目次
- 無脂乳固形分 8.0%以上
- 酸度 0.21%以下
- 1ml当たりの細菌数 5万以下
- 大腸菌群が陰性
- 通常の牛乳(成分無調整牛乳)
- 成分調整牛乳
- 低脂肪牛乳
- 無脂肪牛乳
- 普通牛乳 3.3g(※5)
- 低脂肪牛乳 3.8g(※6)
- ※1 ※7.厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格に関する省令(乳等省令)」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78333000
- ※2.独立行政法人国民生活センター「牛乳だと思って購入したら、加工乳だった」 https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2014_35.html
- ※3.農林水産省「牛乳(ぎゅうにゅう)に「成分無調整(せいぶんむちょうせい)」と表示(ひょうじ)されていましたが、どういう意味ですか。」 https://www.maff.go.jp/
- ※4.小学館「デジタル大辞泉(にゅういんりょう)」 https://daijisen.jp/digital/
- ※5 ※6.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)乳類/<牛乳及び乳製品>/(液状乳類)/普通牛乳」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_7
- ※8.公立八女総合病院栄養科「肝硬変の栄養療法」 https://www.hosp-yame.jp/files/team_kanzo_6.pdf
- ※9.小学館「日本大百科全書(乳糖不耐症)」
1. 成分調整牛乳とは?

製法等によって異なる牛乳の種類は、1951年に制定された乳等省令によって定義づけられている。それによれば成分調整牛乳とは、「生乳から乳脂肪分その他の成分の一部を除去」したタイプを指す。(※1)条件は以下である。(※1)
また、牛乳に含まれる水分やミネラルも調整されていることがある。(※2)
次は、乳脂肪分が調整された牛乳を見てみよう。
低脂肪牛乳
低脂肪牛乳とは、以下条件を満たしたものである。(※1)
乳脂肪分 0.5~1.5%以下
無脂乳固形分 8.0%以上
酸度 0.21%以下
牛乳のコクを決めるのは乳脂肪といわれている。脂肪分が低い低脂肪牛乳は、コクに欠けるきらいがあるが、近年はそうした欠点を補った商品も多い。
無脂肪牛乳
無脂肪牛乳は、乳等省令で以下のように定められている。(※1)
乳脂肪分 0.5%未満
無脂乳固形分 8.0%以上
酸度 0.21%以下
無脂肪牛乳は脂肪分を非常に低く抑えているため、よくいえばあっさりとした味わいが特徴である。牛乳独特のコクを愛する人には物足りない風味となる。
特濃牛乳
特濃牛乳は乳等省令で定められたものではないが、乳脂肪分を故意に高くして商品化したものを指す。牛乳の味そのものを好む人向けの商品であり、料理に使用しても味わいが深くなるのがこの牛乳である。
2. 成分調整牛乳とその他の牛乳の違い

一口に牛乳といってもその種類は多く、加工乳や乳飲料との確かな違いまではわかりにくい。そもそもなにを指して牛乳と呼ぶのか。この項目では、牛乳をはじめとする製品の種類についてその相違を説明する。
成分無調整牛乳の違い
まず、牛乳の定義を見てみよう。牛乳とは、牛乳以外のいかなる成分も添加していないものを指す。乳等省令による牛乳は次の4つである。(※2)
このうち成分無調整牛乳とは、法的にその条件が定められているわけではない。シンプルに乳脂肪の調整を行っていない牛乳の総称である。そのため、牛乳を購入する際にも、成分無調整のタイプはそのように明記はされていない。(※3)
成分調整牛乳と加工乳の違い
それでは、こちらもよく耳にする加工乳とはなんだろうか。成分調整牛乳と比較してみよう。(※2)
・成分調整牛乳
牛乳の乳成分のいくつかを調整した商品
・加工乳
主原料は牛乳だが、クリームやバターなどの乳製品を入れて加工した商品
つまり加工乳は、牛乳以外の乳製品を加えているのが特徴である。濃厚なタイプの牛乳はこのタイプが多い。(※2)
成分調整牛乳と乳飲料の違い
次は、乳飲料と成分調整牛乳の相違である。(※2)
・成分調整牛乳
牛乳の乳成分のいくつかを調整した商品
・乳飲料(※2・4)
牛乳や乳製品に果汁やコーヒーで風味をつけたものを指す。乳固形分を3%以上含んでいるのが条件である。
つまり、成分調整牛乳はなにも加えられていないのに対し、乳飲料は牛乳や乳製品に別のものをプラスして製品化されているのが特長である。
3. 成分調整牛乳のメリット

