目次
- ※1.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)果実類/(すぐり類)/グーズベリー/生」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07060_7&MODE=0
- ※2.東京農業大学栄養学科「果実類・果菜類および種実類のペクチン含有量について」 https://www.jstage.jst.go.jp/
- ※3.小学館「日本大百科全書(ペクチン)」
- ※4.自由国民社「現代用語の基礎知識(アントシアニン)」
1. スグリの実はどんな果物?

スグリという言葉を聞いたことがあっても、実際にそれを口にしたことがある人は少ないかもしれない。その名を聞いてもすぐにイメージできないスグリの実、まずはその概要を見てみよう。
主な種類
スグリはユキノシタ科スグリ属を指す。スグリには大別すると、グーズベリーの名で知られるスグリと、カランツの呼称を持つフサスグリがある。山梨や長野の野生種、ヨーロッパスグリはスグリに属す。クロスグリやカシスはフサスグリの1種である。いずれも7~8月にかけて実が熟すことでは共通している。
味や見た目の特徴
スグリは北半球の温かい地域を中心に150種ほどが存在するといわれている。日本原産のスグリは、果実が楕円および球形で塾果は赤い。実の直径は1㎝前後である。セイヨウスグリはそれよりはわずかに大きめで、黄色、緑白色、赤色など実の色はさまざまである。アメリカスグリは小さめの粒で知られている。ヨーロッパ北西部原産のフサスグリは白やピンクの実を特徴としている。いっぽう、カシスに代表されるブラック・カランツは黒色果である。
その味はさまざまであるが、一般的に白色系は甘みがあり、赤色系には酸味があることが多い。
栄養価について
スグリの実にはどんな栄養が含まれているのだろうか。文部科学省の食品成分データベースによれば、カリウムや鉄などのミネラル、ビタミンAやビタミンC、また食物繊維の存在が確認できる。(※1)また、東京農業大学の研究では、カランツと呼ばれるスグリのタイプには1~1.99%のペクチンが含有されていることが報告されている。(※2)ペクチンは水溶性の食物繊維のひとつであり、コレステロールの濃度を下げる働きがあるタイプもある。(※3) またスグリ実などのフルーツに含まれる食物色素アントシアニンは、血液をサラサラにする効能があるといわれている。(※4)
2. スグリの実を食べる方法

生のスグリの実は日本においてメジャーなフルーツとはいいかねるため、いざ食べるとなると食べ方に迷ってしまう。種類が多いスグリの中には、生食に向くものと向かないものがあるが、甘酸っぱさをぜひ生で味わいたい場合のアイデアをいくつか紹介しよう。
生食でも食べられる
直径が1cm前後という愛らしい外観を持つスグリの実。加工してしまうとこの形状もつぶれてしまうことから、ぜひ生でも食べてみたいものである。スグリの実を生で食べる場合には、お菓子やアイスクリームのトッピングに用いることができるほか、肉料理の飾りつけにしてもサマになる。自宅でカクテルを楽しむ場合にも、ピックに刺せばプロ仕様になる。アボカドやルッコラを使ったサラダに乗せても、カフェ風の洗練を楽しめる一品となるだろう。
3. スグリの実を保存する方法

スグリの実は生食よりも加工品で食べるほうがメジャーかもしれない。スグリの実を大量に入手した場合には、どのような保存方法があるのだろうか。また、加工する場合にはどのように調理するのか。スグリの実の保存方法を見てみよう。
保存の仕方
水分が多いスグリの実は、冷蔵庫で保存する場合には乾燥を避けるために密閉容器などに入れるのがよい。食べきれないスグリの実は冷蔵保存も可能である。その場合には、果汁を有効に使うために冷凍のままジャムなどに加工するのがよいだろう。
加工して保存する
ヨーロッパでは700年も昔から栽培されてきたスグリの実は、加工する場合の選択肢も多い。スグリの実の加工品で最もよく知られているのはジャムである。甘酸っぱさと彩りが魅力的なスグリの実のジャムは、パンに塗るだけではなくお菓子などにも応用できる。そのほかスグリの実は、ジュースやゼリー、果実酒などに用いられる。スグリの実の果実酒は、砂糖とアルコール、それに水を加えて15日ほど置くと完成する。ノンアルコールのドリンクにする場合には、炭酸水ともマッチする。
結論
スグリは世界中に150種も存在するといわれている。日本では野生種があるほか、欧米から渡来した品種がわずかに北海道で栽培されるにとどまっている。スグリの実は直径が1cm前後と可愛らしく、生食にする場合には料理やスイーツのトッピングに向いているだろう。ジャムやジュースなどの加工品にすれば、スグリの実も無駄なく消費できる。ビタミン等の栄養素も豊富なスグリの実、機会があったら是非食べてみてほしい。
(参考文献)