目次
- 炭水化物(食物繊維、糖質)
- カリウム
- カルシウム
- リン
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンC
- ※1出典:農林水産省「新たまねぎと普通のたまねぎとは品種が違うのですか。」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2006/01.html
- ※2出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類/(たまねぎ類)/たまねぎ/りん茎/生 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06153_7
- ※3出典:NPO法人(特定非営利活動法人) 野菜と文化のフォーラム「野菜のおいしさ検討部会報告書」第10章 野菜のおいしさに関する文献調査 1 タマネギ http://www.yasaitobunka.or.jp/oishisa/report_21/rpt21_10-01.html
- ※4、5出典:独立行政法人農畜産業振興機構
- ※4:これからが旬、新たまねぎ! https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000788.html
- ※5:疲労回復に効果的!柔らかくて甘い"新たまねぎ" https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0706_yasai1.html
- ※6出典:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 Theたまねぎ料理 https://www.naro.go.jp/laboratory/nfri/introduction/files/tamanegi_recipe.pdf
1. 新玉ねぎの栄養素

玉ねぎは出荷前に乾燥させるため水分が比較的少なく、乾燥させずに出荷する新玉ねぎは水分が多い。そのため、同じ重量で比較すると栄養素の含有量やカロリーには差があると考えられる。
しかし、栄養成分の種類に関しては、新玉ねぎと玉ねぎでの違いはないとされる(※1)。そこで、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※2)で公開されている玉ねぎの栄養素のデータをもとに、新玉ねぎに含まれる主な栄養素を紹介しよう。
主な栄養素
2. 新玉ねぎの栄養と効果効能

新玉ねぎや玉ねぎには、食品成分表に記載されている栄養素のほかにも、健康効果の期待できる成分が含まれている。代表的な2つの栄養成分と期待できる効果効能を紹介しよう。
硫化アリル
玉ねぎ特有の辛みやにおいの元となる成分である。イオウを含む有機化合物で、単に風味を出すだけでなくさまざまな働きをする。硫化アリルは新玉ねぎにも一般的な玉ねぎにも含まれるが、水溶性で熱に弱いという特性がある。そのため、生食に向く新玉ねぎからの摂取が効率的といえる。(※1、3)
主な働きと効能
消化液の分泌を促し、体温を上昇させ新陳代謝を高めるのに役立つ。また、硫化アリルの一種、プロピルメチルジスルフィドという成分が、血液をサラサラにするといわれる。コレステロールの代謝を正常に維持し、血栓を防ぐことから動脈硬化の予防効果も期待できる。
また、イオウ化合物の一種であるアリシンは、ビタミンB1と一緒に摂取することで疲労回復に役立つ。(※1、3、4、5)
ケルセチン
色素成分であるポリフェノールの一種(フラボノイド)で、新玉ねぎや玉ねぎの外皮に近い部分に含まれている。(※4、5、6)
主な働きと効能
ケルセチンを含むフラボノイドには、抗酸化作用があるため活性酸素の働きを抑制する。その結果、アンチエイジング効果のほか、動脈硬化の予防、免疫力の向上などが期待できる。また、血小板凝集抑制作用があるため、硫化アリルとともに血液をサラサラにすると考えられている。(※4、5、6)
3. 新玉ねぎの栄養をしっかりと摂る食べ方

新玉ねぎを食べる際には、栄養成分も効果的に摂取したい。とくに、水溶性で熱に弱い特徴をもつ硫化アリルと、外皮に近い部分に分布するケルセチンを効率よく摂取するために、食べ方のポイントをおさえておこう。(※1、5、6)
食べ方のポイント
皮は薄くむく
新玉ねぎの外皮は非常に薄い。むきすぎるとケルセチンを摂取できなくなってしまうため、薄くむいて調理しよう。(※5)
水にさらさず生で食べる
生の玉ねぎは辛みが強いため、スライスしたあと水にさらす場合もある。しかし新玉ねぎは、生でも辛みやにおいが少なく食べやすいため、水にさらす必要はない。気になる場合はしばらく空気に触れさせておくとよい。水溶性の硫化アリルが流出する心配もなくなる。生のままサラダや和え物として食べれば、熱による損失も避けられる。(※1)
短時間で加熱する
加熱調理する場合は、サッと炒めるか電子レンジで軽く火を通す程度にしよう。短時間の加熱なら、硫化アリルの損失を最小限におさえられる。また、新玉ねぎは柔らかく火が通りやすいため、加熱しすぎると形が崩れてしまう。スープや煮込み料理に使用する場合も、仕上げに加えて短時間の加熱に留めるとよい。(※1)
油分と一緒に摂る
ケルセチンは油分と一緒に摂ると、吸収されやすくなる(※6)。オイルドレッシングをかけたサラダのほか、油炒めなどもおすすめだ。
ビタミンB1を含む食品と組み合わせる
イオウ化合物のアリシンはビタミンB1とともに摂取すると吸収がよくなり、疲労回復に役立つ。ビタミンB1は豚肉に多いため、豚しゃぶと新玉ねぎのサラダなどで食べよう(※5)。
結論
新玉ねぎに含まれる栄養素の種類は、一般的な玉ねぎと変わらない。とくに、辛み成分である硫化アリルは水や熱に弱いが、辛みが弱く生食に向く新玉ねぎなら効率的に摂取できる。また、皮も薄くむく程度で食べられるため、フラボノイドの一種であるケルセチンも摂取しやすい。新玉ねぎの栄養を生かすには、生食が最もおすすめである。加熱する場合は短時間に留めよう。美味しく栄養豊富な新玉ねぎを、健康維持に役立ててみてほしい。
(参考文献)