1. たけのこの食べ過ぎによる身体への影響
たけのこ(ゆで※1)は可食部100gあたり31kcalと低カロリーで、脂質や糖質の含有量も少ない。ダイエット中でも安心して食べられる食品だが、食べ過ぎると下記のような影響が考えられるため注意が必要だ。
消化不良
たけのこは食物繊維が多く含まれる食品である。食物繊維の多い食品は消化されにくいため、食べ過ぎると消化不良による下痢などの不調を招く。とくに、胃腸が弱っているときに食べると消化不良が悪化してしまうため、食物繊維や脂肪の少ない消化しやすい食品を選ぶとよいだろう。(※1、2)
栄養バランスの偏り
「栄養バランスガイド」(※3)では、毎日の食事で何をどれだけ食べればよいか、目安となる指標が示されている。食品を5つのグループ(主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物)に分け、健康維持のためにそれぞれのグループからバランスよく食べることを推奨している。しかし、たけのこを食べ過ぎるとほかの食品が食べられなくなり、栄養バランスが崩れてしまう。
じんましんが出る可能性
たけのこにはヒスタミンという物質が含まれる。ヒスタミンは仮性アレルゲンとなる成分で、多く摂取するとアレルギーに似た症状(じんましんなど)が引き起こされることがある。一般的な食物アレルギーと異なり、仮性アレルゲンの場合は大量摂取することで誰でも症状が出る可能性があるため、注意が必要だ。(※4)
2. たけのこの食べ過ぎに注意が必要
たけのこはえぐみがあるため下処理が必要だが、そのえぐみの原因となるのがシュウ酸である。シュウ酸は、過剰摂取すると結石症を引き起こしたり悪化させたりする原因となる成分だ。(※5)
結石症 (※5)
結石症とは、尿中に増えすぎたシュウ酸とカルシウムが結合し、腎臓内で結晶化し石ができてしまう病気である。肉中心の食事やカルシウム不足、アルコールの摂り過ぎなども結石症の原因となるが、シュウ酸の過剰摂取にも十分に気を付ける必要がある。
たけのこを食べ過ぎないようにするとともに、茹でこぼすなどの下処理をしっかりと行うとシュウ酸が減少するため予防に効果的だ。
3. たけのこが食べ過ぎにならない量
たけのこを食べることによる不調が起こらない量とは、どのくらいなのだろうか。明確な適量は設定されていないが、目安を知っておくと安心だ。
一日の摂取量の目安
食物繊維の含有量を見ると、たけのこの一日あたりの摂取量は「150g程度」が目安と考えられる。食物繊維は便秘の予防や改善に役立つ栄養素で、不足しがちなため積極的な摂取が推奨されている。しかし、前述の通り過剰摂取すると消化不良を起こす場合もある。(※2、6)
たけのこ150gで一日の食物繊維の約25%を摂取
一日あたりの食物繊維の摂取目標量は、18~64歳の場合男性が21g、女性が18gである。茹でたたけのこ150gを食べると約5gの食物繊維を摂取できる。目標量の25%程度の量だが、
食物繊維はさまざまな食品から摂取することが望ましいため、ちょうどよい割合といえるだろう。(※1、6)
栄養バランスもとりやすい量
たけのこ150gは、小鉢およそ2つ分の量に該当する。「栄養バランスガイド」では一日に副菜5?6つ分の摂取が推奨されているため、たけのこを2皿分までにしておけばバランスもとりやすい。(※3)
結論
たけのこを食べ過ぎると、たけのこに含まれる成分の過剰摂取による不調が起こる可能性がある。代表的な影響は、食物繊維による消化不良、ヒスタミンによるアレルギー様症状、シュウ酸による結石症だ。また、たけのこに偏る食事は栄養バランスが崩れる点にも気を付けたい。たけのこばかりを食べ過ぎるのではなく、一日あたり150gまでを目安にさまざまな料理で美味しくいただこう。
(参考文献)
※1出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類/たけのこ/若茎/ゆで
※2出典:地方独立行政法人筑後市立病院 広報誌いずみVol.26 胃腸の調子が今一つ!? 消化のよい食べ物
※3出典:厚生労働省e-ヘルスネット 食事バランスガイド(基本編)
※4出典:一般社団法人日本アレルギー学会 よくある質問‐ 「仮性アレルゲン」とはなんですか。
※5出典:江別市立病院 どうして結石ができるの? 食事で予防できることはじめよう!
※6出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」