フランス料理のコースで肉より先に魚を出すのはなぜ？

料理はその国の文化を示すもので、ジャンルによってマナーや食材、品数など大きく異なる。日本では定食や〇〇セットというように、一度に全ての料理が運ばれてくるが、フランス料理は前菜、スープ、主菜といった料理が一つずつ順番に運ばれてくる。

昔を遡ると、フランス料理は全ての料理がテーブルに一度に乗せられ、ゴージャス感が視覚から楽しめるようになっていた。しかし、それでは料理が冷めてしまったり、食感が悪くなったりと美味しく食べられない。この問題点を解決するため、順次料理を一品ずつ運び、温度も食感もベストなタイミングで食べられるように改良されていったのである。

フレンチは、野菜や肉、魚、乳製品などいろいろな食材を使用する。イタリアンと混同する人もいるかもしれないが、フレンチは足し算、イタリアンは引き算と揶揄されるように、フレンチは幅広い食材を使った豪華な料理だ。特に地域的な特性から、フレンチには乳製品を多く使用する。バターや牛乳、チーズは多く使われる食材だ。同じヨーロッパの料理でも、オリーブオイルを中心にしたイタリアンとフレンチは大きく違うということを知っておこう。

フレンチは高級料理として扱われることが多いため、日本では普段からフレンチを食べる機会はそう多くはないだろう。結婚式やパーティーなどでフレンチを食べる機会があれば、どんな料理がどのような順番で出てくるのかを知っておくとさらに楽しみが広がる。

食事の一番はじめに出される食事。食欲を増進させる役割がある。前菜が数品ある場合は、冷たいものを食べてから温かいものを食べるのが一般的だ。

メイン料理への入り口であり、「これから最高のおもてなしをしますよ」という意味を含めている。コンソメスープかポタージュスープの2種類に大きく分けられ、冷製のヴィシソワーズも人気である。

魚介を使った料理で、肉料理の前に出される。肉は脂質が多く、消化に負担がかかるため、そういった意味で消化のよい魚料理を先に出すことになっているのだ。ポワレ、ムニエル、ソテーなど、魚貝料理といっても調理法はさまざまだ。

口の中をリセットするためのシャーベット。魚料理でとった油やソースを取り除くために出される。デザートとは違うので、ここで終わりだと慌てないようにしよう。

ソルベで口の中をリセットしたら、次はいよいよメインディッシュの肉料理の出番だ。一皿の量が少ないと思っていても、ゆっくりと食べることができるフレンチは食べ終わる頃にはお腹が満たされている。満足感まで計算されたフレンチは、心も体も満足できること間違いないだろう。

メインディッシュの肉料理。牛、豚、鶏など日本でもおなじみの肉に加えて、鹿や鴨など癖のある肉を使うこともある。その場合臭みを取り除けるような工夫が施されたソースを使われる。

アイスクリームやケーキのような、目を引く装飾がされたデザートである。甘いものを食べることで満足感を上げ、胃から腸へ食べ物をスムーズに運ぶ役割もしている。

コースによってはメインデザートのデセールのあとに、小さな焼き菓子が出されることがあり、これをプチフールと呼ぶ。コーヒーは通常よりも小さめのデミタスカップで出てくることが多い。

フレンチは料理をいかに美味しく食べるかを考え尽くしている究極のおもてなし料理といえるだろう。肉より魚を先に出すことで、最後まで料理を楽しめる工夫がなされているのだ。フレンチを楽しむには、まずはどんな順番で料理が出されるか知っておくことから始めるとよい。奥が深くこだわりの強いフレンチをマスターすれば、周りから一目おかれること間違いない。