1. トレビスの特徴

トレビスとは地中海原産のキク科キクニガナ属の植物であり、オシャレな葉野菜として注目を集めている「チコリ」の仲間である。トレビスの中にもいくつか種類があるが、一番有名なのは「ラディッキオ」と呼ばれる紫キャベツのような見た目をした結球型の品種。独特な苦みと紫色のキレイな見た目が特徴であり、フランス料理やイタリア料理においては定番食材の一つとして知られている。
トレビスの主な品種について
トレビスと呼ばれる野菜にはいくつか品種があり、品種により形や色味など大きく異なる。数あるトレビスの中でも、特に日本でも見かけることの多い三種類について確認しておこう。
- ラディッキオ・キオッジャ:イタリア産のトレビス。見た目は結球型で、流通量は最も多い
- トレビーゾ:非結球型のトレビス。晩成の「タルティーボ」と早生の「プレコーチェ」がある
- カステルフランコ:半結球型のトレビスで、淡いクリーム色の葉っぱと紫色の斑点が特徴である
日本でも栽培されている
トレビスの原産地は地中海地域であり、現在はイタリアやアメリカなどが主な産地である。日本で見かけるようになったのは1980年代で、当時はほとんどが輸入品となっていた。現在も輸入品が多いが、国内でも少しずつ商業生産している地域が増えている。主な国内の産地には長野県・北海道・鹿児島県などがあり、鹿児島県のように5~6月・11~12月と年2回収穫できる地域もある(※1)。
2. トレビスの栄養価と栄養面の特徴

トレビスは、全体の栄養価は低いもののビタミン・ミネラル・食物繊維などをバランスよく含んでいる。そのような特徴があるトレビスの栄養価や栄養素について確認しておこう。
トレビスの栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によれば、100gあたりのトレビスの栄養価は以下のようになっている(※2)。
- エネルギー:18kcal
- たんぱく質:1.1g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:3.9g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.02g
・多価不飽和脂肪酸:0.05g - ビタミン
・βカロテン:14μg
・ビタミンE:0.4mg
・ビタミンK:13μg
・ビタミンB1:0.04mg
・ビタミンB2:0.04mg
・ナイアシン:0.2mg
・ビタミンB6:0.03mg
・葉酸:41μg
・パントテン酸:0.24mg
・ビタミンC:6mg - ミネラル
・ナトリウム:11mg
・カリウム:290mg
・カルシウム:21mg
・マグネシウム:11mg
・リン:34mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.06mg
・マンガン:0.15mg - 食物繊維:2.0g
(・水溶性食物繊維:0.5g)
(・不溶性食物繊維:1.5g)
ポリフェノールの一種「アントシアニン」が豊富
トレビスが紫色の見た目をしているのは、青紫色のポリフェノールである「アントシアニン」を多く含んでいるからだ。このアントシアニンにはブルーベリーや紫イモなどにも多く含まれており、一般的には体内にある活性酸素を取り除く抗酸化物質として働くことが知られている(※3)。
3. 美味しいトレビスの見分け方

トレビスは丸ごと売られている場合と千切ってパック詰めされたものがある。また、トレビスを選ぶ際には以下のように葉・茎脈(白色の部分)・形・重さ・切り口などをよく確認するとよいだろう。
- 葉:みずみずしくて濃い紫色のもののほうがよい
- 茎脈:白色部分が変色していないもののほうがよい
- 形・重さ:きれいな丸型で、ずっしりと重いほうがよい
- 切り口:変色していないもののほうがよい
4. トレビスの正しい切り方

トレビスは包丁を使用せず、手でちぎるのがよい。包丁を使うとトレビスの細胞がつぶれてしまい、苦味が強くなったり、色味が悪くなったりしてしまう。また、手でちぎるときは「縦方向」に千切るのがポイント。葉の紫色と茎脈の白色がキレイなコントラストになり、料理の彩りがよくなる。
5. トレビスの美味しい食べ方

その苦みがアクセントになるトレビスは、生食のままサラダに使われることが多い。また、加熱すると苦味が強くため、焼いたり炒めたりしてもよい。そんなトレビスの美味しい食べ方を確認しよう。
食べ方1.トレビスのサラダ
トレビス・エリンギ・しめじで作るサラダはおすすめ。少し苦みのあるトレビスだが、うま味たっぷりのキノコ類と一緒なら食べやすくなる。また、低カロリーのキノコ類であるため、ヘルシーにお腹いっぱい食べることができる。お好みでレモンを絞って酸味を加えても美味しい。
食べ方2.トレビスのパスタ
トレビスをトッピングしたゴルゴンゾーラパスタもよい。作り方は簡単で茹でたパスタを器に盛りつけ、ゴルゴンゾーラチーズを使ったパスタソースをかけてトレビスを散らすだけ。トレビスのほろ苦さと華やかさがアクセントになり、美味しいだけでなくおもてなし料理にもピッタリとなる。
食べ方3.焼きトレビス
苦みを楽しむために、トレビスを焼くのもおすすめだ。それを肉料理や魚料理などに添えると見た目もよくなる。例えば、はちみつ・生姜・しょうゆで味付けしたハニーポークに添えるのはどうだろうか。トレビスの苦みとハニーポークの甘みが絶妙にマッチした一品になるはずだ。
6. トレビスの正しい保存方法

トレビスは乾燥しやすいため、できる限り早く使い切るほうがよい。ラップやポリ袋に入れて冷蔵庫で保存すれば1週間程度は持つようになる。また、ちぎったトレビスは保存容器などに入れて冷蔵庫で保存しよう。ちぎった場合は2~3日程度は保存がきく。
結論
トレビスは見た目こそ紫キャベツに似ているが、トレビスはキク科の植物であり、アブラナ科の紫キャベツとはまったく異なる植物である。むしろチコリに似た植物であり、苦みや色味などを楽しむことができる。高級野菜の一つにはなるが、料理のアクセントとして取り入れてみてはいかがだろうか。
【参考文献】
- ※:大阪市中央卸売市場「トレビス」
http://www.shijou.city.osaka.jp/sikyoportal/?page_id=2559 - ※:JAグループ「秋・冬の旬野菜トレビス」
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=124 - ※1:鹿児島市役所「トレビス」
https://www.city.kagoshima.lg.jp/seisanryutu/sangyo/norin/recipe/sonota/sono-37.html - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06187_7 - ※3:厚生労働省「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html