- ※1.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 穀類/そば/そば/生」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01127_7
- ※2.小学館デジタル大辞泉「水溶性ビタミン」 https://kotobank.jp/dictionary/daijisen/
- ※3.農林水産省「そばの栄養について教えてください」 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0301/01.html
1. そば湯の美味しい飲み方
そば湯は、そばの茹で汁のことである。とろりとしたその見た目から、まずいという印象を持っている人もいるだろう。そばを頼むと自動的にそば湯が供される店もあるが、そば湯を飲むのにはマナーというものがあるのだろうか。そば湯の飲み方を見てみよう。
そばつゆにそば湯を加えて飲む
そば湯の飲み方として最も一般的なのが、そばを食べたあとのそばつゆにそば湯を加える方法である。しっかりとした味の付いたそばつゆを、蕎麦湯で割る感覚で飲む。和食の粋をじっくりと感じることができる飲み方である。
薬味を加えて飲む
そば湯とそばつゆの組み合わせだけでは物足りない場合には、わさびや山椒、大根おろしやねぎなど、供されてきた薬味を加えてもよい。辛味や香味がちょうどよいアクセントとなり、大人の味わいとなるだろう。
そば湯をそのまま飲む
そばつゆの塩分が気になるときは、そば湯をそのまま飲んでみよう。香りのよい蕎麦であれば、そば湯もそのまま飲むに足る滋味を感じることができる。ただし、慣れない場合には飲みにくい場合もある。
2. そば湯を飲むのはなぜ?
そば湯はなぜ飲むのだろうか。そもそも江戸時代の書物にはすでに、そば湯を飲むことで消化が促進されることが記されているという。そば湯はそばを茹でた汁であるから、そばから流出した栄養分が含まれている。その栄養ともたらされる効果について注目してみよう。
そば湯は体にいい!栄養と効果とは
そば湯の栄養についての情報は文部科学省の食品成分データベースにないため、生のそばからその栄養を探ってみよう。(※1)植物性タンパク質、カリウムや鉄をはじめとする数々のミネラル、ナイアシンやパントテン酸といったビタミン、葉酸、食物繊維などの栄養素が、データベースから認められる。注目すべきは水溶性のビタミンB群であり(※2)、その性質上、そば湯にはビタミンB群が溶けだしていることは想像に難くない。また、そばには血圧を低下させるルチンという成分が含まれている。(※3)そば湯を飲むことで、こうした栄養の摂取が期待できるのである。
そば湯を飲むと太る?カロリーとは
とろりとした外観から、そば湯のカロリーを気にする人もいるかもしれない。生のそば100gのカロリーは271kcalほどあるが(※1)、そば湯はあくまでもそばを茹でた汁である。多少の栄養がそば湯に流出していても、大半は湯であるからカロリーは微々たるものと考えて問題ないだろう。実際、そば湯を湯のみ1杯分飲んでも、そのカロリーはおよそ7kcalである。
3. そば湯の作り方
そば湯は、自宅でそばを茹でる場合にも美味しく飲めるのだろうか。栄養を含むそば湯、その作り方を説明する。
そば粉から作る方法
そば湯といえば、そばの茹で汁というイメージが定着している。しかし、そば粉からそば湯を作ればより濃厚で香りのよい味を楽しめる。そば粉から作るそば湯は、栄養価も高い。湯のみにスプーン1~3杯のそば粉を入れて少量の水で溶いてから、熱湯を加え、よく溶かせばできあがる。さらっとしたそば湯が好みならばスプーン1杯からはじめるとよいだろう。
そばを茹でて作る方法
自宅でそばを茹でる場合は、乾麺のタイプを使うことが多い。乾麺のそばの茹で汁も、そば湯として飲むことは可能である。より美味しいそば湯を作るためには、そば粉の割合が小麦粉と比べて多いものを選ぶのがコツである。美味しいそば湯を飲みたい場合は、そばを購入する際には原料のレベルをよくチェックすることをおススメする。
4. 残りのそば湯のアレンジした食べ方
そば湯が余ってしまったり、飲むのが苦手という場合には、料理に活用する方法もある。たとえば、お粥にする場合にそば湯を使う手がある。卵や薬味を加えて作るそば湯のお粥、その優しい味わいは胃の疲れも癒してくれる。また、味噌汁やスープにも活用可能である。具材を加えることで食材の旨みとマッチして、美味しい汁物となるだろう。また、そば湯を寒天で固めれば、くずもちのような風味のデザートにもなる。栄養たっぷりのそば湯、ぜひさまざまにアレンジしてみてほしい。
結論
江戸時代からそば好きにはおなじみであったといわれるそば湯。とろりとした見た目を敬遠する人もいるかもしれないが、栄養価も高く胃にも優しいのがそば湯なのである。そばの茹で汁を使ったり、そば粉から直接作る方法もある。栄養面でのメリットや優しい味わいは、さまざまな料理にも活用できる。そば湯だけではなくそれをアレンジしたメニューも、ぜひ折々に楽しんでほしい。
(参考文献)