1. かつおのたたきと体に悪い食中毒
スーパーなどで手軽に購入できるかつおのたたき。アメリカでは、切ったかつおにごまをふって、ステーキ状にして食べることもあるようだ。
しかし、身の中まで火が通っていないかつおのたたきには、食中毒を引き起こす可能性がある。かつおのたたきが体に悪いといわれている理由のひとつである、食中毒について詳しく見ていこう。
ヒスタミンによる食中毒(※1)
かつおのたたきが原因で発症する食中毒の種類として、ヒスタミン食中毒がある。体に悪い影響を与えるヒスタミンは、食べ物に含まれているヒスチジンと、酵素であるヒスタミン産生菌によってつくられる。
このヒスタミン産生菌は、食品を常温のまま置いておくことで、気づかぬうちに増えていってしまうのだ。一度ヒスタミンがつくられてしまえば、食品を加熱したとしても取り除くことはできない。
ヒスタミンによる食中毒を防ぐために、かつおのたたきを購入した際には常温のまま放置しないよう注意してほしい。万が一、口に入れたときに違和感を感じた場合には、すぐに吐き出して処分しよう。
アニサキスによる食中毒(※2)
アニサキスは、魚などの中にいる寄生虫だ。かつおのたたきと一緒に、このアニサキスの幼虫も食べてしまうことで体に悪い影響を与えるといわれている。
アニサキスによる食中毒の特徴的な症状は、吐き気や嘔吐を伴う激しい腹痛だ。かつおのたたきを食べて数時間後に腹痛を起こした場合には、アニサキスが原因である可能性も考えてみてほしい。
しかし、アニサキスの幼虫は加熱調理での対処が可能だ。アニサキスによる食中毒が心配なときには、中心の温度が60℃以上になるようにして1分以上の加熱をおすすめする。
2. かつおのたたきと体に悪い焦げ
かつおのたたきは、かつおの切り身を火であぶって調理する。かつおが少し焦げた香ばしい香りは、食欲をそそるかつおのたたきならではの魅力だ。
しかし焦げには、体に悪いとされる成分が含まれている。かつおのたたきの焦げがもたらす体への影響を、ぜひ頭の片隅に入れておいてほしい。
焦げの体への影響(※3、4)
かつおのたたきに限らず、焦げは体に悪いといわれている。焦げ部分には、発がんリスクのある成分が含まれているためだ。
長期的に焦げた部分を食べることで遺伝子が傷つき、遺伝子が突然変異を起こしてしてしまう可能性がある。焦げた部分はできるだけ取り除いて食べることで、体に悪い影響を与えにくくなるだろう。
3. かつおのたたきの食べ過ぎが体に悪い
かつおのたたきは、食べすぎによって体に悪い作用を引き起こす場合もある。かつおには、魚のなかでもとくに多くのプリン体が含まれているのだ。食べすぎによる体への影響をチェックしておこう。
プリン体含量が多い魚(※5、6、7)
かつおに含まれているプリン体は、100gあたり210mg程度。一般的に、100gあたりのプリン体含有量が200mg以上あれば、比較的プリン体の量が多い食材だといえる。
プリン体は、1日の摂取量目安が400mgだ。かつおを100g食べると、1日の摂取目安の半分以上を食べたことになる。
プリン体を日常的に摂りすぎると高尿酸血症が起こることもあり、尿路結石や痛風のリスクが高くなるので注意が必要だ。さらには高血圧や高血糖などの体に悪い影響を及ぼす合併症も起こりやすくなる。美味しさのあまり、たくさん食べたくなるかつおのたたきだが、体に悪い影響も出やすくなるため、食べすぎには注意が必要だ。
かつおのたたきを食べすぎないために、あらかじめ購入時に内容量をよく確認しておくといいだろう。ほかの食材に含まれているプリン体の量も考慮し、1日100g程度にしておくことがおすすめだ。
かつおのたたきを柵の状態で購入した場合には、切り方を薄めにしてみてはどうだろう。同じ量でも自分なりに満足感が得られる工夫をして、健康的にかつおの味を堪能してほしい。
結論
かつおのたたきは、食中毒や焦げによる体へのリスク、食べすぎによる痛風への影響などが考えられる。かつおのたたきが体に悪いと聞くと、嘘のような話に感じるかもしれないが、新鮮でないものを口にしたり、極端に食べ過ぎたりするとさまざまなリスクが考えられる。今回紹介した注意点もチェックしつつ、安全に日本ならではの伝統の味を堪能してみてはいかがだろうか?
(参考文献)
※1※5※6出典:厚生労働省
※2〜※4出典:農林水産省
※7出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」