目次
- たんぱく質:1.4g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:39.0g(食物繊維:3.5g)
- カリウム:540mg
- カルシウム:34mg
- マグネシウム:23mg
- リン:55mg
- ビタミンE:1.3mg
- ビタミンB1:0.12mg
- ビタミンB2:0.06mg
- ナイアシン:1.0mg
- ビタミンB6:0.33mg
- 葉酸:47μg
- パントテン酸:1.30mg
- ビタミンC:23mg
- ※1出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」いも及びでん粉類/<いも類>/(さつまいも類)/さつまいも/塊根/皮なし/焼き https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02008_7
- ※2※5※6※9:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/
- ※3:独立行政法人農畜産業振興機構「かんしょの加熱調理法の違いによるレジスタントスターチ量の変化」 https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001458.html
- ※4出典:独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター給食だより「第46号 さつまいも」 https://yamate.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2016/10/kyusyokuH28.10-.pdf
- ※7:独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 さつまいも」 https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0812_yasai1.html
- ※8出典:津久井亜紀夫(東京家政学院短期大学教授)「サツマイモの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論」 https://www.jrt.gr.jp/wp-content/uploads/20-29.pdf
1. 焼き芋に含まれる栄養素

焼き芋に含まれる代表的な栄養素について、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに紹介する。
100gあたりに含まれる栄養素(※1)
焼き芋は可食部100gのうち、炭水化物が39.0gと約4割を占める。たんぱく質と脂質の含有量は少ないが、炭水化物が多いためカロリーは151kcalと低くはない。焼き芋1本(約200g)を食べれば300kcal以上摂取することになるため、食べ過ぎには注意が必要だ。
ただし、食物繊維やカリウムが多く、ビタミン類もさまざまな種類を含むなど、栄養面では優れた食品でもある。(※1)
2. 焼き芋の栄養素と効能

焼き芋に多く含まれる食物繊維やカリウムには、どのような効果効能が期待できるのだろうか。さつま芋特有のヤラピンという成分やビタミンCも含め、それぞれの特徴や効能を紹介していく。
食物繊維
焼き芋100gあたりには3.5gの食物繊維が含まれる(※1)。食物繊維は体内に吸収されない栄養素で、便通を促し便秘予防に効果的である。また、善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立つ。食物繊維が豊富な食べ物は噛みごたえがあり、食べると満足感を得やすいというメリットもある。(※2)
また、さつま芋にはレジスタントスターチという成分も含まれている。難消化性のデンプンで、食物繊維と似た働きをするため機能性成分といわれる。レジスタントスターチの量は、さつま芋を加熱したり、その後冷やしたりすることで変化する。(※3)レジスタントスターチ摂取を目的に焼き芋を冷やして食べる人も少なくない。
ヤラピン
ヤラピンはさつま芋の皮の近くに多い白い液状の成分で、緩下作用があるといわれている。そのため、食物繊維と合わせて摂ることで、便秘の予防や改善に効果が期待できる。焼き芋を皮ごと食べれば、ヤラピンをより多く摂取することができる。(※4)
ビタミンC
水溶性ビタミンのビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせない栄養素だ。毛細血管や歯、軟骨などの健康を維持する働きがあり、日焼け予防、ストレスや風邪の予防にも役立つ。また、抗酸化作用により動脈硬化や老化の予防にも効果が期待できる。(※5)
焼き芋に含まれるビタミンCは、可食部100gあたり23mg(※1)と多くないため、ほかの食品からも積極的に摂取しよう。
カリウム
カリウムはミネラルの一種で、焼き芋100gあたりに540mgと多く含まれる(※1)。カリウムはナトリウムと相互作用しながら、主に細胞の浸透圧を維持する働きや水分を保持する働きをする。また、腎臓においてナトリウムの再吸収を抑制し、余剰分の排泄を促進する。そのため、血圧を下げる効果があり、高血圧の予防に役立つ。(※6)
3. 焼き芋の栄養素と美味しさの関係

焼き芋は、さつま芋の甘みが最大限に引き出された食べ物といえるだろう。また、独特の香ばしいにおいも食欲をそそる。これらの甘みや香りにも、それぞれ栄養素の働きが関わっている。
甘味を出す成分
焼き芋の甘みは、デンプンがアミラーゼ(デンプン分解酵素)の働きにより糖化することで引き出される。アミラーゼは60~70度ほどの温度で最も働き、糖化を進める。そのため、じっくりと時間をかけて加熱する焼き芋の場合、アミラーゼが働きやすく、甘みが強くなるのだ。(※7、8)
香りの正体
焼き芋が焼けてくると、焦げたような香ばしいにおいがする。これは、さつま芋に含まれるクロロゲン酸という成分によるものだ。クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、抗酸化作用があるほか、脂肪を消費しやすくすることから内臓脂肪の低減効果も期待できる。(※8、9)
結論
焼き芋に含まれる主な栄養素は食物繊維とカリウムである。ビタミンCをはじめとするビタミン類、さつま芋特有の成分であるヤラピン、香り成分であるクロロゲン酸などにも、健康効果が期待できる。焼き芋は炭水化物が多く、低カロリーとはいえないため、食べ過ぎには注意が必要だ。適量を美味しく食べながら健康維持に役立てよう。
(参考文献)