1. サーロインってどこの部位

ステーキの定番部位として知られるサーロインは、牛肉のどこの部位なのだろうか。また、肉質や味わいにはどのような特徴があるのだろうか。ほかの部位との違いなども含め、詳しく見ていこう。
じつはロースの一部
サーロインはステーキの中でも人気の高い部位で、「ステーキの王様」と称されることも多い。背中から腰にかけての肉で、ほどよい脂が乗っていて美味しい。じつはサーロインはロースの中の1つで、サーロイン・肩ロース・リブロースを総称してロースと呼ばれている。
サーロインの特徴
サーロインは赤身の間にサシがきめ細かく入った霜降り肉である。脂のほどよい甘みとともに、背骨まわり特有の旨みを味わうことができる。柔らかくジューシーな肉質と濃厚な味わいが特徴の部位だ。ちなみに同じサーロインでも、輸入牛肉は赤身が多く黒毛和牛など国産のものはサシが入りやすい。とくに上質な和牛サーロインは脂の融点が低く、口のなかでとろけるような食感である。
リブロースや肩ロースとの違い
リブロースはあばら部分の肉のことだ。きめ細かいサシが入っているサーロインに対し、リブロースは赤身の間に太い脂肪が入っているのが特徴である。脂身はサーロインよりも少なめだが、柔らかくきめの細かい肉質で旨みも強い。肩ロースは、サーロインやリブロースよりも脂肪が少なく、肉質はやや硬めだ。赤身が多いが、霜降りもほどよく入っている。濃厚な味を楽しめるという点は、サーロイン、リブロース、肩ロースとも共通している。
希少価値は高くない?
牛肉にはいろいろな部位があるが、サーロインはその中でも質の高い部位。1頭から取れる量は約10kg程度で、希少価値はさほど高くはない。外国産の牛肉であれば、スーパーなどでも比較的安価で手に入れられるだろう。
2. サーロインの由来

同じロース肉でも、リブロースや肩ロースは部位がそのまま名称になっている。しかしサーロインという名称は、一見どこの部位を指すのかわかりづらい。英語ではsirloinと書き、語源はフランス語のsurlonge(シュールロンジュ)といわれている。surは「上部の」、longe(loin)は「腰肉」という意味だ。ちなみに、surが英語ではsirに変化した由来には俗説がある。サーロインで作られた料理を食べたイギリスの国王が、美味しさに感激しsirの称号を与えたという説だ。sirは、イギリス国家が認めた男性にのみ与えられる栄誉ある肩書である。真相は不明だが、サーロインという名称は美味しさが認められているという意味を含むと考えると、興味深い。
3. サーロインのカロリーや栄養

サシが入り濃厚な味わいが特徴のサーロインは、美味しい反面カロリーが気になるという人も多いだろう。和牛と輸入牛でどのくらい違うのか、またリブロースや肩ロースとも比較しながらサーロインのカロリーをチェックしよう。また、サーロインに含まれる栄養素についても併せて紹介していく。
サーロインのカロリー
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によるサーロイン100gあたりのカロリーは、次の通りである。
- 輸入牛 273kcal(※1)
- 和牛 460kcal(※2)
同じサーロインでも、100gあたり187kcalもの差があるのだ。これは、和牛のほうがサシが入りやすく、脂質が多くなりやすいという特徴による。輸入牛のサーロインに含まれる脂質は23.7g(※1)だが、和牛では47.5g(※2)とおよそ2倍にもなるのだ。
また、リブロース(輸入牛)は212kcal(※3)、肩ロース(輸入牛)は221kcal(※4)である。ロース肉のなかでもサーロインはカロリーが高めで、とくに和牛はかなり高カロリーということを覚えておこう。ステーキで食べる場合100gでは少なく、一般的に150~200gは食べるため、カロリーが気になる人は注意が必要だ。
また、リブロース(輸入牛)は212kcal(※3)、肩ロース(輸入牛)は221kcal(※4)である。ロース肉のなかでもサーロインはカロリーが高めで、とくに和牛はかなり高カロリーということを覚えておこう。ステーキで食べる場合100gでは少なく、一般的に150~200gは食べるため、カロリーが気になる人は注意が必要だ。
サーロインの栄養
サーロイン100gあたりに含まれる主要な栄養素は次の通りだ。
- 輸入牛(※1)
たんぱく質17.4g 脂質23.7g 炭水化物(糖質)0.4g 灰分(ミネラル)0.8g - 和牛(※2)
たんぱく質11.7g 脂質47.5g 炭水化物(糖質)0.3g 灰分(ミネラル)0.5g
サーロインにはさまざまな種類のミネラルが含まれている。とくに多いのはカリウム(輸入牛290mg、和牛180mg)やリン(輸入牛150mg、和牛100mg)だ。また、不足しやすく積極的な摂取が望ましい鉄も、輸入牛に1.4mg、和牛に0.9mg含まれる。ビタミン類では、ビタミンB6やナイアシン、パントテン酸などのビタミンB群が多い。
また、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、食品から摂取する必要のある必須アミノ酸も含まれている。(※1、2)
また、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、食品から摂取する必要のある必須アミノ酸も含まれている。(※1、2)
4. サーロインの美味しい焼き方

