目次
- 米麹をボウルに入れ、手でほぐす
- 塩を加えてよく揉み込む
- 握って形が残る程度になったら、水を加えなじませる
- 保存容器に移して、常温でしばらく置いておく(密閉しないほうが発酵が進む)
- (夏:4日程度、冬:1週間程度 ※1日1回、容器の底からかき混ぜる)
- 米の粒が1.2倍ほどにふやけたら、密閉し冷蔵保存する
- そぎ切りにした鶏胸肉と塩麹、マヨネーズをポリ袋に入れ揉み込む
- 冷蔵庫で30分ほど寝かせる
- 片栗粉を加えて混ぜ、油をひいたフライパンで焼く
- 焼き色が付いたらふたをして蒸し焼きにする
- ※1出典:医療法人徳洲会福岡徳洲会病院「栄養ニュースR2 11月号」塩麹の栄養と効果 https://www.f-toku.jp/upload/section/nutrition/eiyonews_32_11.pdf
- ※2出典:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所 栄養素の説明 「ビタミンB群」 https://www.orthomolecular.jp/nutrition/vitamin_b/
- ※3出典:国立研究開発法人国立循環器病研究センター「減塩食について」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diet/low-salt/#:~:text=%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%80%81%E9%A3%9F%E5%A1%A9%E3%82%92%E6%91%82%E3%82%8A%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B,%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
- ※4出典:大分県「うま塩の手法・レシピ集」p6③塩麹のうまい活用方法 https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/1049713.pdf
- ※5出典:東京農業大学「アミノ酸はおいしい旨い・甘い・苦い。酸っぱい」 https://www.nodai.ac.jp/research/teacher-column/0011/
- ※6出典:広島県「米麹の利用方法」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/26/foodfaq3-2.html
- ※7出典:日本醸造協会誌114巻5号(p. 258-267)「塩麹に含まれる麹由来酵素および食塩の食肉調理への効果」阿部真紀・秋田修 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010927896.pdf
1. 塩麹の効果と効能

身体にいいといわれる塩麹は、米麹に水と塩を加え発酵・熟成させて作られる調味料だ。塩麹を食生活に取り入れることは、どのように健康に役立つのだろうか。麹菌の代謝の過程で生成されるビタミンB群など、さまざまな成分が働くことによる代表的な効果効能について見ていこう。
疲労回復
塩麹に含まれるビタミンB1には、糖質をエネルギーに変えるのを助ける働きがある。効率的にエネルギー代謝が行われることにより、疲労回復効果が期待できる。(※1、2)
肌や粘膜の健康維持
ビタミンB2、B6はたんぱく質の代謝に関与する成分である。皮膚炎や口内炎などを防ぐ効果があり、肌や粘膜を健康に保つことができる。(※1、2)
整腸作用
塩麹には、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を作り出す酵素が含まれる。腸内では、悪玉菌よりも善玉菌が多くなることで腸内環境が整う。そのため、塩麹を継続的に摂取することには、腸内の善玉菌の働きを助ける効果があり、整腸作用にも役立つ。(※1)
動脈硬化の予防
塩麹には減塩効果があるため、塩の代わりに調味料として使用することで塩分の摂りすぎを防げる。減塩を継続することにより、高血圧を予防することができる。その結果、高血圧により引き起こされる動脈硬化を防ぐ効果も期待できる。(※1、3)
免疫力を高める
免疫細胞の多くは腸に存在する。そのため、腸内環境を整えることには、免疫力を高める効果もある。塩麹の酵素が作り出すオリゴ糖により善玉菌の働きが促されることは、免疫機能の維持にも役立つのだ。(※1)
整腸作用や免疫力アップを期待する場合は、善玉菌を含む食品をあわせて摂取するとより効果的である。
2. 塩麹の「酵素」が食材を美味しくする

塩麹の効果で知られるのが、料理を美味しくするというものだ。塩麹を加えることで、肉が柔らかくなったり魚などの旨みが増したりするといわれる。料理における塩麹の効能について詳しく見ていこう。
プロテアーゼが肉を柔らかくする
塩麹に含まれる麹菌は、プロテアーゼという酵素を作り出す。プロテアーゼにはたんぱく質を分解する作用がある。そのため、塩麹に肉を漬け込むと肉のたんぱく質が分解され、柔らかい肉質に変化するのだ。(※1、4)
魚など食材の旨みがアップする
プロテアーゼの働きによりたんぱく質が分解されると、旨み成分であるアミノ酸やペプチド(アミノ酸のつながったもの)が生成される。そのため、塩麹を使って肉や魚などを調理すると、それぞれの食材の旨みが増し、より美味しく食べることができるのである。(※1、4、5)
3. 塩麹のデメリットは?

