- 腫れや痛みを軽減させる
- 壊死した皮膚の除去に有効
1. パイナップルと食べ合わせが悪いもの
風味に特徴があるパイナップルであるが、とくに食べ合わせが悪い食べ物は実はない。ただし、パイナップルが持つ特殊性がほかの食材との組み合わせによってよくない影響を与える可能性はある。その影響とはどのようなものであろうか。
ゼラチンが使えない
パイナップルは、さまざまな栄養を持っている。(※1)そのうちのひとつ、ブロメラインは、肉を柔らかくする性質を持っているとされている。(※2)しかしブロメラインはゼラチンを分解してしまう特徴を有しているため、ゼリーなどには向かない。またブロメラインは牛乳との相性がよいとはいえず、牛乳のタンパク質を苦味に変えてしまうこともある。(※3)ちなみに、加工済みの缶詰のパイナップルならば、プロメリンは加工の段階でその効力を失っているため問題ない。ブロメラインは、熱に弱いためである。生のパイナップルではゼラチンを使ったゼリーはできないのは、そのためである。ゼリーを作りたい場合は、缶詰のタイプを使用してほしい。
2. パイナップルの栄養素と効能
ダイエットにも用いられることが多いパイナップルには、どんな栄養が含まれているのだろうか。その栄養がもたらす効能とともに紹介する。
主な栄養素と効能
生のパイナップル100g中には、主にこのような栄養が含まれている。(※1)
・タンパク質(0.6g)
生命の維持に必須の栄養素がある。(※4)
・食物繊維(1.2g)
腸内環境を整え、コレステロールや血糖値の上昇を抑える。(※5)
・β-カロテン(38μg)
β-カロテンは体内でビタミンAとなり、粘膜や視覚、皮膚を健康に保つ。(※6)
・ビタミンC(35mg)
コラーゲンの生成に関与し、免疫機能を増強する効能を持つ。(※7)
・カリウム(150mg)
塩分を体外に放出する働きをする。(※8)
・ブロメライン
パイナップルに含まれ、たんぱく質を分解する働きを持つのがブロメラインである。ブロメラインは消化を促進し、腸内の有害な物質を分解する働きがある。(※9)
3. パイナップルの食べ合わせと研究
パイナップルが含有しているタンパク質分解酵素は、まだまだ研究が途上にある物質である。これまでにわかっている点、注意する点を見てみよう。
牛乳アレルギー
パイナップルが有するブロメラインには、次のような効能が認められている。(※10)
いっぽう、牛乳アレルギー等の食物アレルギーを持つ人は注意が必要であることも判明している。とくにパイナップルアレルギーの人や抗生物質を服用中の人は注意が必要である。(※10)心配な方は医師や薬剤師に相談するようにしてほしい。
結論
パイナップルが持つ独特の風味は、食べ合わせが悪い食べ物が多いというイメージがあるようだ。実際には、パイナップルと食べ合わせが悪い食物というのは存在しない。ただし、パイナップルが持つタンパク質分解酵素が、牛乳に含まれるタンパク質と接触することで苦味を生むことはある。さまざまな栄養を含むパイナップルだが、アレルギーを持つ人は摂取に注意が必要であることは覚えておいてほしい。
(参考文献)
※出典1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)果実類/パインアップル/生」
※出典2:経済産業省「パイナップルの逆襲?!」
※出典3:一般社団法人Jミルク「注意が必要な組み合わせ」
※出典4※出典5:厚生労働省
※出典6※出典7※出典8:平凡社世界大百科事典「ビタミン」
https://kotobank.jp/dictionary/sekaidaihyakka/
※出典9:株式会社ドール「パイナップルに含まれる栄養について」
※出典10:厚生労働省「ブロメライン」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」P.165