1. 面取りの効果と技法
面取りとは、切り口の角つまり稜部分を削いで、丸みを持たせることを言う。ポイントは薄く削ぐことで、包丁の根元部分を使って、素材を動かしながら削いでいく。
面取りの効果
面取りを行う理由は、大きく分けて2つある。稜部分は、ほかと比べて火が通りやすい。固い野菜の場合は、芯まで火が通るまでに時間がかかることから、火の通りやすい稜部分だけが先に煮えて、崩れてしまう。これが煮崩れである。煮崩れてしまうと、見た目が悪くなるのはもちろん、出汁の色も濁ってしまう。面取りをすれば、火の通りの時間差を最小限に抑えてくれ。また、野菜の角が鍋やほかの具材に当たって崩れることも避けられる。また、面取りをすることで表面積が増えることも大きなメリットだ。煮物は、具材の外から中に味がしみ込むことで完成する料理である。すなわち、面取りによって具材の表面積が大きくなるほど、短時間でも煮汁がしみ込みやすくなるのだ。
より簡単な面取り方法
包丁で行う場合は、先端ではなく根元にしっかりと素材を当てるとよい。たくさん削ってしまうと可食部が減ってしまうので、ゆっくり丁寧に、薄く削ぐことを心掛けよう。また、面取りは包丁以外に、ピーラーを使って行うこともできる。これなら、料理初心者でも簡単にできる。
2. ふろふき大根で面取りしてみよう!
ふろふき大根は、大根が主役の料理である。面取りをすることで、しっかりと味がしみるので、必ず面取りを行いたい。見た目にも美しく仕上がり、主役感がぐっとアップする。大根は輪切りにして、皮をぐるりと剥いてから、面取りにとりかかる。大根は比較的柔らかく、ピーラーでもきれいに行うことができる。
隠し包丁も必須
大根は隠し包丁を入れると、さらに味のしみがよくなる。隠し包丁とは、大根の中心に十字の切り込みを入れること。厚みの1/3程度を目指すとよい。これも和食で重要な技法である。ただ、隠し包丁は見た目にあまり美しくないことから、盛り付ける際は見えないようするのが一般的だ。
切り取った大根は?
面取りで削がれた大根。捨ててももちろん構わないが、もったいないという人は醤油漬けにするのがおすすめだ。このとき、剥いた皮も細く切って、一緒に醤油に漬けてもよいだろう。全体が浸るほどの醤油につけるだけと簡単だが、ちょっとした箸休めになる。
3. かぼちゃの煮物で面取りしてみよう!
かぼちゃの煮物は、煮崩れたところが美味しいという人もいるので、一概にマストとは言えない。しかし、面取りをすることで一気に普段着料理を脱して、料亭のようなルックスになる。おもてなしやお祝いの席には、ぜひ面取りをしたかぼちゃで煮物を作ってみてほしい。
電子レンジもあり
かぼちゃは野菜のなかでも、かなり固い部類である。大きい包丁で切るとよいが、手を怪我しないよう注意しながら行いたい。どうしても固い場合は、電子レンジで1分ほど温めるとよいだろう。ただし、一度電子レンジにかけたものは、当日中に調理して使い切ること。かぼちゃは、切断面をまな板に触れるように置き、安定した状態で一口大に切り分けてから、面取りをしていく。こちらはピーラーよりも、包丁の方がやりやすい。かぼちゃの皮は、ところどころ剥ぐ程度にすると美しい。
切り取ったかぼちゃは?
かぼちゃの場合は、切り取った部分はそれだけで食べるのが少々難しい。ほかの残り野菜と一緒にスープにするか、刻んでオムレツの具材にするなどが適当な使い方だ。その日に使うことができなければ捨ててしまってもよいだろう。
結論
面取りは、美しい煮物に仕上げるために欠かせない下ごしらえの技法である。ただ、面取りをすれば絶対に煮崩れないとは言えないので、しっかりと火加減調節をして、手順を守って煮物を作りたい。多少煮崩れた、家庭的な煮物の美味しさとはひと味違う、洗練した味わいが楽しめるはずだ。