- にんにく 好みの分量
- 醤油 適量
- 清潔な容器(瓶やプラスチック製の食品保存容器)
- 重石(落としぶたにする・ラップでも代用可)
- 瓶を煮沸消毒する。
- にんにくを房ごとにばらして、皮をむく。
- 煮沸消毒した容器ににんにくを詰める。
- 醤油をにんにくがかぶるくらいまで注いで、重石かラップで落としぶたをする。
- ふたは内部のガスを逃がせるように軽くしめ、冷暗所か冷蔵庫保存する。
- 3日目ほどしたら食べはじめることができる。
- (※1) 日本薬学会 環境・衛生部会ホームページ https://bukai.pharm.or.jp/bukai_kanei/topics/topics59.html
- (※2)参照:わかさ生活 「アリシンの効果」 https://himitsu.wakasa.jp/contents/allicin/
- (※3) 文部科学省 肉類/<鳥肉類>/にわとり/[副品目]/すなぎも/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11233_7
1. 加熱なし!にんにくの醤油漬けの作り方
材料や工程がシンプルで手軽な、にんにくの醤油漬けのレシピを紹介しよう。
加熱せずに生のままのにんにくを漬け込むため、にんにくの有効な栄養成分が残りやすく、風味が強い仕上がりになる。ささっと作って、常備しておいて損はないのでぜひ試してみてほしい。
にんにくの醤油漬けの材料
作り方の手順
皮をむくときは、根元を薄く切り落とし、30分ほど水にさらす。その後、根元の切り口からむくと、皮がするりとむけやすくなる。3日ほどしたら食べはじめることができるが、味がなじんでくるのは約1カ月後からだ。
青唐辛子やニラで材料アレンジ
好みの薬味を一緒に漬け込むと風味が増して、美味しい醤油漬けができる。ただし、薬味を漬け込むと水分量が上がるため、日持ちする期間は短くなる。アレンジした醤油漬けは冷蔵庫保管して、早めに食べきろう。
からい物が好きな人には、青唐辛子を入れてみよう。ピリリと刺激的な青唐辛子は暑い夏におすすめだ。
ニラや大葉もそれぞれの風味が加わり美味しさがアップする。ニラは細かく刻んで入れてみよう。刻むことでニラの風味が引き立ち、中華風ドレッシングなどにも応用できる便利な組み合わせだ。大葉は、広げた大葉の間に薄切りにしたにんにくを挟み込みながら交互に保存容器に入れ、醤油とごま油を回し入れよう。白米との相性がバツグンで、おにぎりにしても美味しい。
意外な組み合わせとして、セロリはどうだろう。セロリとにんにくの風味はどちらも個性的だが相性がいい。セロリは皮の固い部分だけをむき、食べやすい大きさにカットして、にんにくと一緒に漬け込もう。セロリは塩からくなる前に引き上げてそのまま食べたい。
タレもお好みでアレンジ
醤油漬けのタレは醤油だけでもシンプルで美味しいが、好みでアレンジすればバリエーションを楽しめる。いろいろ試して、好みのアレンジを見つけてほしい。
たとえば、酢を加えるとほどよい酸味が加わってさっぱりとした食欲をそそる仕上がりになる。酢だけで漬け込んでもOK。餃子の付けダレや鶏肉のさっぱり煮などに使っても美味しくて便利だ。酢だけで漬け込む場合は、食べごろになるには1カ月ほどかかる。
また、はちみつで漬け込んでも甘くまろやかで食べやすくなる。2カ月ほど寝かせたら食べごろだ。
からいのが苦手な場合
レシピ通りに作ってみたが、からいのが苦手な場合は食べにくいことがあるだろう。そんな時の対策として、からみをおさえる方法を紹介する。
皮をむいたら冷蔵庫で一晩放置してみよう。にんにくの皮をむいた後、漬け込む前に冷蔵庫で一晩寝かそう。生のにんにくはアリインというからみ成分が豊富だ。アリインは揮発性があるため、外気に触れることによってからみが抜けていく。この性質を利用しよう。また、アリインはしっかり漬け込むことでも分解されるため、2週間~1カ月でからみが和らぐ。からいのが苦手な人ははやる気持ちをおさえて、しっかり漬かるまでじっと待つこと。
それでもからいときは、にんにくを加熱するとよい。アリインは熱に弱いため、電子レンジで10秒ほど加熱するとからみが和らぐ。ただし、加熱しすぎに注意しよう。
2. にんにくの醤油漬けの食べ過ぎはNG
にんにくの醤油漬けにはにんにくに含まれる成分である「アリイン」が「アリシン」などへ変化することにより、抗酸化作用、免疫力アップ、疲労回復、抗菌・解毒作用、動脈硬化の予防などの健康効果が期待できる。にんにくの細胞に傷が付かない状態だと、無臭のアリインだが、細胞が破砕されると酵素の働きで強い臭いを発し、健康効果の高いアリシンへと変化するのだ。(※1)(※2)
しかし、いくら美味しくて健康に効果があるといっても、にんにくの食べすぎは身体に悪い影響を与える場合があるので注意が必要だ。
にんにく食べ過ぎのデメリット
にんにくの醤油漬けには強い臭いを発するアリシンが含まれている。食べた本人は気が付かないこともあるが、エチケットとして臭いには気を付けたい。
また、適量を摂取すれば健康効果が期待できるアリシンには、殺菌作用が強いという性質がある。アリシンは腸内の善玉菌・悪玉菌どちらも殺してしまうため、腸内環境を悪化させ腹痛や下痢、便秘を引き起こす恐れが生じる。また、アリシンは刺激が強いため、胃の粘膜を荒らし、胃痛を引き起こす可能性があるのだ。(※1)(※2)
1日に何個までならOK?
