1. 中華のレシピでおなじみの浮き粉とは?
浮き粉は点心や明石焼きなど、さまざまな料理に使われている。まずは、浮き粉がどのようなものなのか、性質や特徴などを見ていこう。
浮き粉は小麦粉のデンプンのこと
浮き粉とは、小麦粉のデンプンのことで、中華料理の点心や和菓子などを作る際によく使われている。浮き粉は、別名「じん粉」「貫雪粉」とも呼ばれ、あのふわふわでとろとろっとした独特の食感をもつことで有名な、ご当地グルメ「明石焼き」のメイン材料として欠かせない存在でもある。
浮き粉はぷるぷるとした弾力が特徴
浮き粉は、小麦粉からタンパク質であるグルテンを除去し、残ったデンプンを精製して作られている。浮き粉を加えた生地は、加熱すると半透明になること、ぷるぷるとした弾力のある食感などが主な特徴となっている。そしてその特徴は、蒸し餃子の皮作りや和菓子の水まんじゅう作りの際に活かされている。
2. 浮き粉と小麦粉や片栗粉との違い
浮き粉はサラサラとした粉末で、見ためは小麦粉や片栗粉とよく似ている。しかし、成分や特徴は全く異なるものなのだ。
浮き粉と小麦粉の違い
浮き粉と小麦粉との違いは、グルテンと呼ばれるタンパク質が含まれているか否かという点になる。たったこれだけの違いではあるが、浮き粉には、小麦粉には出せないふわふわとした食感や柔らかさがある。
浮き粉と片栗粉との違い
また片栗粉との違いは、片栗粉も浮き粉も、どちらもデンプンである点は同じだが、浮き粉は小麦粉のデンプンであるのに対し、片栗粉は、ジャガイモのデンプンである点が違っている。材料が違うため、食感や風味、質感などに違いが生じる。ちなみに、片栗粉は本来、その名が示す通りカタクリの根茎のデンプンから作られる粉だが、現在、市場に主に流通している片栗粉は、ジャガイモのデンプンから作られている粉のようだ。
3. 浮き粉を使いこなそう!おすすめの使い方
浮き粉は、前述の通り、中華料理の点心や和菓子作りおよび、明石焼きの材料として使われている。それらは、もちろんおすすめの使い方になるだろう。また、ふんわりとした仕上がりになるため、天ぷらや卵焼きに使うのもおすすめできる。このほかにも、ぷるぷるとした食感を出したい場合や、半透明に仕上げたい場合などにも使うことができる。
浮き粉の使い方1:餃子
蒸し餃子など、半透明に仕上げたいときは浮き粉を活用する。浮き粉に少量の片栗粉などを加えて生地を作り、具材を包んで蒸せば透き通った蒸し餃子が作れる。ぷるっとした食感が特徴で、エビなど見ためのよい具材を包んで作るとキレイに仕上がる。
浮き粉の使い方2:たこ焼き
たこ焼きの粉に1割ほどの浮き粉を加えてたこ焼きを作ると、外はカリカリで中がトロっとした仕上がりになる。
浮き粉の使い方3:明石焼き
浮き粉といえば明石焼きの材料として有名だが、浮き粉は熱を加えても硬くならないのが特徴だ。そのため、浮き粉を使って作った明石焼きはふわふわとした食感なのである。小麦粉と浮き粉を同量混ぜ、出汁や卵を加えて焼くと簡単に作れる。
浮き粉の使い方4:和菓子
浮き粉は水まんじゅうなどの和菓子にも多く使われている。蒸し餃子と同様、生地に加えて使うことで半透明でツルっとした食感の和菓子が作れるのだ。
浮き粉の使い方5:ケーキ
ロールケーキやガトーショコラなどの洋菓子作りの際に、生地に浮き粉を混ぜるという使い方がおすすめできる。ロールケーキ作りの際に浮き粉を使うと、パサつきを防ぎ時間が経ってもしっとりとした状態をキープできる。
浮き粉の使い方6:普段のレシピにプラス
自宅で手作りかまぼこを作る際に使うと、魚本来の旨みが際立ち、市販のものとは、一味も二味も違った格別な味わいを堪能することができる。
ほかにも、料理のとろみ付けや天ぷらなど幅広い料理やお菓子作りに活用できるのだ。
ほかにも、料理のとろみ付けや天ぷらなど幅広い料理やお菓子作りに活用できるのだ。
4. 浮き粉がなくても大丈夫!家庭にある代用になる粉類
