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じつは日本で昔から食べられてきたかぼちゃ【赤皮栗かぼちゃ】とは?

じつは日本で昔から食べられてきたかぼちゃ【赤皮栗かぼちゃ】とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2019年10月31日

昨今、流通が発達し、そして情報の広がり方が変化した。それにより一部の地方でしか食べることのなかったものや、希少性の高いものが一般にも知られるようになり、遠方でも手に入れることができるようになった。日本の赤皮栗かぼちゃも、そのひとつ。一部地域の食材だったが、最近では市場でも見かけるようになった、赤い皮を持つ赤皮栗かぼちゃについて紹介する。

  

1. 日本の赤皮栗かぼちゃ

ハロウィンブームに見るかぼちゃの存在

最近では、さまざまなかぼちゃに注目が集まるようになった。大きな原因としては、ハロウィンの日本での認知度の高さにある。すっかり認知され、各業界ではすでにクリスマスやバレンタイン並みの一大イベントになっている。
そのイベントで主役のように使われるのが、かぼちゃである。飾りに使われるだけのものもあるが、美味しく食べられるものもたくさんある。この時期は、あちこちでかぼちゃを使ったメニューがあふれかえる。
そして、これをきっかけに、いろいろなかぼちゃの情報が広く知られるようになった。日本のかぼちゃらしからぬ華やかな色とユニークな形を持つ、赤皮栗かぼちゃにも注目が集まったのだ。

希少な赤皮栗かぼちゃ

しかし、日本の赤皮栗かぼちゃは希少性が高いため、お祭り向けではない。ハロウィンのためだけにかぼちゃを買い求める人たちは素通りしていくが、本当に美味しいものを求める人たちの目には残ったのである。
きっかけはともかく、赤皮栗かぼちゃは知名度があがり、結果として現在は、その甘さと味のよさから、再び注目が集まった。また「加賀野菜」などのようにブランド化を図ることによって宣伝力を増し、徐々に栽培量を増やしていっている。

2. 石川県の「打木赤皮栗かぼちゃ」

赤いかぼちゃは、じつは伝統野菜

ユニークな形と鮮やかなオレンジ色。「打木赤皮栗かぼちゃ」は、戦後石川県金沢市で栽培が広まり、主に京阪で人気を得た赤いかぼちゃである。最近になって海外から輸入されたという印象を持たれがちな赤いかぼちゃだが、この打木赤皮栗かぼちゃは、金沢の伝統野菜「加賀野菜」に認定され販売されている。
昭和8年、篤農家であった松本佐一郎氏が、福島県から持ち込んだ品種が、打木赤皮栗かぼちゃの発端であったといわれている。

色形と旬の時期

6月下旬~8月頃まで流通する。独特の皮色で、紅からオレンジがかった赤色をしていて、よく目立つ。果肉も濃いオレンジだ。一見、かぼちゃに見えないフォルムで、たまねぎのように先端がとがり円錐形になっている。表面にある、ウリ科特有の縦縞も、うっすら見える程度で、外皮はつるりとしている。重さは平均1.1㎏と、よく見る黒皮栗かぼちゃよりは少し小さ目である。
切らずに冷暗所に保管するなら、2ヶ月は保存できる。かぼちゃは全体的に見て保存に向いた野菜だが、打木赤皮栗かぼちゃも例にもれず、長期間保存可能な食材である。

味わい

肉質は水分量が比較的多く、栗かぼちゃの一種でありながら、食感は日本かぼちゃに近い粘質である。一時期はホクホクした味わいのかぼちゃに押され、生産量が減ったが、ほかの品種に負けない甘みがあることと、昔ながらの品種に注目が集まったことから、盛り返し始めている。
粘質であることと甘みのある味わいによって、煮物にしても舌ざわりがよく、スープやお菓子にしても美味しい。普通のかぼちゃ同様、皮ごと食べることができ、鮮やかな赤色は料理のアクセントになる。和ものによし、洋ものによしの万能食材である。

イメージキャラクター?「ベジタン」

打木赤皮栗かぼちゃも認定されている、加賀野菜。これは最近つけられた名称である。
昔から食べていたもの、地元野菜を見直そう、という復興活動の一環で、平成9年に金沢市が発足した「金沢市農作物ブランド協会」で定めた野菜の名称である。「1945年(昭和20年)以前から栽培されていて、現在も主に金沢で栽培されている」ものを加賀野菜と定めている。
もちろん、打木赤皮栗かぼちゃも認定されており、イメージキャラクターのベジタンは打木赤皮栗かぼちゃをモチーフにしている。加賀野菜を代表する野菜の一つである。

3. そのほかの赤皮かぼちゃ

奥会津遠山赤かぼちゃ

福島県大沼郡で生産される赤皮かぼちゃである。これも朱色から真っ赤な外皮を持ち、下部にへそのようにふくらんだリングがあるのも特徴的だ。
奥会津金山赤かぼちゃ生産者協議会で選別・出荷される。糖度が一定の基準に達しないものは、出荷されないほどのこだわりだ。
コクのある甘さは独特で、食感はほくほくとした西洋かぼちゃの味わい。
また、奥会津金山赤かぼちゃは、吊り下げ式の栽培をしている。きゅうりや茄子のように、支柱に這わせて上へ伸ばし、かぼちゃの実を吊り下げて栽培するのだ。そうすることによって、地面に接した部分がへこんだり色が変わってしまったりすることなく、均等に日にあたり、美しいかぼちゃが収穫できる。
残念ながら現在は生産量も流通量も少ない。かぼちゃは日持ちのする野菜であるが、奥会津金山赤かぼちゃは、あまり日持ちがしない。だが、カボチャ羊羹や焼酎などの加工品もあるので、奥会津へ行くことがあったら探してみよう。

赤ずきん

べにくり、という名で売られていることもある、赤ずきん。外皮は橙赤色で、果肉は黄土色から黄色である。種苗会社が品種登録をしている種類である。かわいらしい名前とは裏腹に、1.5㎏と結構大きめだ。かぼちゃらしい扁円形の形、外皮には薄い縦縞が入っている。
日本かぼちゃに近いねっとりとした味わいと、西洋種らしい粉質の両方を併せ持ち、独特の味わいと甘みがある。熟成して甘みが増すほどに、粘質の度合いが増してくる。
赤ずきんは、かぼちゃにしては保存が難しい。かぼちゃは収穫してすぐに食べても美味しくない、というのが定説である。かぼちゃの持つでんぷんを糖に変えるための風乾という作業をすることで甘みが濃くなるが、赤ずきんは一週間ほどで食べごろになる。
北海道などの寒い地域が主産地だが、種も販売されている。鮮やかな赤いかぼちゃを、自宅で栽培するのも楽しいだろう。

結論

赤皮栗かぼちゃは皮が柔らかく、鮮やかな色の皮ごと食べることができる。甘く柔らかいので、かぼちゃの中では日持ちはしない品種ではあるが、粉質と粘質のいいとこどりの味わいで、使い方もさまざまに工夫できる。ハロウィンに重宝される食べられない赤いかぼちゃもかわいらしく、飾りとしては有用だが、美味しく食べられる赤皮栗かぼちゃもおすすめだ。
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  • 公開日:

    2019年8月12日

  • 更新日:

    2019年10月31日

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