【管理栄養士監修】キヌアのカロリーと栄養素｜栄養図鑑

身体にいい食品は山ほどあれど、案外カロリーが高いものが多いのが実情である。とくに、炭水化物に関しては頭を抱える人が多いのではないだろうか。腹持ちがよい炭水化物は、それなしの食事がひどくわびしく感じられるためである。それでは、主食の代替ともなるキヌアのカロリーはどうであろうか。

キヌア100ｇあたりのカロリーは、359kcalである。ただし、このままでは食べられないので炊いたあとのカロリーを見てみよう。乾燥キヌア100ｇを炊くと、185ｇほどになる。カロリーは、220kcal。ただし、1食分として185ｇは多すぎる。1食分を実質的な数字で見てみるとどうなるか。炊いたあとのキヌアは100gあたりのカロリーは、120kcalとなる。

数字だけ見てもピンとこない人が多いと思うので、白飯や玄米と比べてみよう。炊いた白米100ｇあたりのカロリーは、168kcalとなる。同じく玄米は、165kcalである。つまり、同じ量を食べてもキヌアであれば3割ほどカロリー量は低いという計算になるのである。カロリー制限中の人にとっても、キヌアは適した食材であることがわかる。また、キヌアは調理後には非常に膨張する性質がある。購入時は高価に思われても、実際に火を通すとかなり膨らむので、白飯の一部をキヌアで代用するというのも手であろう。

それでは、ここからが本命、キヌアの栄養価を具体的にみていこう。スーパーフードの雄として瞬く間にブームを巻き起こした理由が、そこから浮かんでくる。

キヌアがもつ栄養は、「健康食品」のくくりに入るさまざまな食材とは一線を画している。必須アミノ酸9種類に加え、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミンB1、B2、ビタミンE、数えきれないほどのミネラルを有しているのである。近年、抗酸化作用として知られるようになったフラボノイドも豊富で、なかでもケルセチンと呼ばれるフラボノイドは認知機能改善の効果があることが近年の研究で明らかになっている。

キヌアが含む栄養素のいくつかを、白飯と比較するとその差は明確である。たとえばカルシウムを見てみよう。火を通して食べられる状態にしたキヌア100gが有するカルシウムは47mgにもなる。同量の白飯の場合は、わずか5ｇである。また、食物繊維に関していえばキヌアが6.2gに対し白飯は0.5g。実に12倍もの食物繊維をキヌアは抱合しているのである。その他、鉄分、マグネシウム、カリウムなどのミネラルの量も、白飯が持つそれを大いに凌駕している。白飯をキヌアで代用する価値は大いにあるというわけである。

キヌアは、糖質ダイエットにも向いている食品といわれている。まず、炊いたキヌア100ｇあたりの糖質は20g前後である。白米の糖質が36ｇほど、玄米は33ｇほどであることを考慮すれば当然かもしれない。
また、キヌアはGI値が低い食品としても認められている。つまり、糖質の吸収と血糖値の上昇が緩やかなのである。数字で具体的にみてみると、キヌア100ｇあたりのGI値は35、白米の場合は84という大差がある。
このように、いいことずくめのキヌアではあるが、唯一の瑕瑾は腹持ちが悪いことだろうか。キヌアを食した後すぐに空腹を覚えて間食をしては、元も子もないのはいうまでもない。

セレブたちの間で話題になるや、瞬く間に健康食材市場に普及したキヌア。それには、確たる理由があったことがおわかりいただけたと思う。幸い、キヌアはスーパーフードであると同時にさまざまな料理にもなじむ淡白さが特徴のひとつにもなっている。主食としてのみならず、おかずの中にもぜひキヌアを加えてみてほしい。