1. ビタミンDの働きと推奨摂取量

ビタミンDは脂溶性のビタミンで、油に溶ける性質を持っている。食品から摂取してとり込むほか、日光を浴びることによっても身体のなかで作り出すことが可能だ。
ビタミンDの種類と働き
食品中に含まれているビタミンDは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つに分けられる。どちらも同じくらいの効力を持っており、肝臓と腎臓を経ることで活性型ビタミンへと変化する。活性型ビタミンDの主な生理作用は次のとおりだ。
- カルシウムやリンの吸収を助ける
- 骨や歯の成長を促す
- 神経伝達や筋肉の収縮を正常に行う
ビタミンDは小腸や腎臓でカルシウムやリンの吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を維持するために働いている。丈夫な歯や骨を作るために必要なメカニズムだ。
ビタミンDの摂取量
ビタミンDの1日の摂取目安量は、成人(18歳以上)において5.5μg(マイクログラム)となっている。日本人におけるビタミンDの1日の平均摂取量は7.3μgであり、ビタミンDは平均的には満たされていることになる。
2. ビタミンDを含む食材や果物・飲み物

ビタミンD2とビタミンD3では、多く含まれている食品が異なる。それぞれが多く含まれている食品は次のようなものが挙げられる。
- ビタミンD2を多く含んでいる食べ物
きのこ類(きくらげ、しめじ、しいたけ) - ビタミンD3を多く含んでいる食べ物
魚介類(鮭、あんこう、いわし)、卵黄、バター
ビタミンDは油と一緒に摂ると吸収が良くなる
脂溶性の性質を持つことから、脂質を多く含む動物性食品のビタミンD3のほうが身体に吸収されやすい。しかし、きのこ類に多く含まれるビタミンD2も炒め物や揚げ物にして食べると吸収がよくなるのだ。ビタミンDを摂取するときは良質の油を一緒にとるように意識してみよう。
3. ビタミンD不足と感じたら?

ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収が低下して腎臓で再吸収されにくくなる。このことが原因で低カルシウム血症になり、骨に関連した症状が現れてくるのだ。
ビタミンDの欠乏症の症状
具体的なビタミンDの欠乏症には次のようなものが挙げられる。
- くる病(子ども)、骨軟化症(大人)
- 骨粗鬆症
- 骨折が原因による寝たきり
過度に日光に当たらない生活をしている人は注意が必要
日本人はビタミンDが多く含まれている魚介類の摂取が多いことや、紫外線によってビタミンD3が生成されることなどによりビタミンDの不足は起こりにくい。とくに日本は日照に恵まれている環境にあり、標準的な生活を送っていればビタミンDが不足する可能性は低い。しかし、加齢などによって外に出る機会が減ってしまったなど日光に当たる機会が少ない生活を送っている人や、ビタミンDの摂取量が少ない人においては、ビタミンDが不足してしまう場合もある。また、過度の紫外線対策をしている人も要注意だ。
ビタミンDの不足を防ぐために
ビタミンD欠乏症を防ぐためには、ビタミンDを摂取できる食品を多くとり入れたり、調理法を変えたりと、食生活を見直すことも大切だ。また、日光浴の大切さを意識して散歩に出かけたり、過度な紫外線対策をやめたりすることもポイントである。
ビタミンDの過剰症もある
ビタミンDは脂溶性のビタミンであり、水溶性ビタミンとは違ってとりすぎると自然に体外へ排出されるというわけではない。ビタミンDの過剰摂取が続くと高カルシウム血症による腎機能障害、食欲不振、吐き気などの症状が現れる可能性があるので注意しておきたい。
結論
ビタミンDは骨や歯の形成に関わる重要なビタミンである。きのこ類や魚介類などの食品から摂取するだけではなく、日光を浴びることでもビタミンDを生成することが可能だ。またビタミンDは脂溶性ビタミンであり、油と一緒に摂取することが吸収率アップのポイントである。ビタミンDをバランスよく摂り入れて、丈夫な骨と歯を守っていこう。