目次
- 皮膚を守る
- 成長を促す
- 妊娠を維持する
- 骨を丈夫にする
- アレルギーを抑制する
- 身体の酸化を防ぐ
- けがやヤケドの回復を促す
- 脱毛(髪の毛が抜ける)を防ぐ
- 味覚と視覚、嗅覚を正常にする
- 糖尿病を防ぐ
- 精力増強
- 前立腺障害を防ぐ
- びらん・水疱・乾燥といった皮膚症状
- 成長が障害されて低身長になる
- 食欲不振
- 精子の形成が障害されて男性不妊の原因になる
- 性腺発育不全がおこる
- 脱毛
- キズの治りが遅い
- 無欲化・
- 情緒不安定
- 行動異常
- 記憶障害
- うつ症状
- 風邪を引きやすい
- 正常な味を感じない
- 鉄欠乏性貧血
- 下痢、胃腸障害が起こる
- 活性酸素障害が起こる
- ※1、2出典:文部科学省「豆類/だいず/[納豆類]/糸引き納豆」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04046_7
- ※3出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「亜鉛の働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-zn-cu.html
- ※4出典:科学技術振興機構「味噌など大豆発酵食品による亜鉛栄養改善の可能性」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/106/12/106_811/_pdf
- ※5出典:一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所「亜鉛」 https://www.orthomolecular.jp/nutrition/zn/
- ※6出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「主菜(肉・魚・卵・大豆料理)の摂取量の目安」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/niku-sakana-tamago-daizu.html
1. 納豆に含まれる亜鉛の量

最初に納豆に含まれる亜鉛の量と納豆の種類について紹介しよう。
糸引き納豆と挽きわり納豆
100gあたりの納豆に含まれる亜鉛の量(※1、2)
糸引き納豆:1.9mg
挽きわり納豆:1.3mg
糸引きと挽きわりでは糸引きのほうが亜鉛の量が多いことがわかるだろう。納豆とひと言でいっても、糸引き納豆や挽きわり納豆のようにいろいろな種類がある。それは納豆の原料である大豆の粒の大きさが異なるからだ。たとえば大粒・中粒・小粒・極小粒・超極小粒・丸大豆を割る挽きわりに分類される。昭和40年代頃までは大きい納豆が主流だったが、近年は極小粒納豆のほうが人気だ。理由は食べやすさや、ごはんにまぜやすいから、小さいほうが人気の背景になっているようだ。ちなみに納豆以外で亜鉛を多く含む食べ物は、魚介類、肉類、藻類、野菜類などだ(※3)。
2. 納豆と亜鉛の摂取量について

ここでは納豆に含まれる亜鉛の摂取推奨量について紹介しよう。
1日の推奨量
亜鉛の摂取推奨量を年齢、性別ごとに紹介する。
男性の亜鉛の1日の摂取推奨量(※3)
1~2歳:3mg
3~5歳:4mg
6~7歳:5mg
8~9歳:6mg
10~11歳:7mg
12~14歳:10mg
15~17歳:12mg
18~29歳:11mg
30~49歳:11mg
50~64歳:11mg
65~74歳:11mg
75歳以上:10mg
女性の亜鉛の1日の摂取推奨量(※3)
1~2歳:3mg
3~5歳:3mg
6~7歳:4mg
8~9歳:5mg
10~11歳:6mg
12~14歳:8mg
15~17歳:8mg
18~29歳:8mg
30~49歳:8mg
50~64歳:8mg
65~74歳:8mg
75歳以上:8mg
妊婦(付加量):+2mg
授乳婦(付加量):+4mg
1パックの納豆にはどれくらいの亜鉛が含まれているのだろうか。納豆はメーカーや商品によって1パックのg数が異なるが、30gや40g、50gといったものが多い。それぞれのパックに含まれる亜鉛の量を紹介する。
1パックの納豆に含まれる亜鉛の量(※1、2)
30gの糸引き納豆:0.6mg
30gの挽きわり納豆:0.4mg
40gの糸引き納豆:0.8mg
40gの挽きわり納豆:0.5mg
50gの糸引き納豆:1.0mg
50gの挽きわり納豆:0.7mg
納豆を1パック食べても1日の摂取推奨量には及ばないことがわかるだろう。
吸収を妨げるフィチン酸
大豆には亜鉛のほかにフィチン酸が多く含まれている(※4)。このフィチン酸は亜鉛の吸収を妨げる働きがある。また加工食品に多く含まれている食品添加物が亜鉛の吸収を阻害するため、亜鉛欠乏になる可能性がある(※3)。特定の食品に偏った食事をしないことが大切だが、納豆のような大豆発酵食品は発酵段階でフィチン酸が減少している(※4)。
3. 納豆に含まれる亜鉛の効果

最後に納豆に含まれる亜鉛の働きについて紹介しよう。
亜鉛の働き
納豆に含まれる亜鉛は動物性食品や全粒粉に多く含まれている栄養成分だ。食べ物から摂取すると小腸で吸収されるが、その吸収率は30%くらいといわれている。吸収された亜鉛の多くが、たんぱく質とくっついて存在する。また年齢とともに亜鉛の吸収率が低下する。亜鉛の健康効果は全身に及ぶ。(※5)具体的な効果を紹介しよう。
亜鉛の効果(※5)
このように亜鉛を摂取すると、さまざまな効果が期待できる。
不足や過剰摂取の影響は?
納豆に含まれる亜鉛の不足が続くと、出やすいのが皮膚症状だ。高齢者にみられる亜鉛不足の症状のひとつが味覚障害である。しかし最近では子どもと若者の味覚障害が問題になってきている(※5)。
亜鉛不足の症状(※5)
ではなぜ亜鉛が不足しやすいのだろうか。原因は加工食品や精製された穀類は亜鉛の含有量が低いからだ。このような食品を日常的に食べていると不足しやすいようだ。また菜食主義者も亜鉛不足になりやすい(※5)。
ちなみに食べ物から摂取する亜鉛は小腸で吸収されるが、吸収率は30%ほどだ。また年齢とともに亜鉛の吸収率は低下する。亜鉛の吸収を助ける因子のひとつが肉や卵のような動物性タンパク質だ(※5、6)。納豆と卵を一緒に食べるなら、納豆オムレツがおすすめ。
結論
納豆に含まれる栄養成分の亜鉛の特徴や摂取することで期待できる健康効果、亜鉛不足の症状を紹介した。これまでとくに亜鉛のことを意識せず、納豆を食べていたという人もいるだろう。これからは亜鉛摂取推奨量を意識して食べてみてはいかがだろうか。
(参考文献)