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醤油の種類や栄養、正しい保存方法とは?専門家に聞いてみた!

醤油の種類や栄養、正しい保存方法とは?専門家に聞いてみた!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

鉛筆アイコン 2021年11月 2日

日々の食卓に欠かせない「醤油」。味付けに使う意味合いが強く、その栄養成分や普段の保存方法について気にしたことのない人も多いのではないだろうか?今回はそんな醤油の種類や製造方法、意外と知らない栄養成分の効能などを東京農業大学醸造科学科の教授、前橋健二先生に詳しく聞いてみた。

  

1. 醤油の製造方法


ー醤油はどのようにつくられるのでしょうか?

醤油の種類によって作り方は多少違いますが、原料に大豆を使うことと麹を使うことは共通です。おおまかな製造工程は、原料に麹菌を生やして麹をつくる、麹を塩水に漬け込んで発酵させる、もろみを搾って醤油をとる、調整して製品にする、となります。

濃口醤油の製造方法

最も一般的な濃口醤油の製造法をもう少し詳しく説明すると、まず原料は、大豆と小麦を等量ずつ使います。
大豆は蒸煮して、小麦は焙煎(「炒ごう」という)した後細かく砕きます(「割砕」という)。蒸煮大豆と炒ごう割砕小麦を混ぜて、これに種麹を植え付けて培養します(「製麹せいきく」という)。できあがった醤油麹を、木桶またはタンクの中で1.2倍くらいの食塩水に漬け込みます。この状態を「もろみ」といいます。
仕込んだもろみ中で、麹菌の酵素の働きによって、デンプンやタンパク質の分解が徐々に進みます。糖やアミノ酸ができて、甘味やうま味になります。
もろみ中で最初に増殖してくるのは乳酸菌で、続いて増殖してくるのは酵母です。醤油に使われる乳酸菌や酵母は、食塩に強い「耐塩性」なので、高い食塩濃度のもろみの中でもよく増殖して発酵します。乳酸菌の乳酸発酵で酸味ができ、味のしまりがよくなります。
酵母が発酵するとガスが出てもろみの表面で泡がブクブクはじけます。職人は棒でもろみをかき混ぜて酵母の発酵を促します。この作業を「櫂入れ」といいます。酵母が発酵すると醤油らしい香りができるので、これは重要な作業です。
半年くらい発酵・熟成させると、もろみはドロドロの泥状になり、色はすっかり黒くなり、香りは豊かで醤油らしくなります。醤油の色は、デンプンからできた糖とタンパク質からできたアミノ酸が化学反応(メイラード反応という)してできた赤色の色素によるものです。
発酵・熟成が終了したもろみは、圧搾袋に入れてプレスし、液汁をとります。これを生揚げ(きあげ)または生醤油(きじょうゆ)といいます。生揚げはさらに加熱殺菌(火入れという)やろ過されて、清澄な液体の製品になります。なお、加熱殺菌しないものは生醤油(なましょうゆ)と呼ばれます。


2. 醤油の種類


ー醤油にはどのような種類があるのでしょうか?

醤油は日本農林規格で5種類に分類されています。濃口醤油(こいくちしょうゆ)、淡口醤油(うすくちしょうゆ)、溜り醤油(たまりしょうゆ)、白醤油(しろしょうゆ)、そして再仕込み醤油(さいしこみしょうゆ)です。
濃口醤油は関東で発達して全国に広まった醤油です。全国の醤油の生産量の8割以上を占めます。
淡口醤油は、色が薄い(淡い)ので淡口醤油といいます。よく「薄口醤油」と誤記されます。色の淡い関西料理に適した醤油で、兵庫県龍野で発祥しました。原料は濃口醤油とほぼ同じで等量の大豆と小麦ですが、製造工程のいろいろなところで着色を抑える工夫がされています。
白醤油は愛知県碧南市を産地とする色が極端に薄い醤油です。原料のほとんどが小麦で、大豆はほんの少量です。白だしやつゆのベースに使われます。
溜り醤油は、東海地方の豆味噌の産地でつくられている、大豆だけで作られる醤油です。もともとは豆味噌の仕込みで出る溜り汁で、醤油のルーツとも言われています。色も味も濃厚です。
再仕込み醤油は、濃口醤油のもろみを搾って生揚げ醤油をとった後、生揚げ醤油に醤油麹を加えてもう一度仕込を行う醤油です。二回分の麹成分が溶け出しているので、成分が濃厚になっています。再仕込み醤油の発祥は山口県柳井地方です。

味わいの違い

濃口醤油は、乳酸菌と酵母でよく発酵しているため、香り豊かで濃く鮮やかな赤色です。
淡口醤油は、仕込みの水を少し多めにしたり、食塩濃度を少し高めにして発酵が抑えられているので、濃口醤油より若干うま味成分が少ないものがあります。味の物足りなさを補うため、甘酒や米発酵物が甘味成分として加えられています。
溜り醤油は原料のすべてまたはほとんどが大豆であるため、グルタミン酸含量が他の醤油よりも高く、強いうま味を持ちます。

