目次
- ※1:e-ヘルスネット「カロテノイド」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
- ※2※4※6※7※9※11※13:文部科学省食品成分データ https://fooddb.mext.go.jp/
- ※3※5※8※12:独立行政法人農畜産業復興機構 https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/
- ※10※14:農林水産省 https://www.maff.go.jp/
1. 黄色い野菜と緑黄色野菜

野菜はさまざまな視点から種類分けすることができる。そのひとつが、緑黄色野菜か否かという区別だ。ここではまず、緑黄色野菜の定義を学び、黄色い野菜がそれに当たるのか解説していこう。
緑黄色野菜の定義
厚生労働省によると緑黄色野菜は、原則として可食部100g当たりカロテン含量が600μg以上の野菜とされている。しかし、中にはカロテン量を満たしていないものでも緑黄色野菜に分類される場合がある。トマトやピーマンはその代表で、これらは1度に食べる量や回数が多いことから、このような分類がなされているようだ。
黄色い野菜も緑黄色野菜に分類されるものが多い。ただし、すべてではない。また、緑黄色野菜以外の野菜は淡色野菜と呼ばれている。
2. 黄色い野菜とカロテン

黄色い野菜は、カロテンを多く含むものが多い。そもそもカロテンとは一体何か?ここではその性質について詳しく学んでいこう。
カロテンと色
カロテンは、動植物界にある色素でその多くが赤色や黄色である。水に溶けにくく、油に溶ける性質で、βカロテンやリコピンはカロテンのなかでもよく知られている。活性酸素の発生を抑制したり、取り除く力を持っている。抗酸化作用が高いと言われるのはこのためだ。(※1)
植物界の色を構成するのは、フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルのおもに4種類だとされている。これらの色素はおもしろいことにある特定の波長の光だけを吸収し、ほかの光を反射する性質を持つ。我々の目に写る色とは、反射された色なのだ。ちなみにカロテンはカロテノイドの一種である。
3. 黄色い野菜の種類・7選

ここからはさっそく、黄色い野菜を7種類紹介していこう。それぞれ緑黄色野菜であるか、否か、そして詳しい栄養素についても解説をしていきたい。
かぼちゃ
西洋かぼちゃ
βカロテン当量(100gあたり):4000μg(※2)
かぼちゃは、緑黄色野菜である。野菜のなかでもβカロテンの含有量が多いことで知られる存在だ。日本で栽培されているのは、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃで、現在は西洋かぼちゃがポピュラーである。抗酸化作用があるため風邪の予防になるという言い伝えがあり、さらに日持ちすることなどから、冬至に食べる習慣がある。(※3)
にんじん
βカロテン当量(100gあたり):8600μg(※4)
にんじんも紛れもなく、緑黄色野菜である。黄色のにんじんには、キサントフィル類が多く含まれている。(※5)βカロテンはとくに皮付近に多いので、余すことなくいただきたい場合は、無農薬で育てられたものを選び、丸ごといただくといい。
パプリカ
βカロテン当量(100gあたり):200μg(※6)
パプリカは、実は唐辛子の仲間である。熟す前は緑色をしており、熟すと赤、黄色、オレンジ、紫など、さまざまな色になる。黄色のパプリカは緑黄色野菜には該当しない。
とうもろこし
βカロテン当量(100gあたり):53μg(※7)
とうもろこしも緑黄色野菜には当たらない。とうもろこしに含まれる栄養素で特筆すべきは、食物繊維だ。またビタミンB1も豊富に含まれている。ヒゲには利尿作用があり、お茶としても人気が高い。(※8)
ズッキーニ
βカロテン当量(100gあたり):320μg(※9)
ズッキーニはきゅうりの仲間と思われがちだが、実際は前述のかぼちゃの仲間である。ペポかぼちゃの一種で皮まで食べることができる。特筆すべき栄養素はカリウムだ。ただ淡色野菜のなかでは、βカロテンの量が多い方である。
ズッキーニを食べると苦いと感じることがある。これはウリ科の野菜に含まれるククルビタシンという成分によるものだ。あまりにも苦すぎる場合は、食べるのをやめることをおすすめする。(※10)
トマト
黄色トマト
βカロテン当量(100gあたり):110μg(※11)
トマトはカロテンの量が少ないものの緑黄色野菜に分類される。トマトにはカロテンはもちろん、リコピンという成分が含まれている。リコピンもまた抗酸化作用が高いとされており、昨今注目を集めている。(※12)
スイカ
黄肉種
βカロテン当量(100gあたり):10μg(※13)
スイカは果物にも野菜にも分類される稀有な食べ物である。夏の風物詩ともいえる存在だ。スイカもさまざまな色があるが、黄色のスイカにはカロテンが含まれている。ちなみに赤いスイカには、リコピンも含まれているという。(※14)
結論
黄色い野菜には、カロテンが含まれていることが多い。カロテンは抗酸化作用が強いことから、体によいとされている成分である。ただし、一概にすべての黄色い野菜に多く含まれているとは言えないので、その点には注意が必要だ。黄色い野菜は見た目にも美しいので、食卓を華やかにしてくれるはず。ぜひ意識して取り入れてみよう。
(参考文献)