塩麹は優れた成分を含み、健康維持にも美味しさにも効果効能が期待できる食品だ。デメリットは考えにくいが、取り入れる際には気を付けたい点もある。塩麹の効能を生かすためにも、下記のポイントをおさえて上手に利用しよう。
使う量によっては塩分を摂りすぎる
塩麹を塩の代わりに使用する場合の目安量は、塩のおよそ2倍、つまり塩小さじ1に対して塩麹小さじ2である。塩小さじ1の塩分は5gだが、塩麹小さじ2の塩分は約2gのため、目安量を守れば減塩効果がある。(※1)
しかし、調理に塩麹ばかりを使用したり、目安量を超える使い方を続けたりすると、結果的に塩分の過剰摂取を招くおそれもある。食材や出汁の旨みを生かす調理にも高い減塩効果があるため、さまざまな方法を組み合わせるとよいだろう(※4)。
加熱しすぎると酵素が壊れる
塩麹の麹菌が作り出す酵素は、30~50℃程度の温度下でよく働く。しかし、60℃を超えると破壊されて働きを失ってしまう。一度破壊された酵素は元には戻らないため注意が必要だ。そもそも、塩麹には加熱殺菌済みのものと加熱殺菌されていないものがある。加熱殺菌済みの塩麹は、製品化された時点で酵素の働きを失っている。酵素の働きを目的に塩麹を使用する場合は、加熱殺菌されていないものを選ぶとよいだろう。(※6)
食材が柔らかくなりすぎることがある
酵素の働きによりたんぱく質が分解され、肉などの食材が柔らかくなる。しかし、その作用が強すぎると、食材が柔らかくなりすぎて食感が失われてしまうこともある。(※7)
また、肉や魚を塩麹に漬けた状態で長時間置いておくのは、食材が傷んでしまう原因にもなる。漬け込んだら速やかに加熱調理するか、冷凍保存するようにしよう。
4. 塩麹はダイエットにも効果的

塩麹を上手に食生活に取り入れることで、健康を維持しながら料理を美味しく食べられる。さらに、塩麹の効能はダイエットにも役立つと考えられる。
ダイエット中の方の心強い味方になる
塩麹は、代謝に関与するビタミンB群の働きにより、効率的なエネルギー代謝が期待できる。また、整腸作用があることからスムーズな排便にもつながる。そのため、ダイエット中に塩麹を取り入れるのはおすすめだ。(※1、2)
ただし、脂質や糖質の摂りすぎは太る原因にもなりかねない。栄養バランスに気を付けつつ、塩麹をうまく利用しながらダイエットに取り組もう。
5. 塩麹の作り方と効果効能を生かすおすすめレシピ

酵素の働きを生かしたいなら、手作りの塩麹もおすすめだ。基本の作り方と、塩麹の効能を生かすレシピを紹介しよう。
塩麹を手作りする方法
塩麹2人分の材料は、米麹150g、塩45g、水195gが目安となる。作り方の手順は下記の通りだ。
塩麹の効果効能を生かすレシピ
鶏胸肉の塩麹焼き
パサパサしがちな鶏胸肉は、塩麹の酵素の働きで柔らかく仕上げることができる(※1)。作り方の手順は下記の通りだ。
塩麹のナムル
大根や人参、下茹でしたもやしなど、好みの野菜と塩麹、ごま油をポリ袋に入れ漬け込むだけでできる。仕上げにすりごまをまぶそう。塩麹を加熱しないため、生きた酵素もそのまま摂取できる(※6)。
結論
塩麹に含まれる麹菌の働きにより、ビタミンB群をはじめとする栄養成分による健康効果が期待できる。また、麹菌がたんぱく質分解酵素を生成するため、肉などの食材を柔らかくし旨みを増す効果もある。塩麹は、健康にも美味しさにも効果効能を発揮する食品のため、上手に食生活に取り入れてはいかがだろう。
(参考文献)