目次
- 加工乳(濃厚)のカリウム含有量:100gあたり170mg/コップ一杯(200ml)あたり354mg
- 加工乳(低脂肪)のカリウム含有量:100gあたり190mg/コップ一杯(200ml)あたり394mg
- 脱脂乳のカリウム含有量:100gあたり150mg/コップ一杯(200ml)あたり311mg
- 全脂無糖のヨーグルトのカリウム含有量:170mg(※4)
- プロセスチーズのカリウム含有量:60mg(※5)
- 有塩バターのカリウム含有量:28mg(※6)
- じゃがいも(※12):410mg
- かぼちゃ(※13):400mg
- バナナ(※14):360mg
- トマトジュース(※15):260mg
- 100%オレンジジュース(※16):180mg
- 紅茶(茶葉)(※17):2,000mg
- インスタントコーヒー(顆粒)(※18):3,600mg
- カロリー:61kcal
- タンパク質:3.3g
- 炭水化物:4.8g
- 脂質:3.8g など
- (※1)(※8)(※10)(※19)〜(※22)厚生労働省|e-ヘルスネット| https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- (※2)〜(※6)(※12)〜(※18)文部科学省|食品データベース|普通牛乳 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_7
- (※7)株式会社SN食品研究所|高血圧に牛乳が効く!カリウムを摂取し「脳卒中」「糖尿病」を予防 | SN見聞録 | https://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/12970
- (※9)北海道医療センター|腎臓病の話 カリウムについて(1) https://hokkaido-mc.hosp.go.jp/column/kidney_001.html
- (※11)大塚製薬株式会社|タンパク質/リン https://www.adpkd.jp/yomoyama/vol05_03.html
1. 牛乳はカリウム量が多い飲み物

厚生労働省では、カリウムの1日あたりの摂取目標量を男性3,000mg以上と定めている。(※1)しかし、2019年時点での「国民健康・栄養調査」の結果では男性は2,387mgと目標量に到達していないのが実情だ。そのうえ、WHOのガイドラインで推奨されるカリウムの摂取推奨量3,510mgにも及ばない。日本では男女ともにカリウムが不足しているため、毎日の食事にカリウムを取り入れることが理想的だ。
牛乳のカリウム含有量
手軽で美味しく、また経済的でもあることから、カリウム摂取源として牛乳を推奨したい。さらに、普通牛乳のカリウム含有量はコップ一杯(200ml)あたり310mgだ。(※2)そのほかの牛乳にももちろんカリウムは含まれているが、カリウム含有量は以下のように種類によって異なる。
牛乳の種類別カリウム含有量(※3)
乳製品のカリウム含有量
つづいて、牛乳以外でカリウムを含む乳製品について、それぞれのカリウム含有量を見ていきたい。
乳製品のカリウム含有量(100gあたり)
上記から、ほかの乳製品よりも牛乳のほうが100gあたりのカリウム含有量が多いことをご理解いただけたと思う。
2. 牛乳のカリウムの効果

ここからは、牛乳に含まれるカリウムにはどのような効果があるのかを見ていきたい。
高血糖や糖尿病のリスク軽減
牛乳に含まれているカリウムには、血糖値が高い状態である高血糖や、高血糖が慢性的につづく糖尿病のリスクを軽減する働きが期待されている。世界の疫学研究では、牛乳を摂取することで血圧が下がり、脳卒中や糖尿病といったリスクが下がることが判明しているというのも、カリウムを豊富に含む牛乳を飲むことが減塩につながり、血圧が下がることで糖尿病や脳卒中の予防に役立つと期待されているのだ。(※7)
むくみの改善
牛乳に含まれるカリウムは、血管を健康的にするほか、体内の不必要な塩分を体外に排出する働きをもつ。(※1)塩分には水を体内に溜める性質があるため、塩分過多の場合、むくみにつながるリスクがあるからだ。体内で水分を調整してくれるカリウムの多い牛乳を摂取することで、塩分を適度に減らし、むくみの改善が期待できるといわれている。(※8)
3. 腎臓病でカリウム制限中に牛乳は大丈夫?

高血糖や糖尿病のリスクを軽減するカリウムだが、カリウム制限を受けている方は、1日の摂取量に注意が必要だ。たとえば、腎臓病の場合、血液中のカリウムが増えることで不整脈が起き、心臓が停止するリスクがある。(※9)最悪の場合、人工透析を受ける段階まで進行するため、気をつけていただきたい。
カリウム制限中の牛乳は注意が必要
腎臓病のようにカリウム制限を受けている状態では、1日のカリウム摂取量の目安が1,500mg以内(推定腎機能29未満の場合。推定腎機能30-44は:2,000mg以内)とされている。牛乳コップ一杯(200ml)のカリウム含有量は約300mgなので、5杯以上は控えたい。もちろん牛乳を5杯も飲まないという方も、カリウムは多くの食品に含まれているため、トータルで見たときに過度に摂取しているケースもあるだろう。
牛乳にはリンも多い(※10)
牛乳100gあたりのリン含有量は、93mgだ(※2)。リンは身体に必要なミネラルとして、歯や骨を形成する。細胞の浸透圧やpHバランスを保つ働きがあるが、リンを過剰に摂取するとカルシウムが吸収しづらくなる。そのため、血中のリン酸濃度が高いままだと骨がもろくなり、血管や腱などでカルシウムと結合して石灰化を起こすリスクがある。(※11)
牛乳以外のカリウムが多い食品や飲み物
牛乳以外に以下のような食品にもカリウムが多く含まれているため、注意が必要だ。どれもコンビニやスーパーなどで気軽に買える食品のため、知らないうちにカリウムを摂取しすぎるケースもあるだろう。
牛乳以外のカリウムが多い食品や飲み物(100gあたり)
4. カリウム以外の牛乳の栄養

牛乳にはカリウム以外にもさまざまな栄養素がバランスよく含まれている。牛乳は生命維持のために必要な三大栄養素とされるタンパク質(※19)、炭水化物(※20)、脂質(※21)をはじめ、ビタミンAやビタミンB2(※22)などを豊富に含む準完全栄養食品なのだ。以下に牛乳に含まれるカリウム以外の栄養素を見ていこう。
100gあたりの普通牛乳に含まれるカリウム以外の栄養素(※2)
実に豊富な栄養素が牛乳には含まれている。
結論
牛乳に含まれるカリウムは高血圧や心臓病、脳卒中などを予防するのに重要な役割をもつ。同時に、腎臓病などでカリウム制限を行っている場合は、牛乳の摂取量目安を守ることが大切だ。牛乳にはさまざまな栄養素がバランスよく入っているが、自分の体調や持病などを考慮しつつ、必要な量を摂取するのが理想的だろう。
(参考文献)