目次
- 1. 実は簡単!重曹を使ったわらびの下処理方法
- 2. わらびの下処理は重曹なしでもできる?
- 3. 下処理済わらびの保存方法
- 4. わらびの天ぷらに下処理は必要?
- 5. 山菜の風味たっぷり!下処理したわらびのおすすめ料理
1. 実は簡単!重曹を使ったわらびの下処理方法

わらびの下ごしらえのためには、重曹を使ったあく抜きが必須である。わらびに含まれるプタキロシドという物質には毒性がある(※1)ことが1965年に発見されたからである。わらびのあく抜きは決して難しい作業ではない。その下処理の方法を見てみよう。
STEP1:わらびの下処理をする
まず入手したわらびの下処理をする。固めの根元の部分、開きすぎた頭部を除去する。わらびを軽く水洗いして、大きめの鍋や容器に入れる。ここから熱湯と重曹を使用してあく抜きをする手順に入る。
STEP2:重曹であく抜きする
鍋や容器の中に丸めるようにわらびを入れたら、重曹をふりかける。わらび500gに対して重曹は小さじに1~2杯程度である。ここに沸騰した湯を投入する。沸騰した湯はしばらく置いて粗熱を取るのがよいだろう。量は1000ccを基準とする。わらびが水に浸かるくらいの量を目安としよう。
STEP3:放置する
熱湯と重曹につけたわらびはそのまま放置する。落し蓋をしたあと一晩、約8時間そのままにしておくのである。この工程が終わったら、わらびを何度か水洗いする。水が黒くならなくなるまで繰り返し、きれいな水に半日ほど漬けておくとよいだろう。あく抜きが終了したらわらびはなるべく早めに消費するのがベターである。
わらびの穂先は取らなくても大丈夫?
わらびの下処理をする上で悩むのが穂先をどうするかについてである。穂先にはわずかに苦味多あるため、山菜特有のこうした風味を愛する人はそのままにしておいても問題ない。しかし穂先はことのほかあくが強いともいわれており、開きすぎてしまったものは除去するのが無難である。
あく抜きに失敗したときの対処法
あく抜きの際のお湯の温度が適当でなかったり、重曹の量が多すぎたりすると、あく抜きが失敗することもある。その場合には、多少手間がかかってもあく抜きの手順を最初から繰り返すのがよいだろう。また、わずかなあくが気になる場合にはきれいな水にしばらく浸けておくのもひとつの手である。
2. わらびの下処理は重曹なしでもできる?

わらびのあく抜きのためには重曹を使うのが基本である。それでは、わらびの下処理に使用する重曹がない場合は別のものでも代替可能なのだろうか。答えはイエスである。ただし少数派のあく抜き法もあることから、あくまで参考程度にとどめよう。あく抜きがうまくいった場合には、切り口部分がトロリとしている。この現象を規範としつつ、重曹を使用しないわらびのあく抜きについて見てみよう。
灰を使ったあく抜き
わらびの下処理に使用できるもの、それは木炭である。重曹がない場合には、わらび400gに対して一握りの木炭を重曹の代替として使用することができる。手順は重曹を使ったあく抜きと変わりない。重曹を使うよりも木炭を使ったほうが仕上がりの風味がいいともいわれている。木炭は、薪ストーブなどから出る自宅にあるものでもよいし、通販であく抜き用として販売されているものでもよいだろう。
お湯だけであく抜き
重曹がない場合にお湯だけであく抜きは可能なのだろうか。家庭によってはその家直伝の方法で重曹を使わずお湯だけであく抜きをする場合もあるようだ。この場合は鍋に入れた水とわらびは沸騰させて5分ほど煮る。茹で上がった後、完全に冷めるのを待ってきれいな冷水にわらびを数時間つけておくのである。重曹によるわらびの風味の損失を妨げられるともいわれているが、これによって完全なあく抜きができるかは不明である。このような方法をとる家庭もある、くらいの認識にとどめておくのが無難であろう。
塩であく抜き
家庭に必ずある食材を使ってわらびのあく抜きはできるだろうか。たとえば塩はどうだろう。非常に少数派ではあるが、塩を使ってわらびのあく抜きをする方法はある。穂先や根本の処理をしたわらびを鍋に入れ、水1?に対して塩を50gほど入れて火をかける。沸騰後に20分ほど加熱し、わらびをしっかりと水で洗う。きれいな水に洗ったわらびを入れて半日以上放置するという方法である。
小麦粉であく抜き
さらに、塩と小麦粉を使ったあく抜きの方法も存在する。この場合はわらびに対して多めの水を用意し、水1.5?に対して小麦粉を大さじ6、塩は小さじ2で対応する。水にしっかりとこれらを溶かしたあと沸騰させ、処理したわらびを投入する。4分ほど加熱し、冷水に入れて数10分浸しておくのである。
ぬかであく抜き
タケノコのあく抜きのようにわらびをぬかであく抜きする方法もあるようだ。根元や穂先の部分を処理したらわらびを鍋に入れ、ぬかをまぶしておく。わらびが浸かるくらいまで水を入れて沸騰させ、数分後に火を切る。湯が完全に冷めたらわらびをしっかりと水洗いするのである。この方法も少数派であることをよく覚えておこう。
3. 下処理済わらびの保存方法

あく抜きがうまくいったわらびの美味しさは格別である。これを最後まで美味しく食べるにはどのように保存したらよいのだろうか。あく抜きしたわらびの日持ちは3日ほどと心得ておこう。どうしても食べきれない場合は水に浸けたまま冷蔵保存することになる。水は毎日取りかえて清潔に保ち、1週間以内に食べきるのが基本となる。料理するにあたってはさらにきれいな水で洗い、20分ほど浸けてから使うと風味がよい。しかし時間の経過とともにわらびの味わいは落ちてしまうため、すぐに食べない場合には冷凍保存をおすすめする。冷凍保存をする場合には水気はしっかりと除去し、小分けにして専用の袋に入れて冷凍しよう。こちらも早めの消費が望ましい。また乾燥させたり塩漬けにする方法も存在する。
4. わらびの天ぷらに下処理は必要?

わらびを天ぷらは、おかずとしてだけではなくおつまみとしても美味しい料理である。天ぷらに料理する場合には、わらびはあく抜きが必要ないという風説があるようだ。しかし、わらびのあく抜きは前述したように風味のためだけに行うのではない。毒性のある成分の除去も目的のひとつであることから(※1)、天ぷらにする場合にもあく抜きの作業は飛ばさないようにしよう。
5. 山菜の風味たっぷり!下処理したわらびのおすすめ料理

春の山菜代表ともいえるわらびは、下処理後にどんな食べ方ができるだろうか。前述した天ぷらはもちろん、おひたしとして食べることが多いかもしれない。醤油とかつおぶしで食べる王道のおひたしから、マヨネーズや味噌を使った応用編も趣が変わって美味しい。目先を変えてナムルのようにエスニックに楽しんでも乙である。また、炊き込みご飯や炒飯の具にすれば、主食で春の香りを堪能できるだろう。限られた時期しか食べられないわらび、ぜひ心ゆくまで楽しんでほしい。
結論
わらびは下処理が必須の山菜であり、あく抜きをしなくては食用に向かない。風味をよくするためだけではなく、わらびに含まれる成分の除去に必要な工程なのである。下処理には重曹が使用されることが多いが、代替の方法もある。上手に下処理ができたわらびは正しい方法で保存し、春の風物を最後まで美味しく食べきってほしい。
(参考文献)
※1独立行政法人農畜産業振興機構「山菜のすすめ」