目次
- ※1出典:一般財団法人日本educe食育総合研究所「ほうれん草に負けてない!小松菜の栄養価とは?」 https://www.educe-shokuiku.jp/news/food/komatsuna-0201/
- ※2出典:社会医療法人 延山会 西成病院 健康レシピ ~ 栄養科「小松菜の は・な・し」 https://www.nissei-hp.com/info/recipe/index_4.html
- ※3出典:足立区「小松菜を育てよう」 https://www.city.adachi.tokyo.jp/kodomo-sidou/syokuiku-komatuna1.html
- ※4出典:一般社団法人日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A「硝酸態窒素のえぐみって?」 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1269
- ※5出典:農林水産省農林水産技術会議事務局研究統括官室「有機栽培コマツナの品質を高める栽培法」 https://www.affrc.maff.go.jp/docs/project/genba/pdf/140216.pdf
- ※6出典:医療法人社団馬車道アイランドタワー歯科「ほうれん草を食べると歯がきしむのは何故?」 https://www.iland-dental.com/
1. 小松菜が苦いのはシュウ酸が原因

小松菜が苦いのはなぜだろうか。腐ってると誤解されることもあるが、傷んでいる場合は葉っぱが変色していたり異臭がしたりする。小松菜の苦みの原因は、主に「シュウ酸」という成分によるものと考えられる。シュウ酸はえぐみのもととなる成分で、ほうれん草にも多く含まれる。
小松菜に含まれるシュウ酸はほうれん草と比較すると少ないため、一般的には苦みを感じにくく生食もできる。しかし、シュウ酸の多い個体ができることもあり、偶然そのような小松菜を食べた場合、苦いと感じるようだ。(※1、2、3)
2. 小松菜が苦い4つの理由

では、小松菜のシュウ酸が多くなったり苦みを感じやすくなったりするのは、なぜだろうか。理由を探っていこう。
1:肥料の与えすぎ
シュウ酸を含む野菜に硝酸塩肥料を与えすぎると、細胞内の硝酸塩量が高くなり、同時にシュウ酸の含有量も増えることが多いという(※4)。高品質で美味しい小松菜を作るには、硝酸塩量を減らし糖分を増やすことが望ましい。そのためには、土壌硝酸態窒素の推移が低くなるよう栽培する必要があり、窒素を控えめに与えることが効果的といわれる。(※5)
2:甘みが少なく苦みを感じやすい
糖分が多い小松菜は甘みが感じられるため、シュウ酸の苦みが気になりにくい。逆に甘みが弱い小松菜を食べると、同じシュウ酸量でも苦みを感じやすくなってしまう。旬である冬を過ぎると、甘みが少なく苦みの多い小松菜が増える傾向もあるといわれる。
3:小松菜を加熱していない
シュウ酸は水溶性の成分のため、茹でることで流出し苦みが軽減される(※6)。そのため、シュウ酸の多いほうれん草は茹でてアク抜きを行うのが一般的だ。小松菜は基本的にアク抜き不要の野菜だが、シュウ酸の多い個体を生食すると、苦みを感じやすい場合もある。
4:小松菜の加熱しすぎ
苦みの原因となるシュウ酸などの成分は、小松菜の細胞内に含まれている。水溶性のため茹でれば減少するが(※6)、たとえば炒めすぎた場合などは細胞壁が壊されることにより、逆に苦みが強まってしまう場合もあるようだ。
3. 苦い小松菜の苦みを取る方法

小松菜の苦みは、傷んでいるわけではなくシュウ酸が原因と考えられるため(※1、2、3)、工夫すれば問題なく食べられる。小松菜の苦みをとるには、下記のような方法を試してみるとよいだろう。
水に漬けてアクを抜く
前述の通りシュウ酸は水溶性の成分で、小松菜に含まれる量はほうれん草などと比較して少ない(※1、2、6)。そのため、少し水に漬けておくだけでも軽減される。
下茹でしてアクを抜く
苦みが強く感じられる場合は、ほうれん草と同様に下茹でする方法がおすすめだ。水洗いした小松菜を、たっぷりのお湯で根の部分から茹で、しんなりしたらすぐに引き上げよう。
濃い味付けの料理にする
醤油と砂糖で甘辛く煮たり、オイスターソース炒めやカレー風味にしたりと、濃い目の味付けや風味付けで苦みを軽減することができる。にんにくや生姜などの薬味、旨みの強い出汁などとの組み合わせもおすすめだ。
冷凍の小松菜が苦い場合
冷凍した小松菜は組織が壊れているため、水に漬けたり下茹でしたりすると柔らかくなりすぎて食感が悪くなってしまう。そのため、凍ったまま料理に使い、味付けを工夫する方法がおすすめだ。また、生のまま冷凍することもできるが、苦みが気になる場合は下茹で後に冷凍するとよいだろう。
4. 小松菜の煮浸しが苦い場合の対処法

煮浸しなどに調理したあとに小松菜が苦いことに気付いたら、下記のようにアレンジして美味しくいただくのもおすすめだ。
ナムルやサラダにアレンジ
ごま油で和えてナムルにしたり、マヨネーズやドレッシングで和えてサラダにしたりする。油分でコーティングし風味付けすることで、調理後の小松菜の苦みは気になりにくくなる。
お味噌汁や煮物の具材にする
出汁の風味を加えることでも苦みは軽減される。また、ほかの具材と組み合わせれば小松菜の存在感が薄れて食べやすくなる。
結論
小松菜を苦いと感じる原因は、シュウ酸という成分である。傷んでいるわけではないため、対策を行えば問題なく食べられる。小松菜の苦みは、水に漬ける程度の下処理で和らぐケースが多い。苦い小松菜でも、味付けや加熱の仕方など調理を工夫すれば、美味しく食べられることを覚えておこう。
(参考文献)