1. 「1cc=1ml」の関係が成り立つ
ccとmlはどちらも体積の単位だ。体積とは、縦・横・高さの空間に占める大きさを表し、嵩(かさ)という。以下より、どちらも1cm3を表すため「1cc=1ml」が成立するのがわかる。
・ccとは
cubic centimeter(キュービック センチメートル)=立方センチメートルの略称で、
1辺が1cmの立方体の体積「1cm×1cm×1cm=1cm3」を表す。
・mlとは
m(ミリ)は1000分の1、L(リットル)は1000cm3を意味する単位記号だ。よってmlは1Lの1,000分の1の体積を表し、「1/1,000×10cm×10cm×10cm=1cm3」となる。
大さじ・小さじ・米1合はそれぞれ何cc?
1cc=1mlがわかれば、料理レシピや希釈の記載で迷わずに済むだろう。レシピで目にする単位といえば、大さじや小さじだ。では、大さじ・小さじは何ccなのか?水の場合で換算すると、大さじ1=15cc=15ml、小さじ1=5cc=5mlとなる。また、米を換算すると1合=180cc=180mlとなり、覚えておけばちょっとした計量時に役立つ。ただし、すべてのものが水と同様ではなく、食材によって換算率が異なるので気を付けよう。
2. ccとmlの基準となったものは?
ccとml、なぜ同じ体積を表す単位が2つもあるのか。両者ともその大枠はm(メートル)にある。それでは、ccとmlそれぞれの成り立ちを見ていこう。
ccの基準は長さの単位「cm(センチメートル)」
まずはmの歴史を紹介する。1791年、工業の成長に伴い長さの基準を世界的に統一する目的から、フランスによって提唱された単位がmだ。当時は、北極から赤道までの距離の1千万分の1を1mとした。今日では、光が1秒間に真空中を進む距離をもとに1mが定義されている。国際単位系ではmを長さの基本単位として用い、それに10の整数乗を表す接頭語を付けて使用する。1ccは、1mの100分の1にあたる1cmの3乗だ。ccはcmを基準にしているのがわかる。
mlの基準は体積の単位「L(リットル)」
次にmlを見てみよう。lは国際単位と併用が認められる非国際単位だ。1Lは1dm(10cm)の3乗を表し、1dm(10cm)×1dm(10cm)×1dm(10cm)=1dm3(1,000cm3)となる。lに1mの1,000分の1にあたるmを付けることから、mlの基準はlとなるのがわかる。
3. 現在は「ml」を使うことが多い
国際単位系によると単位記号は数式の要素であり、省略記号ではないとされている。そのため名称の省略も認められず、ccは「cm3」か「立方センチメートル」のいずれかで表記しなければならない。科学や商業などさまざまな場で国際単位を使用することが推奨されており、これによって単位が表す曖昧さや誤解が回避されるとしている。以上の理由から、現在は日本でもccの使用を避け、mlが使われることが多いのだ。
4. 体積と質量の関係についても解説
スーパーで1L(1,000ml)ペットボトルの水を1本買った。その質量は1kgだ。体積と質量はイコールなのか?ここでは、密度を加えて体積と質量の関係を見ていく。
グラム(g)は質量を表す単位
体積が三次元の空間に占める大きさを表すのに対し、質量が表すのは慣性の大きさだ。国際単位系における質量の基本単位はkgであり、gはその1,000の1にあたる。
「質量=体積×密度」の関係が成り立つ
質量・体積・密度の関係は以下の公式で成り立つ。密度とは、単位体積あたりの質量だ。簡単にいうと、1cm3あたりの質量は何gなのか?ということで、このときの密度はg/cm3と表記する。
上記にある「1L(1,000ml)ペットボトルの水が1本で1kg」を検証してみると、「質量1kg(1,000g)÷体積1dm3(1,000cm3)=密度1kg/dm3(1g/cm3)」のようにして密度が求められる。水の密度は1kg/dm3(1g/cm3)だが、油の密度は0.9kg/dm3(0.9g/cm3)であるため、油の質量=密度0.9kg/dm3(0.9g/cm3)×体積1dm3(1,000cm3)=0.9kg(900g)となり、体積と質量がイコールではないことがわかる。
結論
ccとmlの関係についておわかりいただけただろうか。成り立ちが違うだけで表す数値は同じであるため、計量時に迷うこともなくなるだろう。質量とはイコールの関係にないため、注意してほしい。実に多くの単位が国際的な取り決めのなかで使用されているのも興味深い内容だ。身の回りにあふれるさまざまな単位を調べてみるのも面白いかもしれない。