目次
- 1. 椎茸を食べ過ぎると体に害がある
- 2. 食べ過ぎは椎茸アレルギーの危険もある
- 3. 椎茸の食べ過ぎは腎臓に悪い?
- 4. 椎茸の食べ過ぎとはどのくらい?1日の摂取量の目安
- 5. 食べ過ぎなければ体に良い!椎茸の栄養素と効果
- ※1 ※12.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)きのこ類/しいたけ/乾しいたけ/乾」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08013_7&MODE=0
- ※2.ロッテ株式会社「食物繊維のとりすぎは体に悪い?過剰摂取の影響と適切な摂取量を解説」 https://www.lotte.co.jp/medipalette/2680/
- ※3.医療法人若杉会南平野クリニック「栄養と病気」 https://www.minamihiranoclinic.com/topix2/index.cgi?no=1
- ※4 ※5.公益財団法人痛風・尿酸財団「食品中のプリン体含有量一覧表」 https://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
- ※6.株式会社小学館「デジタル大辞泉(プリン体)」
- ※7.国立研究開発法人科学技術振興機構「エリタデニン高含有シイタケの開発とその脂質代謝に及ぼす影響」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/apmsb/11/4/11_KJ00007318233/_article/-char/ja/
- ※8.独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター広報委員会「しいたけ皮膚炎のお話」 https://higashiomi.hosp.go.jp/files/000128800.pdf
- ※9.渋谷区役所「そのキノコ、食べられますか?素人判断は危険です」 https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/kenko/shokuhin/dokukinoko.html
- ※10.厚生労働省「日本人の食事摂取基準」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
- ※11.東京女子医科大学病院腎臓病院総合医療センター「カリウム制限は?」 https://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou/shokujiryouhou-kalium.html
- ※13.一般財団法人日本きのこセンター「★しいたけの健康パワーのひみつ(栄養・健康成分)」 https://hyakka.kinokonet.com/component/
- ※14.小学館「日本大百科事典(ビタミン)」
1. 椎茸を食べ過ぎると体に害がある

椎茸に含まれる成分を見ると、ミネラルやビタミンを含んだ体によい食材であることがわかる。(※1)いっぽうで、椎茸を過剰摂取すると体の不調を喚起する成分も含んでいるのである。その要因を説明する。
食物繊維が多く腹痛が起きる
椎茸には豊富な食物繊維が含まれている。水溶性と不溶性の食物繊維のうち、椎茸が多量に有しているのは不溶性食物繊維である。(※1)不溶性食物繊維は、大腸に刺激を与えて排便を促す働きがある。(※2)しかし過剰に摂取すると、刺激が強すぎるあまり便秘を引き起こす可能性が高くなる。(※2)また腸内に空気がたまり、腹痛の原因となることもあるのである。(※2)
アミノ酸過剰摂取による吐き気
椎茸は健康を維持するために必須のアミノ酸も有している。(※1)しかし、フェニルアラニンやチロシンといったアミノ酸は、分解代謝できないことも起きうる。(※3)こうしたアミノ酸を過剰に摂取すると、吐き気や痙攣を催すこともある。とくに小さな子どもは注意が必要である。(※3)
プリン体の過剰摂取
椎茸は、含有するプリン体の量が非常に多い。干し椎茸100gが有するプリン体の量は379.5mgである。(※4)一般的に、100g中のプリン体量が300mgを超えると「非常に多い」というレベルに達する。プリン体は代謝されて尿酸となり、これが痛風を発症させる原因となる。(※6)
低血圧の危険
椎茸には、エリタデニンという特有の成分が含まれている。エリタデニンは脂質代謝の効能が高く、血液をキレイにしてくれる成分である。(※7)しかし、エリタデニンを多量に摂取すると、血圧が下がり低血糖になる可能性もあるため注意が必要である。
2. 食べ過ぎは椎茸アレルギーの危険もある

椎茸に含まれるいくつかの栄養成分が諸刃の剣となることは前項で説明したが、実は椎茸はアレルギー症状を起こす可能性もゼロではない。椎茸を食べることで起こるアレルギーとはどんな症状なのだろうか。
椎茸皮膚炎
椎茸を食べることで起こるアレルギーは、原因がよくわかっていないという。バーベキューで人気の焼き椎茸、干し椎茸の戻し汁を口にしたあとに、強いかゆみを訴えることがある。抗アレルギー剤の服用でおさまる症状であるため、椎茸を食べた後にかゆみを覚えたら医師にかかるようにしよう。(※8)
生椎茸を食べるのはNG
椎茸皮膚炎の原因は不明ながら、椎茸をはじめとするきのこ類は生で食べたり一度に大量摂取することは控えるべき食材である。(※9)椎茸も生で食べることは避けて、しっかりと火を通して食べるようにしよう。アレルギーを回避するためにも、調理して食べるのが基本である。(※8)
3. 椎茸の食べ過ぎは腎臓に悪い?

干し椎茸100g中には2200mgのカリウムが含まれている。(※1)厚生労働省では、成人男性のカリウム1日摂取推奨量を3000mg以上としているが、干し椎茸はその数字を考慮してもカリウム含有量が多い。通常は余分なカリウムは尿とともに排出されるが、腎機能に問題がある場合にはカリウムの摂取制限が必要となる。(※11)カリウムを多量に含む椎茸の食べ方にも注意が必要となるだろう。
4. 椎茸の食べ過ぎとはどのくらい?1日の摂取量の目安

それでは椎茸を食べる場合には、1日何個が適量なのだろうか。椎茸は1枚の重さがおよそ25gである。生の椎茸の場合(※12)、1日に必要な食物繊維量(成人男性であれば1日21g以上)などを考慮すると4枚くらいが適当といえるだろう。干し椎茸の場合は、前述したように不溶性食物繊維量やプリン体の量が大幅に増える。(※1・4)そのため、2枚程度に抑えるのがよい。ただし椎茸のサイズや食べる本人の体調によって、その量は加減が必要である。
5. 食べ過ぎなければ体に良い!椎茸の栄養素と効果

食べ過ぎは健康に害を及ぼす可能性がある椎茸であるが、積極的に摂取したい栄養成分に恵まれていることも事実である。たとえば、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、食物繊維の一種で免疫力を高めるとされるβ-グルカン(※13)、糖質の代謝に必須のビタミンB1、皮膚や粘膜に有効なビタミンB2(※14)など、ビタミンB群も豊富である。椎茸は適量を摂取すれば健康に寄与してくれる食材なのである。
結論
きのこ類のなかでも日本ではとくに食卓に上がる確率が高い椎茸。椎茸は有効な栄養成分が多いものの、食べ過ぎると健康に害を及ぼす可能性がある。干し椎茸に多量に含まれる不溶性食物繊維やプリン体は、腹痛の原因になったり痛風を引き起こす要素を含んでいる。また、椎茸独特のアレルギーもある。子どもがいる家庭はとくに椎茸の食べ過ぎに注意し、適量を正しく食べて、その美味を味わってほしい。
(参考文献)