1. 下仁田ねぎの特徴と旬

下仁田ねぎは、白根の部分が非常に太いのが特徴的。直径4cmから9cmほどのものもある。品種としては夏型ねぎで、一般的には白い部分を中心に食べる。長さは白根の部分が15~20cmほどと短く、全体的にずんぐりとした印象を与える独特のねぎだ。
■加熱すると極上の味に
白い部分が太いため、生のままでは辛みも強い下仁田ねぎ。ところが、加熱するととろりとした食感と甘みが出てくる。この豊かな味わいはほかのねぎにはないといわれるほどで、昔から特別なねぎとして扱われる理由でもある。
■下仁田町でしか採れない希少ねぎ
下仁田ねぎの生産地は群馬県甘楽郡にある下仁田町。味のよさから贈答品としても親しまれ需要も高まるようになったが、下仁田地域限定のねぎのため、未だ希少な存在だ。というのも、下仁田町近辺の群馬県と長野県の農事試験場にて、ほかの地域で栽培できないか実験が行われたのだが、失敗に終わっているのである。育ちが悪かったり逆に育ちすぎて硬くなってしまったりと、やはり下仁田にしか育てることは難しいという結論に至ったのだ。
■新種の下仁田ねぎとは
下仁田地域は平地が少なく、そもそも作付面積が小さい。さらに、下仁田ねぎは種を蒔いてから収穫するまでに15ケ月もかかるため、下仁田だけで育てるのでは十分な収穫量が得られない。そのような理由から、ほかの地域で栽培できるよう新種の下仁田ねぎが生み出されたのだ。ところが、原種の下仁田ねぎと見た目は似ているものの、味が違うという意見が多いのだとか。やはり、下仁田で生まれ育った原種の下仁田ねぎと同じものはできないようだ。
■旬は11月末~12月
下仁田ねぎの収穫時期はちょうどお歳暮の時期と重なるため、贈答品として取り扱われることも多い。とくに原種は限られた地域でしか栽培されないうえ、旬も年に一度のため全国に出荷がいきわたるようなものではない。入手するには産地直売所を利用するか通販で取り寄せるとよいだろう。
2. 下仁田ねぎの誕生と由来

ねぎの原産は中国西部から中央アジアといわれており、中国大陸・朝鮮半島から日本に伝わったとされる。その後、西日本から東日本へと広がり全国で栽培されるようになっていった。下仁田ねぎの由来も同様に考えられているが、品種としての誕生の背景は明確にはなっていない。
■別名・殿様ねぎ?
下仁田町にある桜井家に所蔵される古文書「ねぎ御用につき江戸急送方達(1805年)」には、「御用につきねぎ200本を至急送れ。運賃は気にするな。」という内容が記載されている。このことから、下仁田ねぎは別名・殿様ねぎと呼ばれるようになったという話が現地では有名だ。さらに、明治から昭和にかけてからは、三度も皇室への献上品として用いられている。
■明治20年の万博で正式名称に
下仁田ねぎという名称が使われるまでは、下仁田のねぎ・上州ねぎ・西牧ねぎなど、さまざまな呼ばれ方をしていた。下仁田ねぎが正式名称となったのは、1887年(明治20年)に大阪で行われた万国博覧会に出品されたときからである。
3. 下仁田ねぎの美味しい食べ方

これまで紹介してきたように、下仁田ねぎには原種と新種がある。見た目は似ているが味が違うという声も多いため、せっかく入手するならやはり下仁田で作られた原種のものを選ぼう。
■定番は鍋物・すき焼き
下仁田ねぎの魅力はとろりとした食感と甘さ。その味わいを楽しむためには、シンプルな鍋やすき焼きがおすすめだ。また、焼きねぎ・かき揚げ・焼き鳥(ねぎま)・炒め物などにしても美味しい。
■青い部分も調理しよう
白い部分を中心に食べるねぎではあるが、青い部分も美味しく食べられる。こちらも加熱すると甘みと柔らかさが増すため、炒め物などを中心に活用したい。
結論
ねぎの中でも希少で特別美味しいといわれる下仁田ねぎ。贈答用のものはやや高価だが、家庭用のB級品ならお得で味も変わらないためおすすめだ。幻ともいわれる下仁田ねぎの美味しさをぜひ家族で体験してみてはいかがだろう。