目次
- カプセルや錠剤の形態で摂取する
- できるだけ歯に触れないように、素早く飲み込む
- ちびちび時間をかけて飲まない
- 摂取後はうがいをする
- ※出典1:健栄製薬 クエン酸のよくあるご質問 | 一般向け製品情報 | 健栄製薬 URL: https://www.kenei-pharm.com/
- ※出典2:一般社団法人日本スポーツ栄養協会
- サイト名:クエン酸ナトリウムの副作用対策と効果の最大化につながる摂取方法の検討 | スポーツ栄養Web【一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト】 URL: https://sndj-web.jp/news/000430.php
- ※出典3:科学技術振興機構(JST)
- サイト名:J-STAGE 酸と pH の種類および浸漬時間によるエナメル質の硬度への影響 URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdh/65/1/65_KJ00009814745/_pdf
- ※出典4:消費者庁
- サイト名:様式Ⅰ:届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け) URL: https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41908090040100
- ※出典5:国立研究開発法人科学技術振興機構
- サイト名:直接的にパフォーマンスを向上させるサプリメントの科学的根拠 URL: https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/info/doc/JHPS/jhps5_93-105.pdf
- ※出典6:公益社団法人 日本栄養・食糧学会
- サイト名:日本 栄 養 ・食 糧 学 会 誌 URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/54/1/54_1_29/_pdf/-char/ja
- ※出典7:公益財団法人 日本医療機能評価機構
- サイト名:Mindsガイドラインライブラリ URL: https://minds.jcqhc.or.jp/n/cq/D0003092
1. クエン酸の取りすぎによる副作用

健康効果が期待されるクエン酸だが、取りすぎると影響があるのだろうか?ここでは、クエン酸を取りすぎた場合に起こる可能性がある副作用について紹介しよう。
吐き気
クエン酸は一度にたくさん取りすぎてしまうと胃に負担がかかり、吐き気や食欲不振、腹部膨満感などの消化器症状を起こす可能性があるので注意が必要だ。また、胃の調子が悪いときや空腹時には、気持ち悪いなど不快な症状が出やすい。空腹時などを避けて服用し、胃に負担がかからない工夫をするとよい。(※1)(※2)
副作用としての消化器症状は、摂取から約2時間は発生しやすく、2時間半を過ぎる頃には落ち着いてくるという研究報告がある。このことから運動時の体調不良を避けるうえで、クエン酸を摂取するタイミングは、運動する約3時間前の摂取がベターだといえる。(※2)
歯が溶けやすくなる
クエン酸を摂取する場合、水に溶いて飲む場合が多いだろう。ところが、クエン酸は水に溶けると強い酸性を示す液体となる。酸性の液体は、酸蝕症(さんしょくしょう)といって、歯のエナメル質を酸によって溶かしてしまう症状を引き起こす。(※3)
酸蝕症は歯がしみやすくなったり、変色したりして歯の健康を害してしまう。そこで、クエン酸を摂取する際には、酸蝕症を引き起こさないような工夫が必要だ。
酸蝕症を予防するには、「歯が酸にさらされる時間をできるだけ減らすこと」がポイントとなる。酸蝕症のリスクを下げるクエン酸の取り方は以下の通りだ。
クエン酸は粉末を水に溶かしたもの以外にも、レモンなどの果物や柑橘系のジュース、炭酸飲料に含まれている場合があるため、これらの飲料も取り方には気を付けよう。
2. クエン酸の取りすぎになる量

多量に摂取すると胃腸障害や酸蝕症のリスクがあるクエン酸だが、摂取許容量は設定されているのだろうか?ここでは、クエン酸の取りすぎとされる量や、適切な量について解説していこう。
摂取許容量は制限していない
結論からいうと、クエン酸の摂取許容量は明確には定められていない。
食品添加物のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議による評価においては、クエン酸の一日摂取許容量を「制限しない」としている。また、健常者にクエン酸を摂取させた2つの臨床試験(1:クエン酸2.7g/日を12週間摂取、2:クエン酸8.1g/日を4週間摂取)においても、安全性に問題がなかったとの報告からも、クエン酸を上記の範囲では取りすぎの心配はいらないといえる。(※4)
ただし、たくさん取れば取るほど効果的である訳ではないので注意したい。
アスリートを対象とした研究結果によると、クエン酸を摂取することでパフォーマンス向上の効果を得るためには、最低でも0.3g/kg(体重)の摂取が必要であるとされる。また、0.5g/kg(体重)を摂取したときには、2~4 分間の運動のパフォーマンスが 12% 増加したが、さらに高容量0.7-0.9g/kg(体重)の摂取したときには血中を酸性に保つ効果は増強せず、副作用の胃腸の不調が増加したという報告がある(※5)。このことから、取りすぎは副作用が増すため注意が必要だということがわかる。
3. クエン酸の効果効能

酸っぱいものは身体によさそうだからと、漠然とクエン酸を摂取している人もいるだろう。クエン酸には、実際にどのような健康効果があるのだろうか。
期待される効果
クエン酸は、疲労物質を分解することにより、疲労回復や筋肉痛の軽減に効果的といわれている。(※6 )
また、クエン酸は激痛で知られる腎結石・尿管結石の発症や予防、再発に役立つといわれる。腎結石・尿管結石は再発率も高いため、再発予防が大切だ。
クエン酸は結石の原因物質であるシュウ酸カルシウムなどの結晶化を抑制するため、カルシウム結石の再発予防に役立つ。さらに、尿が酸性に傾くことを改善するため、尿路結石の再発予防に有効なのだ(※7)。
クエン酸は黒酢、梅干し、柑橘類といった食品からの摂取も有効なので、これらの食品を積極的に取り入れることも考慮したい。
ただし、前述したように取りすぎも副作用が増すばかりで意味がない。アスリートを対象にした実験では、高容量の摂取が必要との報告があった(※5)。しかし、高付加の運動をしない人が日常的にクエン酸を摂取する場合には、少し慎重になった方が安心だろう。長期に摂取する場合も、安全であるとの臨床試験結果がある1日に1g~2.7gくらいにとどめ、取りすぎは避けるのがおすすめだ(※4)。
結論
クエン酸は、忙しい人や身体を動かす人の強い味方であることが分かった。クエン酸の摂取許容量は明確には定められていないが、取りすぎれば効果が高いというものではない。副作用を避けるためにも適量を守り、摂取することが大切だ。クエン酸を上手に取って、疲れを持ち越さず元気な毎日を過ごそう。
(参考文献)