目次
- 1. にんにくは生でも食べられる?
- 2. 生にんにくと加熱したにんにくの栄養の違い
- 3. 生にんにくの食べ方で注意すべきポイント
- 4. 生にんにくの保存方法は?
- 5. にんにくを生で食べるなら「適量」を守ること
- 抗酸化作用
- 免疫力アップ
- 疲労回復
- 抗菌・解毒作用
- 動脈硬化の予防
- (※1)公益社団法人日本薬学会 環境・衛生部会ホームページ https://bukai.pharm.or.jp/bukai_kanei/topics/topics59.html
- (※2)ニンニク _ 公益社団法人鹿児島県薬剤師会 http://kayaku.jp/1247/
1. にんにくは生でも食べられる?

にんにくは生で食べられる野菜だ。では、生で食べることによって身体にどのような効果があるのだろうか。
生にんにくに期待できる健康効果とは?
期待できる健康効果は以下の通り。
これらの健康効果のカギは、にんにくの主成分である「アイリン」。このアイリンがさまざまな栄養分と結合することによって上記のような健康効果をもたらすのである。(※1)
食べ過ぎは禁物!腹痛などの症状を招くリスクがある
生にんにくは加熱したときに比べて辛みを感じる。この辛みはにんにくに含まれる「アリシン」によるものだ。このアリシンには強い殺菌作用があるが、その一方で刺激の強さから胃の粘膜を傷つけ、腸内の善玉菌までも殺してしまう。腹痛や下痢を招くことがあるため、生にんにくの食べ過ぎは避けよう。
にんにくを生で食べるなら適量はどれくらい?
にんにくは生で食べる場合、1日1片から2片が摂取量の目安。この目安はあくまで個人差があるので、最初から量を増やすのではなく、少なめの量から始めることが大切。少しずつ増やしていき、自分の適量を見つけよう。
2. 生にんにくと加熱したにんにくの栄養の違い

生にんにくには身体によい効果をもたらすことが分かったが、加熱したにんにくとはどのような違いがあるのだろうか。
栄養素や効能に違いが生まれる
生にんにくと加熱したにんにくの大きな違いは、効能が変化することである。それぞれの効能の違いについて説明する。
生にんにく
前述にもある通り、生のにんにくの主成分はアリシン。にんにく特有の臭いの元である。強い殺菌・抗菌作用があるのが特徴で、免疫力低下の原因となる活性酸素を取り除くため、免疫力の向上に効果的な成分である。また、生にんにくの殺菌作用は食中毒菌にも効果があり、刺身に付ける醤油にすりおろしたにんにくを混ぜると、食中毒の防止にもなる。さらに疲労回復に効果的なビタミンB1の吸収を手助けするので、滋養強壮にも効果があるといわれている(※2)。
加熱したにんにく
にんにくは加熱すると、アリシンが「アホエン」という成分に変化する。このアホエンには抗がん作用があるほか、血栓予防にも効果のある成分である。よって動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の予防にも一役買っているのだ。また、加熱すると刺激が弱くなるため、生にんにくより胃や腸に優しいのも特徴である。
アホエンは低温加熱により生まれるため、弱火でじっくり加熱する調理法がよいだろう。
臭いの元であるアリシンは、カットしたり潰したりすると効果を発揮する。臭いが気になるのであれば、にんにくをまるごと調理するホイル焼きや、素揚げがおすすめ。いずれも弱火でじっくり加熱する調理法なので、アホエンの摂取にも効果的である。
3. 生にんにくの食べ方で注意すべきポイント

食欲を増進させ、さまざまな健康効果もあるにんにく。香りに誘われてついついたくさん食べてしまいそうだが、にんにくは食べ過ぎると逆に身体に悪影響を及ぼす。では、生にんにくを食べるときに注意すべきポイントをまとめた。
適量を守る
生にんにくは、適量を守ることで健康効果を実感できる。適量の目安は1日1片。1日10片以上食べると過剰摂取となるので気を付けよう。とくに生にんにくの主成分であるアリシンは、摂り過ぎると強い殺菌効果により腹痛や下痢、また口内炎ができやすくなることもあるので注意が必要だ。
空腹時に食べない
胃に何もない空腹時に生にんにくを食べると、胃の粘膜を直接刺激して胃や腸が荒れやすくなる。貧血や肝臓障害などを引き起こす原因になるので、生のにんにくはまずほかの食べ物を胃に入れてから食べることを心がけてほしい。
乳製品も一緒に食べる
にんにくを生で食べるときは、牛乳・チーズなどの乳製品と一緒に食べるとよいだろう。乳製品に含まれるたんぱく質は、にんにくの主成分アリシンと結合し包み込んで消化するため、胃腸への刺激を緩和させるのだ。また、同じく乳製品であるヨーグルトは発酵食品なので、アリシンによる刺激から腸を守ってくれる。
生にんにくを長期間摂取し続けるのも控えたほうがよい
1日の適量を守っていたとしても、生にんにくを長期にわたって食べることは避けてほしい。毎日食べ続けることにより腸の働きを抑制し、善玉菌まで殺してしまうのだ。
生のにんにくは、基本的に食べ過ぎなければ身体に悪いことはない食べ物である。1日の適量を意識して食べるとよいだろう。
4. 生にんにくの保存方法は?

にんにくを最後まで美味しく食べるためには保存法が大切である。冷凍・冷蔵それぞれの保存法や保存期間をまとめた。
冷凍保存
保存期間は約1か月。
そのまま冷凍する場合はにんにくを1片ずつバラバラにして、保存袋またはラップに包んで保存しよう。また、すりおろしたにんにくを冷凍する場合は、空気が入らないよう保存袋に入れて、平らにしてから冷凍庫へ。
冷蔵保存
保存期間は1~2か月。
皮つきのまま保存する場合は、キッチンペーパーで包んでから保存袋に入れて野菜室へ。皮をむいてから保存する場合は、1片ずつバラしたあと薄皮をむき、根元をカットしてから保存袋に入れる。この場合は冷蔵庫で保存する。
冷凍・冷蔵いずれも鮮度のいいうちに処理することが、最後まで美味しく食べるポイントである。
また、生のニンニクをオイルで加工することで長期保存が可能だ。皮をむいた生にんにくを好みのオイルとともに密閉容器に入れるだけ。スライスしたり刻んだりすると、香りがよりオイルに移って風味豊かなにんにくオイルになる。常温で半年ほど保存可能なので、料理によって使い分けよう。唐辛子やハーブなどと炒めると風味がさらにアップするのでぜひ作ってみてほしい。
5. にんにくを生で食べるなら「適量」を守ること

生にんにくの過剰摂取は身体に悪影響だが、生で食べるときは適量を守ればさまざまな健康効果が期待できるスーパーフードである。生にんにくの栄養を効率的に得るために、適量を意識して上手く料理に取り入れてほしい。
結論
生のにんにくには免疫力アップや抗酸化作用など、身体によい効果をもたらすことが分かった。食べるときは適量を守ることが大切。1日1片の目安を参考にして、家族の健康維持のためにも生にんにくを上手く取り入れよう。
(参考文献)