目次
1. 酢の摂りすぎによる影響

米酢や黒酢、りんご酢やバルサミコ酢など、さまざまな種類がある酢。それぞれ穀物や果実などの原材料を発酵することで製造されている。酢は生活習慣病予防などによい効果をもたらすことが、研究によって明らかになっている。(※1)しかし、身体によいからといって酢を摂りすぎると身体によくないのでは?と考える方もいるのではないだろうか。結論からいうと、酢は摂りすぎても医学的に問題はみられないとされている。(※1)これは、次項で紹介する1日あたりの酢の推奨摂取量を大きく超える90mlを摂取して検査を行った結果によるものだ。
しかし、酸性である酢を原液で飲むと胃や喉、口内を傷めるため、飲用する場合は水などで5倍以上に希釈するとよいだろう。(※1)(※2)また、酢に含まれる酸には、歯のエナメル質を溶かしてしまうリスクがある。(※3)酢のドリンクなどを摂る際は、歯に酢の酸が長時間さらされないよう、ストローやスプーンで飲むとよいだろう。
そして、酢を摂りすぎたからといって、そのほかの栄養をおろそかにするのはよくない。栄養バランスに気を配りながら、酢を食生活に取り入れてほしい。
2. 酢の摂取目安量

酢の摂りすぎによる身体への影響について解説してきたが、では酢の一日の摂取量はどのくらいがよいのだろうか。
研究によると、生活習慣病のリスク低減には一日に15mlの酢を摂取すると、よい結果が得られたと発表されている。(※1)いっぽう日本人の酢の摂取量は、一日に平均すると5mlほど。健康のためには、酢の摂取量を大幅に増やさなければいけない、摂りすぎではないか?と考える方もいるかもしれない。しかし、酢の物1人前には11~15mlの酢が含まれていることから、それほど多量ではないことが分かる。そのほかにも酢豚やピクルス、南蛮漬けといった酢を使った料理を積極的に取り入れたり、ジュースに果実酢を入れてアレンジしたりすれば、一日の酢の推奨摂取量15mlを継続できるだろう。前項でも解説したように、摂りすぎによって胃や口内に負担をかけるおそれもあるため、摂り方には注意しよう。
3. 酢から得られる効能

最後に酢の主成分「酢酸」が身体へもたらす、主な効能について解説しよう。
疲労回復効果
酢には、仕事やスポーツ後の疲労を回復する効果があるといわれている。(※2)身体に疲れを感じるのは、体内に乳酸という物質が溜まることが原因の一つ。酢を摂取すると乳酸の分解が行われることが分かっており、(※2)プロスポーツ選手がトレーニングや試合のあとに酢を摂っているケースもみられる。
疲れを感じやすい方は酢を積極的に取り入れてみよう。摂りすぎが気になる方は、料理のアクセントに使うのもおすすめだ。
糖尿病・肥満防止効果
ダイエットや糖尿病予防のために、血糖値を意識している方も多いのではないだろうか。
酢には、食後の血糖値が急激に上昇するのを抑える効果があるという研究結果が出ている。(※2)カロリーの摂りすぎに注意し、酢の物やピクルスのような酢を活用した野菜料理を摂ったり運動を習慣化したりと、健康的な生活を意識することで糖尿病・肥満防止効果が期待できるだろう。
飲酒時の血中エタノール濃度の上昇を遅らせる
酢には、飲酒時の血中エタノール濃度の上昇を抑える効果がある。(※2)飲酒の前か飲酒の間に酢を摂取すると、酔いが回るのを軽減してくれるだろう。
酢を使ったおつまみとともにゆっくりとお酒を飲むことで、アルコールの摂りすぎと深酔いを予防できるはずだ。
結論
酢の摂りすぎによる身体への影響をはじめ、期待できる効能について紹介した。毎日継続して摂取することで疲労回復や肥満防止、深酔い防止などの効能が期待できる酢。しかし、酢が持つ酸は胃や口内の負担になるため、水などで薄めたり料理に活用したりと工夫してほしい。爽やかな酸味を楽しみながら、酢が持つパワーを生活に取り入れよう。
(参考文献)
※出典1〜※出典3:国立研究開発法人 科学技術振興機構