- ※1:一般財団法人奈良県薬師会「ハマボウフウ」 http://www.narayaku.or.jp/plant/plant06.html
1. はまぼうふうとはどんな植物?
はまぼうふうは、その名の通り「浜」に広く自生している植物のひとつである。現在では自生しているものは少なく、出回っているのは栽培品が多い。野菜として愛されてきたのはもちろん、根は漢方薬としても知られている。ここではまず、はまぼうふうがどんな植物なのかを解説していこう。
はまぼうふうはセリ科の野菜
はまぼうふうは、セリ科の多年草である。北海道から南西諸島まで、広く自生しているが、現在は栽培品も存在する。その名の通り、浜の近くに自生している稀有な植物でもある。
ご想像通り、潮風や砂など、浜は植物が生きるのにはなかなか過酷な環境である。ごぼうのような根を地中に伸ばし、地面を這うようにして葉を広げるなど、はまぼうふうはその過酷な環境で生きるために進化を遂げてきた。
はまぼうふうの味とは
はまぼうふうの可食部分は、赤紫色の茎とギザギザとした楕円形の葉っぱ。根っこは漢方薬になる。
茎と葉っぱは、セリ科だけあってセリに似た独特の風味と味わい。旬のものはシャキシャキとした食感と相まって、料理に爽やかさを与えてくれる。えぐみが少ないので、生食も可能で刺身のツマなどに使われることも。
はまぼうふうの旬の時期
はまぼうふうが美味しい旬の時期は、花が咲く前にあたる3~5月頃。柔らかな新芽を味わうのがおすすめだ。北海道や埼玉、茨城などで栽培もされている。
2. おすすめの料理は?はまぼうふうの食べ方
セリのような味わいだとされるはまぼうふうは、一体どんな料理にして食べると美味しいのだろうか?
はまぼうふうの天ぷら
はまぼうふうは少々クセのある味わいなので、天ぷらなど、油と合わせると美味しくいただくことができる。衣のサクサクした食感、そしてはまぼうふうのえぐみのバランスが非常にいい。
はまぼうふうの酢味噌和え
はまぼうふうはさっと茹でて、酢味噌で和えても旨い。はまぼうふうのシャキシャキ感を楽しみたいので、茹ですぎないことがポイントだ。
3. はまぼうふうの栄養と効能
はまぼうふうは、旬の味として楽しまれている。そんなはまぼうふうにはどんな栄養が含まれているのだろう?ここでは茎と葉、そして根っこに分けてご紹介していこう。
はまぼうふうの茎や葉の栄養
はまぼうふうの茎と葉にはベータカロテン、ビタミンC、カルシウム、食物繊維などが含まれている。
はまぼうふうの根の薬効
そもそも生薬として用いられてきた「ぼうふう」に似ていることから、はまぼうふうと名付けられたとされている。
夏に採取した根っこを干したものが生薬となり、北沙参と呼ばれている。ぼうふうの代わりに漢方薬に調合されることもあるという。薬効としては解熱や鎮痛など。民間薬として風邪薬のように用いられてきた過去も。(※1)
4. はまぼうふうの栽培方法
はまぼうふうは、自宅で育てることもできる。種まきは、15?20℃になる春先だが、種からよりも苗からの方が育てやすい。しかし自生しているものを移植するのは、なかなか難しいようだ。水はけのいい砂地を用意するのがポイントで、根が長く伸びることもあり、プランターで育てるのは、なかなか難しい。
多年草なので、増やし方に工夫をさほどしなくても、徐々に増えていく。水をあげすぎると腐りやすいのでその点にも注意したい。
5. はまぼうふうの見分け方
浜辺ではまぼうふうを採取するということもあるかもしれない。環境の変化からその数は少なくなっているが、まだ各地の海岸線に生息地を有している。
採取する場合は、若い新芽を摘み取るようにするといい。ただし、私有地では採取をしないこと。
結論
はまぼうふうは、海岸に自生する山菜のひとつである。栽培品はまだまだ発展途上ということもあり、高値で取引がされている。セリに似た風味とシャキシャキとした食感が特徴で、天ぷらや酢味噌和えはもちろん、そのままサラダに混ぜて食べることも。見かけたら、一度味わってみてほしい。
(参考文献)