サーロインの美味しさを堪能するなら、やはりステーキが最もおすすめの食べ方だ。しかし、自宅でステーキを焼く機会がない人も多いだろう。サーロインの柔らかさや風味のよさを十分に生かすためには、焼き方が重要なのだ。
下準備
ステーキはただ焼けばよいわけではない。美味しく焼くためには、下準備を行うのがポイントだ。次の手順でしっかりと下準備をしてから焼こう。
1.肉を常温に戻す
冷蔵庫からサーロインを出してすぐに焼くと、肉が冷たいため加熱に時間がかかる。その結果、生焼けになる、加熱し過ぎてパサパサになってしまうといった失敗を招くのだ。そこで、焼く前に30分~1時間ほど常温に出しておくとちょうどよい温度になる。
2.表面の水分を拭き取る
サーロインを常温に戻すと表面に水分が浮き出るため、キッチンペーパーで軽く拭っておこう。油はねを防ぎ、塩こしょうやソースの味がしみ込みやすくなる。
3.筋を切る
肉の繊維質が縮むことによる反り返りや、筋っぽい仕上がりを防ぐために、赤身と脂身の間に包丁で切り目を入れておこう。また、サーロイン全体の繊維質を断ち切るように細かく切り目を入れると、肉質がより柔らかくなる。
焼き方
下準備が終わったら、焼く直前に塩こしょうをふる。美味しく焼くためのポイントは、焼き時間と火加減だ。長時間加熱するとサーロインが硬くなってしまうため、強火で短時間焼き、余熱で仕上げよう。
フライパンに油をひきスライスしたにんにくを炒め、香りが立ったらサーロインを入れる。まずは片面を強火で1分ほど焼き、弱火にしてさらに1~2分焼く。焼き色が付いたら裏返し、強火に戻そう。もう片面にも焼き色が付いたら火を止め、アルミホイルで包む。このように、短時間で焼きあげ最後に余熱で休ませることで、中心部までほどよく火が通り柔らかく仕上げることができる。
フライパンに油をひきスライスしたにんにくを炒め、香りが立ったらサーロインを入れる。まずは片面を強火で1分ほど焼き、弱火にしてさらに1~2分焼く。焼き色が付いたら裏返し、強火に戻そう。もう片面にも焼き色が付いたら火を止め、アルミホイルで包む。このように、短時間で焼きあげ最後に余熱で休ませることで、中心部までほどよく火が通り柔らかく仕上げることができる。
5. サーロインステーキに合うソースは?

ステーキを美味しく食べるためには、ソースも重要なポイント。サーロインにピッタリなソースを見てみよう。
和風おろしソース
比較的脂の多いサーロインステーキは、さっぱりとしたソースと相性がよい。醤油やにんにくなどで作ったソースにたっぷりの大根おろしを加え、さっぱりとしたソースに仕上げよう。好みで大葉などを加えても美味しい。
バター醤油
ガッツリ系のソースで食べたいときは、にんにくの効いたバター醤油がおすすめ。ステーキを焼いたフライパンに酒やみりん、醤油、スライスしたにんにくを加えてソースを作る。最後にバターを入れて溶かせば美味しいソースの完成。ステーキのソースは、肉を焼いたあとのフライパンで、そのまま作るとよい。旨みの詰まった肉汁がソースに加わり、美味しいソースになる。
結論
サーロインはロース肉のなかでもサシが多く、濃厚な旨みと柔らかい肉質が特徴だ。とくに霜降り和牛は脂身まで美味しいが、脂質が多くカロリーが高いため食べ過ぎには気を付けよう。焼き方やソースもサーロインの美味しさを堪能するためには重要である。コツをおさえ、自宅でも美味しいステーキを作ろう。
(参考文献)
※1 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/サーロイン/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11071_7
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11071_7&MODE=4(アミノ酸の数値)
※2 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[和牛肉]/サーロイン/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11015_7
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11015_7&MODE=4(アミノ酸の数値)
※3 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/かたロース/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11064_7
※4 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/リブロース/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11067_7
※1 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/サーロイン/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11071_7
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11071_7&MODE=4(アミノ酸の数値)
※2 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[和牛肉]/サーロイン/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11015_7
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11015_7&MODE=4(アミノ酸の数値)
※3 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/かたロース/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11064_7
※4 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/リブロース/脂身つき/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11067_7