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メロンは野菜ってホント?果物との定義の違いも交えて詳しく解説!

メロンは野菜ってホント?果物との定義の違いも交えて詳しく解説!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2021年8月10日

夏の渇きを癒してくれるような甘い果汁を有するメロン。食後のデザートとしてメロンを愛する人は少なくないだろう。じつは、農林水産省では、メロンが野菜の扱いになっていることをご存知だろうか?メロンがなぜ野菜として扱われているのか?そもそも野菜と果物とはどこがどう違うのか? 本記事では、メロンが野菜と分類される理由や野菜としての食し方を紹介する。

  

1. そもそも「野菜」と「果物」の定義は?

メロンが野菜と聞いてもピンとこないが、分類学的に見て野菜の範疇となるフルーツは存外に多いのである。我々消費者は、食材の味覚を拠り所にして野菜か果物かを分ける傾向がある。実際に野菜と果物はなにを基準にカテゴリーに分けるのか、その定義を見てみよう。

野菜の定義

まず、日本大百科全書によれば野菜とは「副食物として栽培・利用される草本性植物」を指す。農林水産省は、野菜を以下のように区分している(※1)。
  • 根菜類
  • 葉茎菜類
  • 果菜類
このうち、きゅうりやカボチャ、トマトなどとともに、メロンも果菜類のひとつとされているのである。果菜とは、果実の部分を食する野菜である。ナスやウリの仲間の多くは果菜であり、メロンはウリ科に属する。

果物の定義

一方、果物の定義を見てみると世界大百科事典の記述では「果物という言葉が日常語であり、その範囲は必ずしも明確ではない」とある。一般的に、草本性植物のうちデザートとなりうるタイプを果物と呼ぶ。農林水産省では野菜生産出荷統計の調査対象品目において、メロンやいちごを「果実的野菜」と定義している(※1)。

生産者から見た野菜と果物の違い

生産者から見た野菜と果物の相違については、農林水産省の定義に準ずる。つまり、野菜と定義されたメロンは、生産者にとっても野菜と認識されるのである。

消費者から見た野菜と果物の違い

食材が野菜か果物かいずれに属するのか、学術的には意味があっても消費者にとってはそれほど大きな問題ではない。消費者から見たこの相違は、種まで食べるものが野菜、種を残すものが果物といった点や、木になるか蔬菜(そさい)かで分ける程度にとどまる。また、スーパーの販売コーナーでの表示を基本とする人も多いだろう。

野菜と果物の定義は国によっても異なる

また、それぞれの国によっても野菜や果物に関する観念を異にするケースもある。植物学的に見て、木のなり物や蔬菜の一部が果物と認識されるが、国や学者によってはトマトやキュウリも果物に属すると主張される場合もある。いずれにしても、野菜と果物の境界線はそれほどはっきりしていないという認識でよいだろう。

2. 野菜と果物を区別する方法

学問の分野ではメロンやいちごは野菜に属するが、我々一般人は野菜と果物をどのように区別すればよいのだろうか。通常の感覚であれば、メロンのように甘みのあるものを野菜とするのは納得がいかないというのが本音である。ここで、野菜と果物を区別する方法を学んでみよう。

食べ方で区別する

野菜と果物を分ける特徴のうち最もわかりやすいのは、その食材のどの部分を食するかということであろう。果物は果実の部分しか食べないのに対し、野菜は茎や花の部分も食することが多い。大根やブロッコリー、みょうがなどは、葉や茎や花の部分も食べるため、野菜ということになる。一方、メロンやオレンジは実の部分のみを食するという観点から果物となる。

調理方法や食卓への出し方で区別する

食べるときのスタイルで、果物と野菜を見分ける方法も実践的だ。たとえば、調理したり味付けが必要なものは野菜、生でそのまま美味しく食べることができるのが果物、という方法である。あるいはもっとわかりやすく、おかずとして食べるのが野菜であり、おやつや食後にその甘みや酸味を楽しむのが果物と分けるという手もある。

栽培方法や収穫方法で区別する

その食材がどのように栽培され収穫されるのかで、野菜と果物を分けるという方法もある。たとえば、蔬菜とされているものは野菜と区別し、果樹から収穫する実を果物とする説である。その場合、種や苗から植えて栽培し収穫するのが野菜であり、木の苗を植えてもある程度年数を経ないと収穫できないのが果物ということになる。この定義に沿えば、メロンは野菜の範疇にある。

3. メロンは野菜?それとも果物?

