1. 名前の由来
今やメロンクリーム入りやメロン果肉入り、メロンの香りがついたメロンパンもあるが、これらは全て名前から連想されて後付けされたもの。元々のメロンパンはメロンが全く入っていなかった。
高級品への憧れ
表面の格子状の溝がマスクメロンに似ているため、という説が非常に有力だ。格子を入れなかった時代でも、かぶせたビスケット生地のひび割れがメロンパンに似ていたのだろう。当時、マスクメロンやバナナは高級品で、憧れがあったに違いない。
メレンゲパンがなまった
元々「メレンゲパン」だったが、それがなまってメロンパンになったという説。どちらが先か分からないが、確かに表面のビスケット生地に卵白を泡立てたメレンゲを使っていたようだ。メレンゲパンと言いづらかったためメロンパンに変化し、外見が後から変化したという説もある。
2. メロンパンは2種類?
一般的なメロンパンは丸くて格子状の縞がついた物だ。しかし関西地方、特に神戸や京都では丸型ではなく、ラグビーボールのような紡錘形で縞も縦のメロンパンが存在する。どうやらメロンパンの起源は2種類が派生しており、後に全国規模で「メロンパン」として合流したようだ。
丸型は「サンライズ」と呼ばれていた
元々のメロンパンの製法が誰によって開発されたのかは不明だが、外国人のパン職人が考案した説や全世界の似た菓子パンが元になった説などがある。丸型メロンパンは1930年代、神戸に本店のある金生堂の呉店が発売したと言われている。当時は軍艦旗の放射状の縞をつけ、日の出をかたどって「サンライズ」と呼ばれていた。そのうち格子状の模様をつけるようになったところ、後追いで大正時代にはマスクメロンが日本に輸入され、見た目が似ていることからメロンパンと呼ばれるようになった。
関西では紡錘形がメイン
1960年ごろ、神戸のパン職人が考案した物だ。ビスケット生地は使わず、洋食のライス成形型で成形し、表面には縦に溝を入れたアーモンドのような形にした。中に白餡が入っている。さらに、この見た目がマクワウリ=当時のメロンに似ていたため、こちらもメロンパンと呼ばれたのだそうだ。今も神戸や京都ではこちらのタイプのメロンパンが根強い。
3. 手軽に作れるメロンパン
メロンパンは実に奥深い。表面がビスケット生地で中が普通のパン生地ならなんでもメロンパンと呼んで違和感がないし、味も多種多様だ。自宅でもメロンパンの雰囲気を簡単に試せるので、子供と一緒に作ってみよう。
トーストで再現
食パンを使って手軽にメロンパンの食感を味わうことが出来る。まずはマーガリンと砂糖を大さじ1ずつ混ぜてレンジで軽く加熱しよく混ぜる。そこへ小麦粉大さじ2を練り混ぜ、食パンの表面にしっかり塗ってトーストするのだ。焼く前に表面に格子状の縞をつけるともっとそれっぽく仕上がる。また、市販品でもチューブに入った「メロンパンの素」が売っており、塗ってトーストするだけで出来上がる。
バターロールを使う
見た目重視ならこちらで。トースト同様の調味料でバターロールを覆って焼き目がつくまで焼いてみよう。裏技としてかき氷シロップのメロン味を適量混ぜると香りまでメロンになるのでおすすめである。
結論
メロンパンの形状や名称は日本発祥だが、世界中に「ビスケット生地を被せたパン」が存在するのが面白い。どの国もこの魅力的な味わいの虜なのだろう。台湾ではその見た目からパイナップルパンと呼ばれているのだとか。あなたの想像するメロンパンとは、一体どのような形状だろうか?