目次
- ※1出典:農林水産省「じゃがいもに含まれる天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関するQ&A」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/potato_alkaloid_QA.html
- ※2出典:公益社団法人食品安全委員会「ハザード概要シート(案)(ジャガイモ)」 https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kosyoku_8.pdf
1. 新じゃがが緑色に!食べても大丈夫?

皮が緑色の新じゃがは食べても大丈夫か、心配な方も多いはずだ。まずは緑色の新じゃがを食べてもよいのか、そして緑っぽい色になってしまう原因についてまとめていく。
緑色の部分は食べないほうがよい?
新じゃがが緑っぽい色に変色した部分には、毒素が多く含まれている恐れがあるため、食べるのは避けよう。(※1)表面の部分だけが緑色であればその部分を取り除き、白い色の部分は食べられる。一方で中身の中心まで緑色の場合には食べないようにするのが安全だ。
なぜ緑色になってしまうのか?
じゃがいもは光が当たることで葉緑素が増えて緑色になる(※1)。長い時間光が当たる、または傷がつくことによって毒素は増えやすいとされている(※1)ため、緑色の新じゃがにも毒素が多いと考えられるのだ。
・「ソラニン」「チャコニン」とは?
ソラニンやチャコニンとは、じゃがいもに含まれる主な毒素のことだ。ソラニンやチャコニンを多く含む新じゃがを食べてしまうと、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、めまい、頭痛といった食中毒の症状が、食後30分~半日程度で起こる可能性がある(※2)。中には意識障害や呼吸困難を引き起こし、症状が重くなると死に至る恐れも(※2)。
ソラニンやチャコニンを含む毒素は熱に強いため、調理で熱を加えたとしても毒素は少なくならないとされる(※1)。長時間酢酸に漬けると毒素が低減するとの報告もあるが、普通に調理するうえで水にさらすことで毒素を減らす効果があるかどうかは、不明だ(※1)。
2. 新じゃがの緑色以外の変色は大丈夫?

新じゃがは緑色以外に変色することもある。ここからは、緑色以外に変色した新じゃがは食べて大丈夫なのかみていく。
ピンクや紫などに変色した場合
新じゃがを切るとピンクや紫、赤色の斑点をみつける場合もあるだろう。ピンクなどの変色は生理現象によるものなので、緑色の新じゃがとは違って食べても問題はない。
ピンクなどの変色がみられるのには、2つの原因が考えられる。1つ目は低温障害。2℃以下で保存したときに起き、切った段階で変色がみられる。2つ目の原因は、空気に触れてじゃがいもに含まれる成分がメラニンになる酸化反応だ。新じゃがを切って少し時間が経過してからピンク色に変化してくる。メラニンは蓄積し、ピンクから赤、褐色、紫、黒のように変色していく。
茹でたときに黒く変色した場合
生の状態では変色はなかったものの、茹でたり焼いたりすることで黒く変色することもあるが、味や安全に食べるうえで問題はない。新じゃがに鉄分とジフェノールが多く含まれていることによって起きるもので、加熱すると進行が早まる。加熱前は通常のものと見た目が同じであるため、購入する際には判断がつかない。
先ほどのピンクや紫も含め、食べることに問題はないとわかっていても、見た目で食べるのをためらってしまう方もいるだろう。そういったときには切り取ってしまうか、カレーに入れるなど目立たないよう調理することをおすすめする。
3. 新じゃがで食中毒を防ぐためのポイント

皮が緑色の新じゃがを見つけた場合には、どのように対処すれば食中毒を防ぐことができるのだろうか?具体的な方法を挙げていく。
皮をむく
ソラニンやチャコニンは皮で増えやすいとされている(※1)。そのため緑色になった部分の皮はすべてむくようにしよう。表皮だけでなく中身も含めて厚めにむくのが好ましい。皮を1mmの厚さでむいたじゃがいもの毒素濃度は低いという報告もある(※1)ので、むく厚さの目安にするとよいだろう。また新じゃがが濃い緑色のときには先に半分に切ってから緑色の部分を確認し、すべて切り取ると安心して食べられる。
芽や緑色になった部分は確実に取り除く
新じゃがの緑色になっている部分をすべて取り除くのはもちろん、芽にも注意しなければならない。緑色になった皮の部分と同様、芽もソラニンやチャコニンが増加しやすいとされている(※1)ためだ。まず全体の皮をむいてから、発芽している部分を根元まで深くえぐり取るようにしっかりと取り除くようにしよう。ソラニンやチャコニンが集まった部分は色が違うだけでなく組織が硬くなっている。普通のじゃがいもの色になるまで削り取るのが好ましい。
とはいえ、新じゃがの色が変わっているか、どこまでが芽なのか判断が難しい場合もあるだろう。もし食べたときにえぐみや苦みを感じた場合には、毒素が高いじゃがいもを使っている恐れがある(※1)。味に異変を感じたら、新じゃがだけでなく一緒に調理した食材も含めて廃棄するようにしよう。
4. 誤って緑色の新じゃがを食べてしまったときは?

もし緑色の新じゃがを食べたら、どのように対処すればよいのだろうか?
緑色の新じゃがを食べてしまうと、先に挙げたような嘔吐や腹痛、頭痛などが起きるかもしれない。解毒剤などはないが、食べてから4時間以内かつ下痢や嘔吐の症状がない場合には、胃洗浄や下剤と吸着剤の投与が有効だとされている(※2)。もし緑色の新じゃがを食べてしまったら症状をよく観察し、何らかの症状が出たときや不安を感じているときにはできるだけ早く病院で受診するようにしよう。
結論
緑色の新じゃがには多くの毒素が含まれている可能性があり、そのまま食べるのは危険であることがわかった。食べる場合には緑色の部分と芽をしっかり取り除いて食べると安全だといえる。万が一食べてしまった場合、体調に異変があったらただちに病院で受診しよう。
(参考文献)