浮き粉は、同じようにデンプンからできている片栗粉、コーンスターチ、米粉(もち粉)、タピオカ粉などでも代用できる。しかし、デンプンからできているといっても、それぞれに風味や香りなどの特徴が異なる。少量を代用する分には大きな問題はないが、料理によっては仕上がりが異なってしまう場合もあるため、あらかじめその点を踏まえて代用するようにしよう。参考に代用可能なそれぞれの粉の主な特徴を紹介する。
浮き粉の代用品1:片栗粉
浮き粉の代用品として、洋菓子作り以外は、浮き粉とほぼ同じような使い方ができる。ただ、蒸し餃子の皮づくりに使用した場合は、時間が経つと固くなりやすいので、その点は注意が必要だ。
浮き粉の代用品2:コーンスターチ
コーンスターチは、とうもろこしを材料として作られたデンプンで、主に洋菓子作りの際に浮き粉の代用品として使うことができる。香りや風味及び、仕上がりに透明感が出にくいという点が浮き粉とは異なっている。
浮き粉の代用品3:米粉
米から作られるデンプンで、食感も浮き粉とあまり変わらないため、浮き粉とほぼ同じように使える。
浮き粉の代用品4:タピオカ粉
熱帯地方原産のキャッサバイモから作られているデンプンで、無味無臭で食感も浮き粉と非常に似ているため、浮き粉の代用品として、ほぼ同じように使える。冷めると固くなるので注意しよう。
浮き粉の代用品5:上新粉
上新粉はうるち米を乾燥させたもので、浮き粉とは異なる。しかし、料理にとろみなどを付けたいときは代用できるだろう。少量であれば同じように使えるが、使う料理などによってはとろみの付き具合などが異なる可能性がある。そのため、量を調整しながら使うのがおすすめだ。
5. 浮き粉はどこに売ってる?販売店や通販情報
浮き粉はあまり使う機会もなく、スーパーなどでも見かけない。一部のスーパーやイオンなどでは販売されているようだが、手軽に購入するならネット通販を利用するのがおすすめだ。製菓の材料を取り扱っている富澤商店やカルディなどは公式のオンラインショップがあり、近くに店舗がない場合でも手軽に利用できる。200g程度と小さめの容量の商品もあり、値段も300円前後と購入しやすい。小麦粉や片栗粉よりはやや高価ではあるものの、手が出しやすい価格といえるだろう。業務スーパーでは一部の店舗で1kgの大容量タイプが売られている。しかし、1kgを使いきるのはなかなか難しく、必ず置いてあるわけではないので注意しよう。
6. 浮き粉は手作りもできる!浮き粉の作り方
浮き粉は市販のものを使用するのはもちろん、じつは手作りすることもできる。強力粉と水を2:1でこね、1つにまとまったら1時間ほど寝かせておく。寝かせておいた生地をさらしなどの目の細かい布に包み、水を入れたボウルの中に沈める。水の中で生地をさらしの上からもみ、水が白くなってきたら新しい水に変える。白くなった水は大きめのボウルなどに入れてとっておく。これを何度か繰り返し、生地をもんでも水が白くならなくなってきたら、とっておいた白い水をしばらく置いておく。上澄みの水を捨て、下に残って沈殿した白いものが浮き粉のもととなる。常温で自然乾燥させ、水分が抜けたらフードプロセッサーなどで粉砕すれば、手作りの浮き粉の完成だ。さらしの中に残ったグルテンは、生麩にするなどして活用してみよう。
7. 浮き粉はグルテンフリー?アレルギーでも大丈夫?
浮き粉は小麦粉からグルテンを取り除いたものだと紹介してきたが、じつは全く含まれていないわけではない。グルテンはほとんど含まれておらず、練っても小麦粉のようにはならないが微量のグルテンは含まれている可能性がある。実際に浮き粉の注意書きやアレルギー表記を見てみると、小麦粉と書かれているのが分かる。グルテンを取り除いているからといって、小麦アレルギーの人が食べられるわけではないので注意しよう。
結論
浮き粉はあまり聞き慣れない名前の粉類だが、じつは身近な料理にたくさん使われてるのだ。浮き粉を購入すれば、手作りで本格的な明石焼きや蒸し餃子も作れる。浮き粉自体も手作りできるので、興味がある人はぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。