適量には個人差が大きいが、1日の目安としては、にんにくの醤油漬けの場合1~2片程度にとどめたほうがよい。また、空腹時や体調が悪いときには、食べることを控えよう。(※2)
3. にんにくの醤油漬けの美味しい食べ方
美味しく漬け込んだにんにくの醤油漬けは、そのまま食べるだけでなく、幅広い料理に活用できる。ここでは、にんにくの醤油漬けの美味しい食べ方を紹介しよう。
おつまみとしてそのまま食べる
にんにくの醤油漬けは、時間の経過によって味や風味が変化していく。まるごとそのまま食べるのは、もっとも変化が分かりやすい食べ方だ。漬けて3日くらいのからみが強くパンチのきいた味は、2週間~1カ月ほど経過するとマイルドになり食べやすくなる。さらに時間が経過すると、醤油がしみこんで塩からさが出てくる傾向にある。だんだんと熟成される過程をじっくりと楽しんで、好みのタイミングを見つけてほしい。
料理にアレンジする
チャーハンにスライスしたにんにくを入れると、香ばしいアクセントになる。フライパンに具やごはんを入れる前に油を熱し、スライスしたにんにくを入れてこんがりさせればOKだ。
また、卵黄をタレに漬けてみてもよい。タレに煮切ったみりんを加え、生の卵黄を落として、一晩冷蔵庫で寝かせてみよう。白米との相性バツグン、水分がほどよく抜けてねっとり感が増した卵黄で、特別感のある卵かけごはんが味わえる。
砂肝を使ったレシピもおすすめだ。オリーブオイルを熱したフライパンにスライスしたにんにくの醤油漬けを入れて香りを立たせる。下処理をして、食べやすいように切り込みを入れた砂肝を入れて火が通ったら、漬けダレの醤油を回し入れ、塩コショウで味をととのえよう。砂肝は高たんぱく質で低カロリーの優秀な食材だ。にんにくの健康効果と組み合わせることによって、ヘルシーなおかずができあがる。(※3)(※1)
酒の肴として、きゅうりやクリームチーズを使った手軽なアレンジもある。きゅうりは食べやすい大きさに切って、にんにくの醤油漬けのタレに砂糖と酢を加え、冷蔵庫で30分置けば完成。切って漬けるだけなので、箸休めやおつまみとして重宝するはずだ。
クリームチーズは、にんにくの風味が溶け込んだタレに煮切ったみりんを加えたものに漬けてみよう。クリームチーズににんにくの風味が移って、くせになる酒のつまみになる。
4. にんにくの醤油漬けの保存方法
にんにくは醤油漬けにすると、生のにんにくと比較して長期保存できるようになる。生のにんにくは風通しのよい冷暗所で1カ月、チルド室で2カ月ほど食べられる。一方、醤油漬けにすれば、常温でも1年間、冷蔵庫保存だとさらに長期間保存可能。これは、醤油の塩分濃度がにんにくより高いために、浸透圧の差によって、醤油がにんにく中の水分を奪う現象による効果だ。結果として、にんにくの中の微生物の活動に必要な水分が減少するために、腐敗の進行がおさえられるのだ。
気を付けたい点は、にんにくが醤油にしっかり浸かった状態を保つこと。醤油漬けのタレを料理に使って漬けダレが減ってしまったら、醤油を継ぎ足していけばよい。
醤油に漬けたにんにくが青や緑色に変色することがあるが、驚いて捨てないでほしい。これは、にんにくに含まれるアリインが醤油に含まれる有機酸により酸化し、さらに鉄分と結びついて変色した結果である。変色しても問題なく食べられる。
にんにくの醤油漬けを保存していると、小さな気泡が出て泡立つことがある。これは、発酵によって発生するガスだ。発酵しても失敗したわけでないため、こちらも問題なく食べられる。ガスの臭いが気になる場合は、常温保存を避け冷蔵庫に保存すればよい。発酵の速度を緩やかに保ち、臭いをおさえられる。
結論
にんにくの醤油漬けの作り方や食べ方、保存方法について紹介した。時間とともに味や風味の変化を感じられるにんにくの醤油漬けは育てる楽しみがある調味料だ。漬けたにんにくやタレは、多彩にアレンジできる万能な食材であり、たくさんの健康効果がある。食べ過ぎには注意が必要だが、適量を守ってじっくりと味わってほしい。
(参考文献)