塩分濃度の違い

濃口醤油の食塩濃度は16%くらいです。淡口(うすくち)醤油は、色は淡いのですが塩味は濃口醤油よりも強めです。食塩濃度が高いため、少ない量で味付けできて色を薄く仕上げる料理に向きます。白醤油はもっと食塩濃度が高めで、さらに色を薄く仕上げることができます。ですから、淡口醤油や白醤油を使うときは、色を見て量を決めると塩味が強くなり過ぎてしまうので注意しましょう。溜り醤油や再仕込み醤油はうま味が濃厚ですが塩分はやや低めです。

3. 醤油の栄養や効果



ー醤油にはどのような栄養があるのでしょうか?

醤油には、原料の大豆と小麦に由来する栄養分が含まれています。大豆はどんな種類の醤油にも必ず含まれているので、味噌と同じく大豆の栄養を摂れる調味料です。
また、醤油には味噌と同じように、栄養だけでなく様々な機能性成分も含まれることがわかってきました。大豆由来成分で主要なものを上げると、イソフラボンです。これはポリフェノールの一種で、抗酸化力で血管の老化や肌あれの防止に効果がある物質です。
体を作るのに必要なアミノ酸も豊富に含まれます。醤油の原料である大豆と小麦は代表的なアレルゲン食品ですが、製造過程で麹菌の酵素で分解されると、アレルゲン性を持たないアミノ酸やペプチドに変わります。
大豆タンパク質が発酵過程で分解してできるペプチドには、血圧降下作用をもつものがあります。またニコチアナミンというアミノ酸の一種にも血圧降下作用があります。

発酵による栄養への影響

大豆成分の多糖は発酵過程で分解を受けますが、いくらかは水溶性の高分子として醤油に残っています。この醤油多糖には抗アレルギー作用や免疫調節作用が知られています。鼻水・鼻づまりなどのアレルギー症状を和らげてくれます。また、この醤油多糖には鉄吸収を促進する効果もあります。
さらに、醤油の特徴的な甘い香りの物質や褐色の色素成分には、抗酸化作用や抗腫瘍作用があります。

ー原料である大豆由来の栄養を含んでいるんですね。どの程度であれば醤油を摂取しても問題はないのでしょうか?

醤油には様々な栄養成分や機能性成分が含まれますが、食塩を含む調味料ですので、摂取する量は塩分濃度によって決まります。
一般においしいと感じる塩分濃度は1%前後です。ですので、使用するときは料理全体で塩分が1%になるように考える必要があります。濃口醤油の塩分はだいたい16%ですので、料理の16分の1です。80 gの料理に対して醤油小さじ1杯くらいの計算になります。

4. 醤油の保存方法


ー醤油はどのように保存すればよいでしょうか?

醤油は高濃度食塩が含まれるため、常温で保管していても腐敗することはありません。また、保存のためにアルコールが少量加えられている製品も多くあります。
しかし、注ぎ口や液垂れしたところにカビが生えることがありますので、容器は常に清潔にしておきましょう。


ー常温保存でも腐敗はしないんですね。品質が変化することもないのでしょうか?

醤油の色は成分の糖とアミノ酸との化学反応でできるものですが、この反応は温度と光によって促進されます。常温で放置しておくと、どんどん色が濃くなっていきます。光のあたらない涼しい場所として、冷蔵庫に保管すれば着色はかなり抑えられます。
また、醤油の甘い香りは揮発性の物質のため、保管中に飛んでいき、古くなると匂いが変化してしまいます。このためにも、醤油は冷蔵庫で保管したほうが新鮮な甘い香りを長持ちさせることができます。

醤油さしを選ぶポイント

卓上の醤油さしは便利ですが、注ぎ口に穴が開いているものは保存の上からはあまりよくありません。酸素は品質劣化の大きな要因なので、空気と触れないように密閉して保存するのが理想です。近年は、全く空気と触れずに保存できる容器が開発されて、醤油製品の容器としてよく利用されています。

ー醤油を保管するおすすめの方法はありますか?

醤油にニンニクを漬けこんでニンニク醤油にしたり、かつおだし・みりん等を加えてだし醤油やめんつゆにしたりと、いろいろ工夫して醤油加工品をつくって常備しておくと便利です。しかし、醤油自身は保存性が高くても醤油加工品の場合は腐敗したり劣化したりしやすいので、一般の食品と同じようになるべく早く消費する必要があります。

結論

醤油にはさまざまな種類があり、味わいだけではなく栄養も豊かであることを教えていただいた。おいしくいただくうえでは保存方法も重要なポイントだ。日々の食卓に欠かせない醤油を、種類を変えたり、保存方法を見直すなどして、楽しく味わってみよう。
  • 公開日:

    2021年10月31日

  • 更新日:

    2021年11月 2日

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