1. イタリア人の風邪に対する考え方
「陽気で大らか」というイメージを持たれやすいイタリア人だが、実は風邪に対しては敏感に反応する人が思いのほか多いようだ。
ほんの少しでも風邪の兆候が見られた場合は、すぐに病院で診てもらうのが一般的だ。多くの家庭には、ホームドクターが存在していて、風邪かなと思ったときはすぐに連絡して診察してもらうようだ。
ただ、日本のように「風邪を人にうつしてはいけない」という感覚はあまりないようで、風邪でマスクをつけるという習慣もない。風邪を人にうつしても、うつった人は免疫ができるからとくに問題ないという考えを持っているようだ。
もっともいまはコロナ禍で状況が変わってしまっているが、それでも、いまでもマスクをつけることに抵抗を覚える人は少なくないようだ。
マスクをつけることに抵抗を覚えるのは、イタリアに限らず欧米全般にあてはまることでもある。欧米では、マスクをつける人=重病人というイメージが定着しているようだ。かつてヨーロッパを中心に大流行したスペイン風邪のときに、ほぼ全員がマスクをつけざるを得なくなったという、忌まわしい記憶を思い起こさせるからというのも理由のようだ。
2. イタリアの風邪予防ドリンク
イタリアでは、冬になると、風邪予防として、搾りたてのフレッシュなオレンジジュースを飲む習慣がある。イタリアの代表的な果物であるオレンジは、イタリア人にとって、冬の風物詩でもあり、数ある果物の中でも、別格の存在だ。
冬になると、イタリアの市場には、オレンジが山のように積まれていて、見るからにパワーを与えてもらえそうな鮮やかな光景が広がっている。
確かにオレンジには、ビタミンCが豊富で、風邪予防にうってつけの果物といえるだろう。とくに搾りたてのオレンジジュースは、ビタミンCの損失がほとんどなく、たっぷりと補給することができる。ジュースにすることで、消化吸収がよくなる点も見逃せない。
とくにシチリア産のアランチャ・ロッサと呼ばれる真っ赤なオレンジは、ビタミンCの含有量が多い。ジュースに含まれるビタミンCの量は通常のオレンジジュースのおよそ2倍もあり、とくに好まれている品種になるようだ。
3. イタリアの風邪ごはんとは
イタリアでも、風邪で、お腹の調子がよくないときは、日本と同じように、米を柔らかく炊いたお粥のようなものを食べている。イタリア版のお粥は、「リーゾ・イン・ビアンコ(Riso in Bianco)」と呼ばれていて、お米を柔らかく炊いたあと、仕上げに、オリーブオイルとパルミッジャーノチーズをかける点が、日本のお粥と違っている。
イタリアでは、良質のエキストラバージンオリーブオイルとパルミッジャーノチーズは、栄養が豊富で身体によいと考えられているので、風邪のときにも、使用する場合が多いようだ。
米の代わりに、パスティーナと呼ばれる小粒のパスタを、通常よりも長く茹で、それを風邪ごはんとして、それだけを食べることも多いようだ。場合によっては、細かく切った野菜をコンソメスープでよく煮込んだものに、そのパスタを加えることもあるようだ。いずれの場合も、仕上げには、エキストラバージンオリーブオイルとパルミッジャーノチーズをかけるのは、米で作るお粥と同じだ。
また、風邪で熱のあるときは、ホットミルクに蜂蜜とウォッカを加えたものを飲むことも多いようだ。それを飲むと、身体がポカポカと温まり、汗が出て、自然と熱も下げることができるとのこと。
結論
イタリアの風邪に対する考え方、風邪予防ドリンク、および風邪ごはんについて紹介した。ご納得いただけただろうか?基本的に、風邪のときは温めて栄養をつけるという点は、イタリアも日本もほぼ同じといえそうだ。ただ、イタリアには、日本のような風邪薬はほとんどないようで、薬を飲む場合は、鎮痛剤を飲むのが通常のようだ。
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