目次
- あん肝の皮を除去し血抜きをする。表面の血管や血の塊を取り去る
- 水と酒それぞれ250mlに10gほどの塩を加えて液体を作り、あん肝を漬ける。生臭さを除去する作業となる
- 20~30分放置したのち、キッチンペーパーなどであん肝の水分をよく吸い取っておく
- アルミホイルに下処理したあん肝を包み、棒状に形成する
- アルミホイルの両端をしっかりと包み、本体部分に竹串でいくつか穴をあける
- 蒸し器で30分弱蒸す
- ※1.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)魚介類/<魚類>/あんこう/きも/生」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10032_7
- ※2※5.集英社「情報・知識imidas」 https://imidas.jp/
- ※3※4.厚生労働省 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- ※6.小学館「日本大百科全書(ビタミン)」 https://kotobank.jp/dictionary/nipponica/
- ※7.平凡社「世界大百科事典(ビタミンD)」 https://kotobank.jp/dictionary/sekaidaihyakka/
- ※8.医療法人社団グルコピア日立「痛風について」 http://www.glucopier.com/04/pdf/sidou09.pdf
- ※9.厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
1. あん肝とは:いったい何?

あん肝とは、いったいどの食材のどの部分を指すのか。その味わいや食べ頃も含めて、概要を説明する。
あん肝とはあんこうの肝臓のこと
あん肝は深海魚アンコウの一部分を指す。それはどこの部分か。その字のごとくアンコウの肝臓である。アンコウは温帯から熱帯の深い海底に住む魚で、日本では江戸時代に入ってからその美味しさが喧伝されるようになった。とくにあん肝の美味は、元禄年間に記された「本朝食鑑」にも記述されている。
海のフォアグラ?あん肝の味とは
あん肝は、その味を表現するために海のフォアグラと呼ばれることがある。ガチョウとアンコウというまったく別の生物ながら、肝臓を食べるという点では変わらないためか、あん肝もフォアグラのように濃厚でまったりとした食感が特徴である。いっぽうで生臭いという意見もあるが、これも下処理や調理法によって克服できるデメリットである。
あん肝の旬の時期とは
アンコウの旬は、梅の花が咲くまでというのが一般論である。つまり、アンコウの旬は冬であるため、あん肝もこれに準じる。寒さに備えるようにアンコウの肝も肥大するため、寒い時期にあん肝も美味しくなるのである。
2. あん肝とは:栄養価

寒い時期に美味しくなるあん肝にはどんな栄養があるのだろうか。あん肝のカロリーや栄養について、具体的な数字を見てみよう。また、あん肝をめぐる噂についても検証する。
あん肝の栄養とカロリー
あん肝に含まれる栄養とカロリーは、以下のようになる。生のあん肝100gあたりの数値である。(※1)また、その栄養の効能も簡単に説明する。
・カロリー 401kcal
・タンパク質 10g
生命の源ともいえる栄養成分であり、糖質と脂質とともに三大栄養素の一翼を担っている。ホルモン、血液、骨など、人体の重要な機能に深く関連している。(※2)
・鉄分 1.2mg
鉄分は重要なミネラルのひとつで、赤血球内のヘモグロビンに多く存在する。体内の酸素の供給にかかわる栄養であり、不足すると貧血になりやすい。(※3)
・リン 140mg
リンはミネラルのひとつであり、骨の形成、エネルギーの再生にかかわる栄養である。(※4)
・ビタミンA(レチノール) 8300μg
あん肝には豊富なビタミンAが含まれている。ビタミンAは生殖機能、視覚や聴覚に必須の栄養成分である。(※5)
・ビタミンB12 39μg
ビタミンB12は肝臓に多く含まれるビタミンであるから、あん肝にも豊富に存在する。ビタミンB12は葉酸とともに赤血球を作ったり、体内における代謝や、タンパク質の合成に関与している。(※6)
・葉酸 88μg
葉酸はビタミンのひとつであるが、人体において不足しやすい栄養とされている。DNAやRNAなどの核酸、タンパク質の合成などさまざまな代謝に関与し、妊婦にはとくにその摂取が推奨されている。(※6)
・ビタミンD 110μg
ビタミンDは、カルシウムの吸収に重要な役割を果たすだけではなく、骨から血液へのカルシウムの遊離も助けている栄養素である。(※7)
このように、あん肝にはミネラルやビタミン、そしてタンパク質が豊富に含まれているのである。
あん肝の成分は体に悪い?
あん肝の食べ過ぎは体に悪い、という噂を耳にしたことがある人もいるだろう。その理由はなんだろうか。
まず、高めのカロリーがあげられる。100gあたりのカロリーは400kcal超であることから、カロリー制限をしている人だけではなく、健康な人も要注意である。
さらに、あん肝に豊富に含まれているビタミンAは、過剰摂取の弊害が報告されている。(※7)頭痛や吐き気などを喚起する可能性もあるため、あん肝の食べ過ぎには注意が必要なのである。
また、あん肝が有するプリン体の量も少なくない。プリン体を多量に摂取することで血中のの尿酸値が上昇し、痛風などの病気を発症する可能性が高くなる。(※8)あん肝100g中には400mgのプリン体が含まれており、これは1日のプリン体摂取量の上限であることからも、あん肝の食べ過ぎは控えるべきなのである。
3. あん肝とは:食べ方

あん肝を口にしたことがある人も、自宅で料理することはまれかもしれない。旬の時期の美味しいあん肝が手に入ったら、ぜひ下処理を施して美味しく料理したい。あん肝の食べ方についていくつかのアイデアを紹介しよう。
あん肝の下処理方法
みずみずしさを感じる新鮮な生のあん肝、まずは下処理の方法を説明する。
あん肝の蒸し方
下処理をしたあん肝は、蒸しておくとその後の調理に使いやすい。その蒸し方である。
蒸しあがったあん肝は、ポン酢や大根おろしを添えるだけで料亭並みの一品となる。
あん肝を使った料理
あん肝は、蒸してしまえばあとは簡単な調理法で美味しく食べることができる。ポン酢でそのまま食べたり、ソテーにしたり、また鍋に入れても冬のお酒が進む。消費方法に困ったら、味噌汁の具にしてもコクのある味わいを堪能できるだろう。
あん肝は生でも食べられる
あん肝はさばきたての新鮮なものであれば、生で食べることも可能である。ただし、家庭であん肝を生で食べる場合には、鮮度にはよくよく注意する必要がある。魚の内臓の生食は食中毒を引き起こす可能性もあるため(※9)、あん肝の生食も専門店で経験するのが無難かもしれない。
結論
江戸時代から冬の美味として珍重されてきたあん肝。あん肝は、深海魚であるアンコウの肝臓である。その濃厚で贅沢な味わいから、海のフォアグラの異名を持つ。冬に美味しくなるあん肝は、下処理や蒸すことで自宅でも美味しく食べることができる。栄養も豊富なあん肝であるが、食べ過ぎによる弊害には注意しよう。
(参考文献)