牛乳を購入する際に、成分が調整された牛乳を選ぶメリットはあるのだろうか。成分が調整されることによって、栄養の多寡やカロリーはどうなるのかも含めて、成分調整牛乳の長所を上げてみる。
カロリーが低い
成分調整牛乳の中でも、低脂肪や無脂肪牛乳は通常の牛乳と比較してカロリーが低い。
例を見てみよう。
・100g当たりのカロリー
普通牛乳 61kcal(※5)
低脂肪牛乳 42kcal(※6)
また、主な栄養成分であるカルシウムの数値を見ると、決して成分調整牛乳が普通牛乳に劣っていることはない。
・カルシウムの量
普通牛乳 110mg(※5)
低脂肪牛乳 130mg(※6)
つまり、成分調整牛乳は栄養分はそのままに低カロリーであるというメリットがあるのである。ただし、特濃牛乳に関してはこのかぎりではない。
値段が安い
価格面に関しても、成分調整牛乳はメリットがある。なぜ成分調整牛乳は安いのか。理由は、調整によって除かれた乳成分をバターなどのほかの乳製品に加工しているという事情があるためである。
4. 体に悪い?成分調整牛乳のデメリット

カロリーでも価格の面でもメリットがある成分調整牛乳、デメリットももちろん存在する。成分調整牛乳を購入するにあたって考慮しなくてはならない点を見てみよう。
まずいと感じる人がいる
前述したように、成分調整牛乳は牛乳のコクとなる乳脂肪分を軽減させたタイプが多い。これによってあっさりとした味になるが、牛乳のまろやかさを好む人にとっては物足りないと感じることもある。牛乳本来のコクを失った製品を、美味しくないと感じる可能性は高くなるのである。
肝臓が悪い場合は危険がある
成分調整牛乳は、その名から不自然に調整されて体に悪いというイメージもある。しかし実際には、牛乳以外の余分なものは加えられておらず(※2)、体に害をなすものではない。カルシウムと並んで牛乳の特徴といえる栄養成分、それがタンパク質である。普通の牛乳と低脂肪牛乳のタンパク質量を比較すると、以下のようになる。
タンパク質は健康の維持に必須の栄養であるが(※7)、肝臓の機能に問題がある場合にはその摂取量が制限されることが多い。(※8)そのため、よりタンパク質量が多い成分調整牛乳は控えるのが妥当だろう。
腹痛になるのは牛乳と同じ
牛乳を飲んで下痢や嘔吐、腹痛などを催す症状が乳糖不耐症である。これはラクトースの摂取によっておこる症状であるため(※9)、成分調整牛乳によって乳脂肪分が多少変化しても症状の軽減は期待できない。牛乳によって腹痛などの体調不良を起こす人は、成分調整牛乳の摂取も控えるのが妥当である。
5. 手作りヨーグルトは成分調整牛乳で作れる?

自家製のヨーグルトを愛好する人も多いが、成分調整牛乳でヨーグルトを作ることは可能なのだろうか。ヨーグルトメーカーを販売する企業では、成分調整牛乳を使ったヨーグルトについて、通常の牛乳で作るよりも固まり方が弱いことを指摘している。しかし、とろりとしたヨーグルトは問題なく作ることができる。ただし、乳脂肪分を抑えた牛乳で作る場合は、そのまま飲む場合と同様に、ヨーグルトにもコクが少ない可能性は高くなるだろう。
結論
牛乳コーナーでよく目にする成分調整牛乳とは、牛乳に含まれる乳脂肪やミネラルなどの量が調整された商品を指す。あくまで牛乳以外の要素は含まれないため、通常の牛乳と栄養面で大きな差は見られないが、多少の味の相違はある。牛乳や乳製品、乳飲料は、加工の方法によってカテゴリーに分けられている。それぞれの特徴を上手に利用し、健康や美味しい食事に活用してほしい。
(参考文献)