目次
- ※1江崎グリコ株式会社 【栄養成分百科】 たんぱく質 | 栄養成分百科 | 江崎グリコ https://jp.glico.com/navi/dic/dic_02.html
- ※2大阪ストレスクリニック 消化酵素 http://stressclinic.jp/gut/digestiveenzyme.html
- ※3あかね台眼科脳神経外科クリニック タンパク質と酵素の関係 http://www.akanedai-eysn.com/databank/pdf_datas/eclipse/e007.pdf
- ※4宮本内科 腸活がうまくいかない人へ② | 宮本内科 https://miyamotocl.com/blogs/7693/
- ※5三上内科クリニック 食べたいのに食べれないのはなぜ ~胃酸は重要~ - 三上内科クリニックブログ https://mikami-naika-clinic.jp/blog/news/586/
- ※6※8※9公益財団法人長寿科学振興財団 酵素の働きと健康効果 | 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/koso-kenko.html
- ※7医療法人髙仁会川口病院 「ビタミンBの力」 栄養課の知識 | 川口病院 https://kawaguchi-hp.jp/activity/nutrition/2019/09/07/2838
1. タンパク質と消化酵素の関係

タンパク質と消化酵素にはどんな関係性があるのだろうか。ここではタンパク質のはたらきや消化酵素の役割、種類について解説していく。
タンパク質とは
タンパク質は、体重の約1/5を占めており、私たちが生きていくうえで重要な栄養素の一つである。筋肉や血液など身体をつくる主要な成分で、酵素などの生命維持に欠かせない成分の材料にもなる。また、エネルギー源としても使われる。身体をつくるタンパク質の一部は、身体の中で常に分解され、食べ物に含まれるタンパク質と一緒につくりなおされるのだ。タンパク質の材料の中には、身体の中で生成できないものもあるため、毎日の食事でタンパク質を補給することが大切である。(※1)
タンパク質吸収には消化酵素が必要
食べたものに含まれるタンパク質の吸収には、消化酵素が必要だ。この消化酵素(※2)は、膵臓や胃、小腸などの消化器官から分泌され、食べたものを血中に取り込めるくらいの大きさまで分解するはたらきがある。タンパク質は消化酵素のはたらきによって小さなアミノ酸やペプチドに分解され、身体の中に吸収されていく。消化酵素はアミノ酸からつくられるため、タンパク質が不足していると消化酵素も足りなくなり、その結果タンパク質を消化しにくくなるのだ。(※3)(※4)(※5)
タンパク質の消化酵素の種類
消化酵素には種類があり、その中でタンパク質分解にはたらくのはプロテアーゼと呼ばれる消化酵素である。プロテアーゼには、トリプシンやペプシン、キモトリプシン、パパイヤに含まれるパパイン、パイナップルに含まれるブロメラインなど種類が多くあるのだ。これらは消化以外にも、代謝においても重要な役割がある。吸収した栄養素からエネルギーを生み出す反応、体内の有害物質を尿とともに排出する反応、身体の成長や調節機能など、多くの反応に酵素が関係しているのだ。(※6)
タンパク質の消化吸収には補酵素も重要
タンパク質の消化吸収にはビタミンB群のような補酵素も重要になる。補酵素には、代謝を円滑に行うための潤滑油のようなはたらきがあるのだ。(※7)とくにビタミンB12は補酵素として、タンパク質の生合成や、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関わっている。(※8)エネルギー源や身体の構成成分になるタンパク質だけを摂取しても、補酵素であるビタミンB群が不足していると体内の代謝はスムーズにいかない。補酵素も重要である。
2. 酵素はタンパク質ではない?

酵素はタンパク質の一種なのか。ここでは酵素の性質やはたらき、タンパク質と酵素の違いについて見ていこう。
酵素はタンパク質の一種
酵素はタンパク質でできていて、身体の中で起こるさまざまな化学反応を触媒する大切なはたらきがあるのだ。摂取した食べ物の消化・吸収・代謝には、酵素がなくてはならない。しかし、酵素はそれぞれ特定の反応にしか触媒することができない性質がある。タンパク質を分解する酵素は、タンパク質のみ分解することになるのだ。脂質やデンプンはそれぞれ別の酵素が分解を行う。そのため体内には、数多くの酵素があるといわれている。(※3)(※6)
タンパク質と酵素の違い
タンパク質は20種類のアミノ酸が連結した高分子化合物であり、多数の種類がある。細胞の構造をつくったり、ホルモンとして調整したり、身体の防衛をしたりするなど、多様なはたらきがある。一方酵素はタンパク質から成り立っていて、一次構造から五次構造まである。酵素は加熱によって構造が変化し、酵素の機能を失う。また、摂氏35度から40度の温度や、特定のpHでしかはたらかないなど、限られた条件の下ではたらく特徴がある。(※6)(※9)
3. タンパク質分解酵素を多く含む食品例

タンパク質分解酵素が含まれている唐揚げ粉などを肉に使うと、柔らかく仕上がるメリットがある。これは、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼ(※6)が、肉の主成分であるタンパク質の表面を分解してくれるため、柔らかくジューシーにできあがるのだ。プロテアーゼが多く含まれる食材には、麹やパイナップル、キウイフルーツなどがある。これらの食材に含まれる分解酵素(プロテアーゼ)のはたらきで、肉が柔らかくなる効果が期待できるのだ。
結論
食べ物からのタンパク質を体内で消化・吸収・代謝するためには、酵素が欠かせない。タンパク質は身体をつくるうえで重要な役割を担っている。消化酵素のもととなるアミノ酸からつくられるため、毎日食べ物から摂取することが大切だ。タンパク質分解酵素などが多く含まれる食材をうまく活用して、効率よくタンパク質を吸収しよう。
(参考文献)