目次
- ※1.文部科学省「出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)いも及びでん粉類/<いも類>/(さつまいも類)/さつまいも/塊根/皮つき/生」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02045_7
- ※2※3.平凡社世界大百科事典「ビタミン」 https://kotobank.jp/dictionary/sekaidaihyakka/
- ※4.厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
1. 五郎島金時とはどんなさつま芋?

石川県金沢市で栽培されている五郎島金時は、収量よりも品質の高さにこだわり生産されている品種である。そのため五郎島金時を食べたことがないという人も多いかもしれない。まずは五郎島金時の特徴や由来について紹介する。
読み方と特徴について
五郎島金時は「ごろうじまきんとき」と読む。その不思議な名前の由来は、このさつま芋が栽培される土地の名前「五郎島粟ヶ崎地区」にあるとされている。現在栽培されているのは高系14号で、皮の色がよく締まった形状を持ち、甘みが非常に強いという特徴がある。
主な産地と旬の時期
五郎島金時の主要な産地は、石川県の金沢市である。金沢市農産物ブランド協会によって「加賀野菜」のひとつに認定されるほど、同地とのゆかりが深い。その歴史は元禄時代にさかのぼる。砂地のため農作物が育たなかった同地に、五郎島村の肝煎が薩摩から持ち帰った芋を植えたことが五郎島金時の祖となった。五郎島金時は9月から10月にかけて収穫されるものの、甘みが乗るのは2月から3月に出荷されるタイプである。
2. 五郎島金時の栄養と効能

おやつにも好まれる五郎島金時。昔懐かしいようなその甘さは、老若男女に愛されている。その五郎島金時にはどのような栄養が含まれているのだろうか。その栄養を摂取することでどんな効能が期待できるのかも含めて説明する。
栄養素と期待される効能
五郎島金時にはどんな栄養が含まれているのか。またその栄養がもたらす効能を紹介する。
数値はいずれも生のさつま芋100g当たりの含有量となる。(※1)
・ビタミンC
五郎島金時をはじめとするさつま芋100g中には、25mgのビタミンCが含まれている。ビタミンCはコラーゲンの生成に必須の栄養素であるため(※2)、美容や健康には不可欠なビタミンである。
・βカロテン
さつま芋100g中には40μgほどのβカロテンが含まれている。(※1)βカロテンはビタミンAの前駆体である。ビタミンAは人体の皮膚や色素、中枢神経系に関連する栄養素である。欠乏すると体重の減少や感染症への抵抗力が低下する可能性もある。(※3)
・食物繊維
さつま芋100g中には2.8gの食物繊維が存在する。(※1)食物繊維は不足しがちな栄養素であるが、整腸には欠かせない成分である。また血糖値の上昇を抑止したり血中のコレステロール値を下げたりするなど、生活習慣病の予防にも効能があることが報告されている。(※4)
3. 五郎島金時の味や食感

収穫量がそれほど多くない五郎島金時。実際の食感はどのようなものなのか。加賀百万石のお膝元で生まれた加賀野菜の一翼、五郎島金時の味覚を紹介する。
ホクホクしている
さつま芋の食感は安納芋に代表される粘着系と、ホクホクとした食味を特徴とする糖質系がある。五郎島金時は糖質系のさつま芋であり、郷愁を誘うようなほっこり感を持つ味わいが特徴である。繊維質が少ないため食べやすく、加熱することでより濃厚になる甘さも魅力のひとつである。その上品な味わいは、さまざまな調理法にも使いやすいことで定評がある。
4. 五郎島金時の美味しい食べ方

さつま芋はふかしたり焼いたりするだけで美味しいおやつとなる。五郎島金時も同様であるが、加賀野菜に認められたその上品な味わいはぜひさまざまな調理に活用したい。五郎島金時の美味しい食べ方について、いくつかの例を紹介しよう。
おすすめの食べ方
五郎島金時は焼き芋にしても昔懐かしい味わいを楽しめる。そのほか、和洋中いずれの調理法でも美味しく食べることができる。和食ならば、豚汁や天ぷら、大学芋などがその代表である。中華風ならば春巻きに、洋風ならばレモン煮やコロッケにするのも一興だ。またスイートポテトやパンケーキ、モンブラン風など菓子に活用しても美味しい。おやつにおかずに、はたまたおつまみとしても大いに活用してほしい。
結論
五郎島金時は、石川県金沢市で栽培される高系14号のさつま芋である。その上品な甘さが愛されて加賀野菜のひとつに認定されている。江戸時代に薩摩からもたらされた種芋が、五郎島の砂地で栽培されたのが由来である。ホクホクとした食味が特徴の五郎島金時、焼き芋としてだけではなくおかずやお菓子としても堪能できる。五郎島金時を使い、ぜひオリジナリティあふれる料理にトライしてほしい。
(参考文献)