目次
1. 銀杏の食べ過ぎによる中毒

銀杏を食べ過ぎると中毒になる可能性があり、中には死亡例もある。(※1)以下で、詳しい内容を見ていこう。
中毒になるメカニズム
日本で初めて銀杏中毒が報告されたのは1881年で、2名の男児が死亡したとされている。その後は1950年代まで死亡例があったが、現在では報告されていない。当時は栄養状態が不良だったため、銀杏中毒にかかる人が多かったとされている。銀杏にはビタミンB6の作用や吸収を阻害する成分があるとされており、食べ過ぎるとビタミンB6欠乏症になってしまうのだ。(※1)中毒患者の多くが10歳未満で、中でも3歳以下で中毒になるケースが多いとされている。子どもでは10個程度でも中毒になる可能性があるので注意しよう。(※2)
2. 銀杏を食べ過ぎたときの症状

次に、銀杏を食べ過ぎた際の症状について見てみよう。
中毒の症状
銀杏を食べ過ぎて中毒になった場合は気持ち悪い、嘔吐などの症状がでることが多い。また、強直性間代性けいれんと呼ばれる症状が出る場合もある。(※1)実際に銀杏60個を食べて銀杏中毒になった人の症例を見てみると、食べてから4時間後から吐き気・嘔吐・下痢・めまい・手足の震え・悪寒などが見られた。(※3)銀杏中毒は比較的早い段階で症状が出るケースが多いため、異変を感じたらすぐに病院に連絡するなどしよう。
3. 銀杏の食べ過ぎにならない量

銀杏中毒について分かったところで、次は食べ過ぎにならない量を見ていこう。
1日の摂取量の目安
銀杏は大量に食べると中毒になるとされており、とくに5歳以下の子どもには与えないほうがよいとされている。時期になると相談が多く寄せられるので、食べ過ぎには注意しよう。具体的な個数については明記されていないが、6~7個程度で中毒症状が出た5歳以下の小児がいると報告されている。(※4)多くのケースでは20~30個食べた際に症状が出ているが、大人であっても1日9個以下にとどめたほうがよいだろう。(※2)また、中毒の原因となる成分は加熱してもなくならないため、炒ったり焼いたりした銀杏でも食べ過ぎには注意したほうがよい。(※4)
4. 銀杏を食べ過ぎた時の対処法

銀杏の食べ過ぎで起こる中毒や適量について分かったところで、次は食べ過ぎてしまった際の対処法について見ていこう。
医療機関を受診する
銀杏を食べ過ぎて身体に違和感を感じる際は、できるだけ早めに病院を受診しよう。仮に症状が軽い場合でも、その後に悪化したり痙攣が繰り返し起こる可能性もある。そのため、症状や違和感が確認できた時点で医療機関に行くか電話で問い合わせよう。(※4)病院で銀杏中毒と判断した場合、「pyridoxal phosphate(PLP)」と呼ばれる薬が投与される。銀杏中毒は食べ過ぎによって起こるものだが、それぞれの栄養状態や飲酒の有無などによって症状が出るまでの個数が異なる。(※3)自分は大丈夫だと思って過信せず、食べ過ぎには注意して銀杏を楽しもう。
結論
銀杏は炒ってお酒のおつまみなどにする人も多いが、食べ過ぎると中毒を引き起こしてしまう可能性がある。また、子どもや栄養状態の悪い人はとくに中毒になりやすいとされているため、食べる際は気を付けよう。適量を守れば美味しく食べられるので、食べ過ぎに注意しながら楽しんでみてほしい。
(参考文献)
※1参照:小林大祐「ビタミンB6欠乏症を引き起こす銀杏中毒に関する研究」
※2参照:和田啓爾,佐々木啓子「「生きた化石」イチョウに含まれる特有成分とその生理活性」
※3参照:小久保稔,寺田明彦,早川聡,他「健常成人に発症した銀杏中毒の1例」
※4参照:公益財団法??本中毒情報センター「ギンナンの?べ過ぎに注意しましょう」