)に掲載されている「とうがらし(果実・生)」の数値を紹介しよう。
青唐辛子100gあたりのカロリーと糖質
- エネルギー:96kcal
- 糖質:6g
炭水化物量から食物繊維量を引いたものを糖質としている。ちなみに「とうがらし(果実・乾)」では100gあたり345kcal、糖質は12gとなる(※2)。青唐辛子1本あたりの重さは約5gなので、エネルギーは4.8kcal程度である。取り立てて高カロリーという食材ではないが、糖質がやや多い印象を受ける方もいるかもしれない。しかし1食あたりに使用する青唐辛子はせいぜい5〜10g程度なので、ダイエット中の方でもそれほど糖質を気にしなくてよいだろう。
低カロリー・低糖質だが食べ過ぎには注意
青唐辛子は一度に食べる量が少ないため、カロリーや糖質を抑えられる。そのうえビタミンなども豊富に含まれていることから、食生活に取り入れようと考えている方も多いだろう。しかし食べ過ぎにだけは注意しよう。胃の粘膜が損傷したり下痢になったりするおそれがある。また舌に辛さと痛みを感じ、ほかの料理の味が分かりにくくなることもある。適度な摂取にとどめ、辛いものが苦手な方はごく少量とするか、無理な摂取は控えたほうがよいだろう。
3. 青唐辛子のカロリーや糖質以外の栄養と効能

青唐辛子には辛味の元となるカプサイシンをはじめ、ビタミンCやビタミンEといったビタミン類も豊富に含まれている。ここでは青唐辛子から摂取できる栄養素と効能について紹介していく。なお数値は文部科学省「食品成分データベース」(※1)によるものだ。
生の唐辛子100gあたりの主な栄養一覧
- 水分:75.0g
- たんぱく質:3.9g
- 脂質:3.4g
- 炭水化物:16.3g
- ナトリウム:6mg
- カリウム:760mg
- カルシウム:20mg
- マグネシウム:42mg
- リン:71mg
- 鉄:2.0mg
- 亜鉛:0.5mg
- 銅:0.23mg
- マンガン:0.27mg
- βカロテン:6600μg
- ビタミンE(トコフェロールα):8.9mg
- ビタミンK:27μg
- ビタミンB1:0.14mg
- ビタミンB2:0.36mg
- ナイアシン:3.7mg
- ビタミンB6:1.00mg
- 葉酸:41μg
- パントテン酸:0.95mg
- ビタミンC:120mg
- 水溶性食物繊維:1.4g
- 不溶性食物繊維:8.9g
βカロテンやビタミンE・Cといったビタミン類が豊富であるほか、食物繊維も多く含まれている。主な栄養素と効能を解説しよう。
ビタミンE
ビタミンは体内でほとんど合成できないため、食べ物から摂取する必要がある。数あるビタミンのうち、活性酸素の発生を抑える「抗酸化ビタミン」のひとつがビタミンEだ。細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用が期待できる(※3・※4)。
ビタミンC
同じく抗酸化ビタミンに分類される栄養素で、ビタミンBとともに、体内で起こるさまざまな代謝に関わる「酵素」の働きをサポートする、水溶性ビタミンである。さまざまな野菜に含まれている栄養素で、カプサイシンとの相性がよい(※3・※4)。
食物繊維
便秘の改善や腸内環境の改善のほか、血糖値の急上昇を抑える働きや脂質および糖、そしてナトリウムなどを吸着して体外に排出する働きなどがある成分だ。肥満を始めとする生活習慣病の予防・改善といった効果が期待されている(※5・※6)。
βカロテン
強い抗酸化作用を持つ栄養素で、活性酸素の発生を抑えるだけでなく、活性酸素そのものを取り除く働きもあり、動脈硬化の予防や老化、がんの発生に効果があるといわれている。ヒトの体内で、抗酸化ビタミンのひとつビタミンAに変わる(※4・※7)。
カプサイシン
カプサイシンは辛味成分として有名で、ワタの部分にとくに豊富に含まれている。発汗作用が強いため、大量摂取した場合は汗をかくこともある。適量なら食欲増進などが期待できるが、摂り過ぎると粘膜が荒れるなどリスクもあるため、ほどほどにしておくことが大切だ(※8)。
4. 青唐辛子を使ったカロリーオフのおすすめレシピ

青唐辛子自体は低カロリーでも、合わせる食材や調味料によって摂取する総カロリーは大きく変化する。最後に、青唐辛子を使用したカロリーオフのおすすめレシピを紹介しよう。
青唐辛子のあんかけ豆腐
にんじんと青唐辛子を油をひいたフライパンで加熱し、火が通ったところで醤油・みりん・砂糖・塩などで味付けをする。最後に水溶き片栗粉を投入し、とろみがついたところでカットした木綿豆腐にのせれば完成だ。
青唐辛子の豚汁
じゃがいも・青唐辛子・にんじん・ごぼう・大根・豚肉を一口サイズに切り分ける。油をひいた鍋に投入し、ある程度火が通ったところで出汁を加える。アクを除去しながら煮込んでいき、最後にサラダ油を少し垂らして仕上げよう。
青唐辛子の牛肉しぐれ
牛肉を熱湯で茹でてザルに入れる。湯通しすることで肉の脂を抑えるのだ。次に油をひいたフライパンのにのせ、刻みネギ・青唐辛子を炒める。醤油・みりん・砂糖・塩で味付けすればできあがりだ。
結論
青唐辛子は赤唐辛子になる前に収穫されたものだ。赤唐辛子と比べると風味や辛さが劣るとされるが、それでも辛いことに変わりはない。βカロテンやビタミンE・C、それに食物繊維といった栄養価は高いが、一度に大量摂取するのは控えたほうがよいだろう。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_とうがらし_果実、生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06171_7 - 2:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_とうがらし_果実、乾 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06172_7 - 3:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html - 4:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - 5:厚生労働省「食物繊維 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html - 6:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html - 7:厚生労働省「カロテノイド _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html - 8:農林水産省「カプサイシンに関する情報」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/