1. 手軽にタンパク質を摂れる食品

筋肉を作るために欠かせないのがタンパク質だ。タンパク質は身体の中でアミノ酸に分解されるが、アミノ酸の中で筋肉の保持と増量に最も重要な役割を果たすのが、分岐鎖アミノ酸(BCAA)だ。BCAAはアミノ酸の種類である、バリン・ロイシン・イソロイシンの総称だ。このアミノ酸は身体の中で作ることができないため、必須アミノ酸とも呼ばれている。BCAAは筋肉の分解を抑制し、筋肉のエネルギー源となる。とくに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人は、呼吸筋を激しく使うので、呼吸筋の損傷を防ぐという意味でBCAAは欠かせない栄養素だ(※1)。まず、コンビニやスーパーで購入できるような手軽にタンパク質を摂れる食品を紹介しよう。
肉類
食肉のタンパク質は抗疲労作用があるといわれている。タンパク質の種類をいろいろと変えた餌をマウスに与えて強制的に泳がせる実験で、食肉のタンパク質を添加していた餌の群が1番バテずに長く泳いだという(※2)。
肉類に含まれるBCAAの量(※1)
鶏肉(胸肉)100g:4.3g
鶏肉(もも肉)100g:3.3g
牛肉(サーロイン)100g:2.4g
魚介類
魚を食べる機会が減ったと感じている人もいるようだが、 魚介類には良質の動物性タンパク質が含まれている(※3)。
魚介類に含まれるBCAAの量(※1)
マグロ赤身 刺身約8切れ:4.8g
アジ 中1匹:3.8g
サンマ 中1匹:3.7g
卵類
卵はタンパク質を多く含む食品のひとつだ。卵黄と卵白に含まれるタンパク質は、必須アミノ酸がバランスよく含まれている。また質的に動物性タンパク質の中で最も優れており、栄養価が高いといわれている(※4)。
卵類に含まれるBCAAの量(※1)
卵1個(50g):2.6g
乳類
牛乳にはタンパク質とカルシウムが豊富に含まれており、骨を丈夫にするといわれている(※5)。
乳類に含まれるBCAAの量(※1)
牛乳コップ1杯(200ml):1.4g
チーズ小1個(20g):1.0g
豆類
大豆はタンパク質が30%以上と非常に多く含まれており、畑の肉と呼ばれるほどだ(※6)
豆類に含まれるBCAAの量(※1)
凍り豆腐1枚16g:1.6g
納豆1パック(50g):1.2g
穀類
穀類はリジンが豊富な豆類や動物性食品と一緒に摂ると、必須アミノ酸のバランスがよくなる(※9)。
穀類に含まれるたんぱく質量(※9)
焼きふ 車ふ:30.2g
えんばく オートミール:13.7g
ロールパン:10.1g
とくに牛乳や納豆はコンビニで購入でき、手軽にタンパク質を摂取できるのが嬉しいポイントだ。
2. 手軽にタンパク質を摂る方法

次に具体的に手軽にタンパク質を摂る方法を紹介しよう。タンパク質を豊富に含む食材をピックアップして紹介すると、 動物性では肉・魚・牛乳・チーズ・卵など。植物性は大豆を使う豆腐や納豆などだ(※1)。
組み合わせて摂る
簡単かつ手軽にタンパク質を摂る方法のひとつが、組み合わせやバランスよく摂取することだ。タンパク質のみならず栄養的にすべての要素を満たそうとすれば、毎日の食生活でさまざまな食品をバランスよく適量食べることが大切といえるだろう(※7)。
朝からしっかりと摂る
早稲田大学の研究グループによると、朝食でタンパク質を摂取すると筋肉量の増加に効果が期待できることが、高齢者やマウスを対象にした研究でわかったと発表した。また夕食でタンパク質を多く摂取している人と比較すると、朝食でタンパク質を多く食べている人の方が、骨格筋肉量の指標の骨格筋指数(四肢の筋肉量(kg)を身長(m)の2乗で割った値)や、握力が高かった(※8)。朝から卵や納豆で手軽にタンパク質を摂取してみてはいかがだろうか。
3. 手軽にタンパク質を摂る重要性

ここでは手軽にタンパク質を摂る重要性を解説しよう。
タンパク質の不足
タンパク質が不足すると身体にどういった影響があるのだろうか。タンパク質は身体を作る構成要素をはじめ、ホルモンや酵素のような身体の機能を調節する働きがある。不足すると免疫機能が低下しやすくなり抵抗力が弱まる。するとさまざまな病気にかかりやすくなる(※9)。病気にかからないために、日頃から気軽にタンパク質を摂ることは大切といえるだろう。
1日に必要なタンパク質
1日に必要なたんぱく質の摂取基準量について紹介しよう。
男性のタンパク質の1日の摂取推奨量(※9)
1~2歳:20g
3~5歳:25g
6~7歳:30g
8~9歳:40g
10~11歳:45g
12~14歳:60g
15~17歳:65g
18~29歳:65g
30~49歳:65g
50~64歳:65g
65~74歳:60g
75歳以上:60g
女性のタンパク質の1日の摂取推奨量(※9)
1~2歳:20g
3~5歳:25g
6~7歳:30g
8~9歳:40g
10~11歳:50g
12~14歳:55g
15~17歳:55g
18~29歳:50g
30~49歳:50g
50~64歳:50g
65~74歳:50g
75歳以上:50g
妊婦(付加量)中期:+5g
妊婦(付加量)後期:+25g
授乳婦(付加量):+20g
推奨量を目安に手軽にタンパク質を摂取してもらいたい。
結論
手軽にタンパク質を摂る方法を紹介した。三大栄養素のひとつであるタンパク質だが、一般的な食品スーパーやコンビニのような身近なところで購入できるのが嬉しいポイントだ。牛乳や納豆のようにとくに調理せずそのまま食べられるものもあるので、ぜひ手軽に摂取してもらいたい。
(参考文献)
- ※1出典:独立行政法人 環境再生保全機構「筋肉量を増やすために必要な栄養素「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」」 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/49/medical/medical05.html
- ※2出典:公益財団法人 日本食肉消費総合センター「食肉に含まれるタンパク質の特徴は?」 http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui4/q_078.html
- ※3出典:農林水産省「特集1 だから、お魚を食べよう!(1)」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1401/spe1_01.html
- ※4出典:東京都衛生局「卵のはなし」 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/tamago/files/tamago_no_hanasi.pdf
- ※5出典:公益社団法人 栃木県獣医師会「牛乳の栄養について。(なぜ、牛乳が骨を丈夫にするのか?)」 https://tochigi-vet.or.jp/other/sangyou/sangyou_04.html
- ※6出典:公益財団法人 日本豆類協会「豆の主な栄養素」 https://www.mame.or.jp/eiyou/eiyou.html
- ※7出典:科学技術振興機構「たんぱく質の栄養価評価法について」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei1957/36/3/36_3_163/_pdf/-char/ja
- ※8出典:科学技術振興機構「朝食でタンパク質をしっかり取るのが筋肉量増加に効果的 早大研究で判明」 https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210715_n01/
- ※9出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html