目次
- エネルギー:128kcal
- たんぱく質:6.3g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:26.6g
- ナトリウム:3mg
- カリウム:600mg
- カルシウム:5mg
- マグネシウム:34mg
- リン:150mg
- 鉄:0.8mg
- 亜鉛:2.2mg
- ビタミンE:3.0mg
- 葉酸:0.14mg
- ビタミンC:2mg
- 食物繊維:2.4g(水溶性0.6g、不溶性1.8g)
1. くわいはどんな野菜?

ここからはくわいの特徴を紹介していく。意外と知られていないくわいの歴史やなぜおせちの具材として使われるようになったのかを見ていこう。
くわいの歴史
くわいは平安時代に中国から日本に伝来した野菜だ。漢字では「慈姑」と書く。これは親芋のまわりに子芋ができる様子が、まるで慈悲深い姑が母乳を与えている姿に似ていることに由来しているそうだ。
くわいの産地
令和2年度の地域特産野菜生産状況調査(※1)では日本国内のくわいの生産量が一番多い県は広島県となっている。続いて埼玉県や茨城県でもくわいの生産量が多く、これらの地域がくわいの産地として有名である。
くわいの旬
くわいの旬は11月~12月にかけてだ。とくに年末のおせち料理をつくるころになると、八百屋やスーパーでもくわいが店頭に並んでいるのをよく見かけるだろう。
なぜおせち料理に入っているのか
ところで、なぜくわいがおせち料理の具材として使われているか知っているだろうか。おせち料理に使われる具材はどれも縁起をかついだものが多い。くわいも「大きく芽を伸ばす」野菜ということから縁起物とされ、おせち料理に使われるようになったそうだ。
2. くわいの栄養と効能

ここからはくわいの栄養成分とその効能について見ていこう。くわいはあまりなじみがない野菜かもしれないが、栄養価が高い注目の野菜だ。ぜひくわいの栄養と効能を知って料理にとり入れてみてほしい。
文部科学省「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」(※2)で公表されているくわいの100gあたりの栄養成分は次のとおりだ。
くわいにはたんぱく質やカリウム、亜鉛、葉酸、食物繊維などが豊富に含まれていることがわかる。では、それぞれの栄養素とその効能を見ていこう。
たんぱく質
たんぱく質は炭水化物や脂質と同様にエネルギーをつくり出す栄養素だ。また、筋肉や臓器、皮膚、髪、ホルモンなどの重要な構成成分でもある。くわいには植物性の良質なたんぱく質が多く含まれているので、すこやかな身体を維持するためにも、ぜひとり入れたい野菜だ。(※1、3)
カリウム
くわいにはカリウムというミネラルも豊富に含まれている。カリウムには浸透圧の作用でナトリウムを尿中へ排出するはたらきがある。ナトリウムと塩素が結合したものが食塩なので、カリウムを多くとることで、塩分の摂り過ぎを調整することができる。(※2、4)
亜鉛
亜鉛はたんぱく質や酵素の構成成分であり、身体を維持するうえで必要不可欠なミネラルだ。亜鉛が不足すると味を感じられなくなる味覚障害が起こったり、たんぱく質やDNAの合成がうまくいかず成長障害を引き起こしたりする可能性がある。日頃から不足に注意したいミネラルだ。(※2、5)
葉酸
葉酸はビタミンの一種でビタミンB12とともに赤血球の合成に関わっており「造血のビタミン」と呼ばれることもある。また、葉酸は身体の発育にも重要な役割を担っている。とくに胎児には欠かせない栄養素である。胎児の葉酸不足は神経管閉鎖障害を引き起こす場合があるため、妊婦は葉酸を積極的に摂るように推奨されている。(※2、6)
食物繊維
食物繊維は、お腹の調子を整えて便秘を改善することでよく知られている。そんな食物繊維には水に溶けるタイプの水溶性食物繊維と水に溶けないタイプの不溶性食物繊維がある。くわいには不溶性の食物繊維の方が多く含まれており、便のかさを増やすことで便通をよくする作用があるといわれている。(※2、7)
3. くわいの選び方と保存方法

くわいは栄養価が高く身体によい効能があることがわかった。ここからはくわいを選ぶときのポイントと保存方法について見ていこう。
くわいの選び方
芽がまっすぐ伸びていてピンとしているものを選ぼう。皮は鮮やかな青色をしていて傷がなくキレイなものを選ぶこと。
くわいの保存方法
くわいを冷蔵庫で保存する場合は、ラップで包み野菜室で保存しよう。常温で保存する場合は水につけて冷暗所で保存するように。
4. くわいの下処理方法と美味しい食べ方

ここからはくわいの美味しい食べ方を紹介する。くわいを美味しく食べるためには丁寧に下処理をすることも大切だ。くわいの調理方法を参考にして、ぜひ家庭でもくわい料理に挑戦してみてほしい。
下処理方法
くわいは皮をむかずに、沸騰させたたっぷりの湯で20~30分茹でる。このときアクが浮いてくるので、こまめにアクを取りのぞくように。表面にひびが入ったら火を止め30分~1時間ほどそのままの状態で冷ます。
一度水を捨て、新しい水に入れ替えてさらに30分~1時間置き、ザルにあげて水気を切る。次に皮をむく。包丁でくわいの底を切り落とし、底から芽に向かって皮をむいていく。芽は1.5cmほど残し、後の部分を落としたら下処理の完成だ。
くわいの煮物
おせち料理に欠かせないくわいの煮物。下処理済みのくわいとクチナシの実、水、酒、みりん、塩などの調味料を鍋で煮込むとできる。クチナシの実を入れることで、くわいに鮮やかな黄色がつき美しく仕上がるのがポイントだ。
くわいの素揚げ
くわいの素揚げもシンプルで美味しい調理法だ。生のくわいを水洗いし皮をむき、180度の油で5~6分ほど揚げる。油をきって塩をふったら完成。ほくほくした食感が美味しい。
くわいチップ
生のくわいを水洗いして皮をむき、スライサーでスライスする。180度に熱した油で色がつきカリッとするまで揚げて油をきる。塩や青のり、カレー粉などお好みの調味料をふって完成。おやつにもおすすめの食べ方だ。
結論
くわいは身体を維持していくために欠かせない栄養素であるたんぱく質やカリウム、カリウム、亜鉛、葉酸、食物繊維が豊富に含まれている野菜だ。おせち料理の具材としての食べ方以外でも美味しく食べることができるので、ぜひいろいろな食べ方でくわいを味わってみてほしい。
(参考文献)
※1出典:農林水産省「令和2年度の地域特産野菜生産状況調査」
※2出典: 文部科学省「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」
※3※4※7出典:厚生労働省
※5※6出典:公益財団法人長寿科学振興財団