目次
- じゃがいも(皮付き、生):420mg(※1)
- じゃがいも(皮なし、生):410mg(※2)
- じゃがいも(皮なし、蒸し):420mg(※3)
- じゃがいも(皮なし、水煮):340mg(※4)
- 男性(18歳以上):2500mg
- 女性(18歳以上):2000mg
- 男性(18歳以上):3000mg
- 女性(18歳以上):2600mg
- 男性:目安量の約25%、目標量の約21%
- 女性:目安量の約32%、目標量の約24%
- 推定腎機能30~44:2000mg以内
- 推定腎機能29未満:1500mg以内
- ※1~4:いも及びでん粉類/<いも類>/じゃがいも/塊茎/皮つき/生|文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02063_7
- ※5出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
- ※6:e-ヘルスネット「カリウム」|厚生労働省 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
- ※7:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p307カリウムの食事摂取基準(mg/日)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf
- ※8出典:独立行政法人国立病院機構北海道医療センター「わかりやすい腎臓病の話 カリウムについて(2)」 https://hokkaido-mc.hosp.go.jp/column/kidney_002.html
- ※9出典:医療法人財団はまゆう会 新王子病院「栄養部からのお知らせ」 http://www.hamayuukai.or.jp/wp-content/uploads/2016/09/%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%98%E5%B9%B4%EF%BC%99%E6%9C%88.pdf
1. じゃがいもに含まれるカリウム

じゃがいものカリウム含有量と、カリウムの働きや効果について見ていこう。
カリウムの量
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、じゃがいも可食部100gあたりのカリウム含有量は下記の通りである。
特徴と働き
カリウムはミネラルの一種で、成人の体内に約120~200g含まれる。ほとんどは細胞内に存在し、ナトリウムとともに細胞の浸透圧の維持、調整を行う。また、酸・塩基平衡を維持する働きや、神経刺激の伝達、心臓や筋肉の機能調節などさまざまな働きをする。
体内でのカリウム量は、腎臓の働きにより維持される。腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し排泄を促すため、ナトリウムの過剰摂取による高血圧などを防ぐ効果も期待できる。(※5、6)
2. じゃがいものカリウムと摂取量

じゃがいも100gあたりのカリウム量は、生や蒸した場合で410~420mg、茹でた場合で340mgであることがわかった(※1~4)。では、この量は1日あたりの摂取基準量に対してどうなのだろうか。また、カリウムが不足したり逆に過剰摂取したりすると、どのような影響が出るのだろうか。
1日の摂取基準量
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(※7)では、1日あたりのカリウム摂取目安量と目標量は下記のように設定されている。
目安量(体内のカリウム平衡維持に適正とされる量)
目標量(生活習慣病の予防を目的とした量)
蒸しじゃがいも中サイズ1個(約150g)のカリウム含有量は約630mgである(※3)。1個食べることにより、目安量と目標量のうち下記の割合が満たされることになる。
腎機能が悪い場合の摂取量を記載
前述のように、カリウム量は腎臓で調整されている。腎機能が正常な場合は、過剰摂取のリスクが低いため耐容上限量が定められていない。しかし、腎臓病などで腎機能が低下している場合は、過剰なカリウムを排出できないため注意が必要だ。(※5)
そのため「慢性腎臓病の食事療法基準2014」では、腎機能が低下している人に関して下記の通りカリウムの上限量が設定されている(※8)。
血液透析療法中の患者に関しては、いも類の1日あたりの摂取量を50gまでと推奨する病院もある(※9)。腎機能が低下している場合は、医師と相談しながらカリウム摂取量を調整する必要があるだろう。
不足と過剰摂取について
カリウムが不足すると、ナトリウムの過剰摂取による高血圧などを予防できなくなる。また、脱力感や食欲不振、筋力低下、骨格筋の麻痺、不整脈などの欠乏症が生じることもある。ただし、カリウムはじゃがいも以外にもさまざまな食品に含まれるため、欠乏症のリスクは低い。(※5、6)
過剰摂取による影響に関しては、腎機能が低下している場合に高カリウム血症を引き起こすことがある。筋収縮が調整できなくなることから、四肢のしびれが起きる。さらに、心電図異常、重篤になると心停止を起こすケースもあるため注意が必要だ。(※5)
3. カリウムを含むじゃがいもの調理方法

じゃがいもに含まれるカリウムの量は、調理によっても変化する(※1~4)。カリウムを効率的に摂取したい場合、逆に量を減らしたい場合では、適切な調理方法が異なる。
効率よく摂取する調理方法
カリウムは水溶性の栄養素である(※5)。そのため、カリウムの量をできるだけ減らさずにじゃがいもを食べるには、蒸しいもやベイクドポテトにするとよい。
カリウムの量を減らす調理方法
カリウムを減らすには、じゃがいもを水にさらしたり茹でこぼしたりする方法が効果的だ。蒸しいも100gあたりのカリウム量は420mg(※3)だが、茹でいもにすれば340mg(※4)にまで減らすことができる。より効率的にカリウムを減らすには、細かく切るなどじゃがいもが水に触れる面積を増やすとよいだろう。
結論
じゃがいもにはカリウムが多く含まれているが、その量は蒸しいも1個で1日の摂取目標量の20~25%を満たす程度である。カリウムはほかの食品にも含まれるため、欠乏症のリスクは低い。腎機能が低下している場合を除いて、過剰摂取による影響も稀である。水溶性のカリウムは調理によって含有量を調整できるため、多く摂取したい場合と控えたい場合で、じゃがいもの食べ方を変えるとよい。
(参考文献)