目次
1. ごま油の摂りすぎによる影響

売られているごま油には、焙煎した茶色いごま油と焙煎していない無色の太白ごま油の2種類がある。どちらも原料の多くは白ごまが使われており、油の成分の違いはほとんどない。
脂質の主要構成要素である脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに大別される。さらに不飽和脂肪酸にはごま油に多いリノール酸(オメガ6)、魚に多いDHAやαーリノレン酸(オメガ3)、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸(オメガ9)などがある。その中でもオメガ6とオメガ3は、体内でつくり出せない必須脂肪酸であるため、食品から摂る必要があり、厚生労働省が定める食事摂取基準で目安量が設定されている。(※1)
これを踏まえたうえで、ごま油を摂りすぎた場合の身体への影響をみていこう。
過剰摂取の影響
過剰摂取の影響としては、肥満の原因となる可能性があるという点だ。ごまは、ダイエットに効果的な食材といわれることもあり、ほかの油よりもヘルシーなイメージがあるかもしれない。しかし、ごま油のカロリーもオリーブ油・調合油・大豆油と同等の9kcal/1gである(※2)(※3)(※4)(※5)。そのため、ほかの油と同様、摂りすぎると肥満の原因になることも把握しておこう。
2. ごま油の摂取目安量

ごま油の摂りすぎによる身体への影響は分かったが、適正量はどれくらいなのだろうか。
一日の摂取量
厚生労働省が定めるオメガ6系脂肪酸の目安量は以下の通りだ。(※1)
【男性】
0~2歳 4g
3~5歳 6g
6~9歳 8g
10~11歳 10g
12~14歳 11g
15~17歳 13g
18~29歳 11g
30~64歳 10g
65~74歳 9g
75歳~ 8g
【女性】
0~2歳 4g
3~5歳 6g
6~9歳 7g
10~11歳 8g
12~17歳 9g
18~74歳 8g
75歳~ 7g
ごま油を炒め物などに使用していた人は、摂りすぎていたと感じる人も多いだろう。ごま油は長時間加熱すると香りが飛びやすいため、香りを強くしようと多量に使ってしまうことも。ごま油を摂りすぎないためにも、料理の仕上げに回し入れるようにすれば、ごま油の香りとコクで塩分控えめな料理も美味しく感じられるのでおすすめだ。
また、外食や加工食品でもリノール酸が使用されていることが多く、オメガ6系脂肪酸を知らず知らずのうちに摂取していることも考慮すると、過剰摂取に繋がる恐れがあることも覚えておこう。
3. ごま油の機能と特徴

ごま油を摂りすぎた場合の影響について紹介したが、適正量を摂れば健康効果を得られる食材でもあるのだ。
主な効果
ごま油には、ゴマリグナンという特有の成分が含まれている。ゴマリグナンとは、セサミン・セサミノール・セサモールなどの成分の総称のこと。ゴマグリンには抗酸化機能があり、生体内に入ると、老化をはじめさまざまな疾病を予防できると考えられている(※6)。
とくにゴマリグナンの効果が発揮されるのは、代謝・排出作用のある肝臓だ。ゴマリグナンによって肝臓の活性酸素を減らすことができれば、アルコールの分解、脂肪燃焼、老廃物の排出もしやすくなる(※7)。
ほかにも、オレイン酸により血中悪玉コレステロール値を下げる働きが期待できる(※8)。
結論
ごま油に対して、健康的なイメージを持っていた方も多いだろう。しかし、過剰摂取は肥満の原因となり、生活習慣病の誘発因子となる。ごま油の効果効能をしっかりと得るためにも、ごま油の目安量を守りながら上手に料理に取り入れていただきたい。
(参考文献)
※出典1:日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書151頁
※出典2〜※出典5:文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/
※出典6:農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター ゴマリグナン類の機能性
※出典7:ごま | 成分情報 | わかさの秘密
※出典8:日清オイリオグループ株式会社 OIL 表1 3