目次
1. ミネラルの摂りすぎによる影響

ミネラルはバランスよく摂ることが大切だ。食べ物から摂るのが理想ではあるものの、なかなか完璧に摂取できる人は少ないのではないだろうか。平行してサプリから摂取することも現代には必要なことだろう。ここでは、仮に普段の食事からミネラルの摂りすぎになった場合の身体へ与える影響について紹介しよう。
過剰摂取による影響
まずはミネラルの中でも、1日の摂取量が約100mg以上となる主要ミネラル(多量ミネラル)であるナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムについて紹介しよう。
ミネラルの中でも摂りすぎが心配とされているものがナトリウムだ。浸透圧の調整などの働きをするミネラルの一種ではあるが、摂りすぎてしまうことで、むくみや口の渇きなどの症状に加え、高血圧や胃がんなどのリスクが高まるとされている。日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、成人1人1日あたり男性7.5g未満、女性は6.5g未満となっている。(※1)このほか、ミネラルを摂りすぎることで起こりうる症状として、カルシウムであれば鉄や亜鉛の吸収障害や便秘(※2)、マグネシウムであれば下痢や血圧の低下などの症状が現れる。(※3)
また、カリウムは腎機能が低下している場合の過剰摂取などは、四肢のしびれや心電図異常などの症状が現れる場合も考えられるので注意が必要だ。(※4)さらに、骨や歯の発達に不可欠なリンにおいては、加工食品などに多く使われ、摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまう恐れがある。(※5)
ただし、これらの結果はそれぞれ、日本人の1日の推奨量をはるかに上回る量を摂取した場合だ。普段の食事でバランスよく身体にあった量を食べていれば、ミネラルの摂りすぎにはならないことを覚えておこう。
2. 微量ミネラルの摂りすぎによる影響

ミネラルの中には、100mp未満の微量ミネラルに分類される栄養素がある。微量ミネラルはクロム、マンガン、鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、コバルト、モリブデンの9種類があげられる。この中でなじみのある鉄や亜鉛について、それぞれ摂りすぎによる影響などを紹介しよう。
過剰摂取による影響
鉄は、体内で血液中の酸素を運搬する役目を担っている。通常の食事であれば過剰症の心配はないが、サプリなどを摂りすぎた場合は、便秘や胃腸障害などが起こる可能性も考えられる。(※6)
また、味覚を正常に保つ役割などに必要な亜鉛も同様に、通常の食生活であれば過剰症の心配はない栄養素だ。しかし、欠乏すると味覚障害や皮膚炎などを引き起こす可能性を秘めているため、サプリなどで補うこともあるだろう。薬剤などで継続的に亜鉛を過剰摂取した場合は、赤血球の形成を助ける銅の吸収を阻害するおそれがあるので注意しなければならない。(※7)
このほかの微量ミネラルに関しても、健康な人の通常の食事であれば摂りすぎとなることはないだろう。ただし、海藻類のようにヨウ素が含まれている食品を多く摂る場合は例外だ。事例として海藻などを過剰に食べ続けて、甲状腺機能低下や甲状腺腫になった例も報告されているので注意しよう。(※8)
3. サプリでのミネラルの摂りすぎに注意

通常の食事以外で、ミネラルの摂りすぎとなる原因はサプリだ。最後に、サプリでミネラルを摂取する際の注意点をまとめて紹介する。
摂取する場合の注意点
サプリを利用する際は、その目的をはっきりとさせることだ。自分の身体や日々の生活習慣など、目的に合わせてサプリを選ぼう。そのためには、サプリについての知識を身につけることも大切だ。
たとえば、サプリには摂取したい栄養素以外の成分も入っている場合があるため、目的別に選んだとしてもトータルすると栄養素の摂りすぎへとつながる可能性もある。また、サプリの成分によって、摂取するのに最適なタイミングがあることにも注目したい。このほか例外として、汗をかくスポーツをする場合など、発汗で失われる鉄やカルシウム、マグネシウムなどは意識的に補給することで運動後の疲労回復の助けとなる。
サプリの摂りすぎを防ぐため必ず使用量を守り、麦茶やスポーツ飲料などではなく、より効果を高める水がぬるま湯とともに服用することをおすすめする。
結論
ミネラルは食物として摂る必要がある栄養素だ。食事から摂ることが理想ではあるものの、ライフスタイルに合わせてサプリなどうまく利用しながら、無理なく自分の健康・家族の健康の維持に役立てていただきたい。その際はくれぐれもミネラルの摂りすぎに注意しよう。
(参考文献)
※1出典:厚生労働省「ナトリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
※2〜※5出典:公益財団法人長寿科学振興財団
※7※8出典:厚生労働省