果物の定義が曖昧であるため、日本国内でも観点が異なるとメロンは野菜になったり果物になったりするのである。日本の象徴はメロンをどのように分類しているのであろうか。それぞれのメロンの扱いを紹介する。

文部科学省ではメロンは野菜ではなく果物

文部科学省が運営している食品成分データベースでは、メロンは果実類に分類されている(※2)。日本国語大辞典によれば、果実は「植物の成熟した果皮及び付属物」であり「果物」の分類である。つまり、文科省はメロンを果物と定義していることになる。

厚生労働省でもメロンは野菜ではなく果物

厚生労働省はどうだろうか。同省が公表している「特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム」を鑑みると(※3)、メロンの扱いは明白である。つまり、水分量が8~9割であり糖質やビタミンCを含んでいるなどの栄養面での特徴を理由に、果実類に分類されている。つまり、厚生労働省はメロンを果物とみなしている。

農林水産省ではメロンは野菜

農林水産省におけるメロンの扱いは、上述したごとく野菜である(※1)。野菜の区分としては果菜であり、野菜生産出荷統計の調査対象品目においては果実的野菜という呼称となる。

4. メロンは野菜の中でも「果実的野菜」に分類される

農林水産省ではメロンを野菜の中の果実的野菜と分類している。耳慣れない果実的野菜とは、具体的にどんなものを指すのであろうか。農林水産省のホームページには、果実的野菜の明確な定義というのは公表されていない。ここで、果実的野菜なるものについていくつか推測してみよう。

メロンのほかイチゴやスイカなども果実的野菜に分類される

農林水産省のホームページでは、果実的野菜としてメロンのほかにいちごとスイカが挙げられている。これについて農林水産省は、栽培方法を理由に挙げている(※4)。つまり、果樹になる実ではなく、苗を植えて1年で収穫できる条件をもつものについては野菜であるとしているのである。しかし、一般的な認識ではいちごやメロンは果物である。このことから、果実的野菜という名称が生まれたと推測されるのである。

5. メロンは野菜か果物か?それは立場によっても変わる

野菜と果物の境界の線引きは存外に複雑であることがわかったが、メロンはまさにその境界線付近に位置する食材なのである。日本国内の象徴によっても扱いが変わるように、生産者や消費者の立場からも、その扱いは異なってくる。そのあたりを総括的にまとめてみよう。

生産者の視点ならメロンは野菜

農林水産省が野菜と定義するものの条件は以下となる(※4)。
  • 食用となる草本性の植物であること
  • 加工の程度が低い状態で副食物とされること
  • 苗や種から1年で収穫できるもの
メロンは以上の条件を満たしていることから、生産者の視点では野菜となる。

販売者や消費者の視点ならメロンは野菜ではなく果物

一方、スーパーなどの販売店での扱いを見れば明らかであるように、消費者のわれわれから見ればメロンは果物である。理由としては、甘みが強くデザートとして食すものであり、加熱しておかずとして供することはまれであることが挙げられるであろう。

6. メロンを野菜として食べるアレンジレシピ

メロンが野菜であると知ったところでトライしたいのが、おかずのようにメロンを活用する方法である。甘いメロンは、食事用にするには制限があるかもしれない。しかし、真夏の渇きを癒してくれるようなみずみずしさをぜひ料理に活用してみよう。

サラダ

メロンといえば生ハムとの組み合わせが有名である。もちろん、生ハムメロンとして食べるのは食欲が落ちる盛夏の前菜として気が利いている。そのほか、夏野菜のきゅうりとともにオリーブオイルでサラダにするのも涼しげだ。胡椒でアクセントをつけて、夏の美味を堪能したい。

ガスパチョ

スペイン料理として知られるガスパチョにも、メロンは活用できる。トマトやパプリカ、きゅうりなどの夏野菜をジューサーでスープ状にするこの料理、地中海では果物を加えることも多い。メロンもジューサーに加えて、夏らしい風情を演出できる。甘くなりすぎないように量を調節するほか、ボリュームを出したい場合にはパンを加えるとよい。

漬け物で

メロンの産地では、摘果メロンが販売されていることがある。このメロンにはまだ甘みがのっていないため、市販の漬け物の素などを活用して自家製のメロンの漬け物が楽しめる。白いごはんに合うほか、よく浸かった漬け物ならばチャーハンの具にしてもよいアクセントになる。

7. メロンは野菜でもあり果物でもある

総括してみよう。メロンが野菜であるのか果物であるのかは、どのような視点に立つかによって変わる。我々一般人の感覚では、おかずになりにくい甘さを有しているメロンは果物である。一方、農林水産省が定義する野菜の条件に当てはまるメロンは、生産者にとっては野菜のくくりとなる。これは、日本国内の省庁内でも扱いが異なるのと同様、世界でも国や学者によって主張が異なるのである。一辺倒ではいかないテーマといったところであろうか。

結論

夏の果物として定着しているメロンは、実は野菜であると取り沙汰されることが少なくない。メロンが野菜か果物かを突きつめていくと、農林水産省による野菜の定義に行きつく。その条件をクリアするメロンは、果実的野菜として分類されている。しかし、果物としてのメロンのイメージが一般的であり、文部科学省や厚生労働省は果物の扱いをしている。これを機会に、メロンを野菜的に食べるメニューにもぜひ挑戦してみてほしい。
(参考文献)
1.農林水産省「野菜類の区分はどのようになっているのか教えてください。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1205/05a.html
2.文部科学省「食品成分データベース( 果実類/メロン/温室メロン/生)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07134_7
3.厚生労働省「特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf
4.農林水産省「野菜の定義について」
https://www.alic.go.jp/content/000093223.pdf
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  • 公開日:

    2021年6月12日

  • 更新日:

    2021年8月10日

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