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牛乳

牛乳がからだに悪い?ヒトに有害という主張と反論について解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2022年11月25日

多くの人は、牛乳はカルシウムが多く健康的な食品というイメージを持っているだろう。しかし中には牛乳がからだに悪いと主張する専門家も存在する。果たしてその主張はデマなのだろうか?具体的な主張内容や牛乳関連団体による反論を一部紹介しよう。

  

1. 牛乳がからだに悪いという主張

牛乳
牛乳は一般的にカルシウム豊富な栄養価の高い飲み物として知られており、常備してある家庭も多いだろう。コーヒー牛乳やバナナ牛乳などの乳飲料も人気だ。厚生労働省も、牛乳や乳製品をカルシウムの含有量・吸収率ともに優れた食品として位置づけ、積極的に摂取するよう示している。(※1)
しかしその価値観に一石を投じるのが、牛乳はからだに悪いとする見解だ。

注目を集めた本

牛乳がからだに悪いという主張は、2005年に新谷弘実が著した『病気にならない生き方』をきっかけに注目された。新谷弘実は世界的権威がありアメリカでも有名な胃腸内視鏡外科医だ。著書では自身の臨床経験をエビデンスとして、牛乳がからだに悪い影響を与えることを主張している。ほかの医師や専門家などからも、同じように牛乳がからだに悪いと訴える声は少なくない。牛乳の効果について科学的根拠を示す学術論文は数多くあるため、酪農や牛乳の関連団体からは反論が起こっている状況だ。

2. 牛乳が骨を弱くするのでからだに悪い

牛乳
牛乳が骨粗鬆症につながる可能性があるという。もし事実であれば、カルシウム豊富な牛乳が骨にいいと思って飲むことは逆にからだに悪いということになる。

骨粗鬆症になりやすい

骨粗鬆症とは、古い骨の吸収と新しい骨の形成が行われる骨代謝のバランスが崩れ、骨がもろくなった状態のことだ。カルシウム不足などが原因で起こる。(※2)牛乳を飲むと骨粗鬆症になると主張する理由は、牛乳に含まれるたんぱく質やリンが体内のカルシウムを排出してしまったり骨代謝を乱したりするためだ。
対して反論では、たんぱく質と骨粗鬆症の因果関係は認められないとしている。からだに悪いどころか、むしろ骨の形成や維持には十分なたんぱく質の摂取が必要であり、牛乳は骨粗鬆症予防に効果的という見解だ。(※3)
リンに関しても問題としていない。カルシウムとリンは互いに影響し合っており、リンを摂りすぎると体内のカルシウムが排出されてしまうためからだに悪いのは事実だ。そのためカルシウムとリンの1日の摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされている。(※4)
牛乳1本(200g)当たりの含有量はカルシウム:220mg/リン:190mg(※5)であり、比率は1:約0.9とバランスに優れる。さらに日本人の食事摂取基準(2020年版)におけるリンの推奨1日摂取量(18歳以上の男女)は男性1000mg/女性800mg(※6)であるため、通常の飲み方では牛乳だけで過剰摂取になることは考えづらく、骨粗鬆症にはつながらないとしている。

3. 牛乳は加熱殺菌するのでからだに悪い

牛乳
牛乳は食品衛生法によって加熱殺菌することが定められている。絞った生乳は細菌などの微生物が含まれているが、加熱殺菌によりほぼ死滅させることで安全に飲用できるのだ。しかし加熱殺菌を行うことで、からだに悪い影響があるという。

乳脂肪の酸化と酵素

日本の牛乳の約9割は超高温瞬間殺菌という方法で処理されるが、加熱殺菌することで乳脂肪が酸化されてからだに悪いという見解がある。乳脂肪とは牛乳に含まれる脂質のことで、牛乳のコクや香りにも関係する。特濃や濃厚といった表示がある牛乳は、一定以上の乳脂肪分を含むものだ。脂質が酸化すると、変色して味が落ちたり下痢の原因になったりするため、からだに悪い。ただし酸化が起こるには酸素が必要だ。加熱殺菌は密閉装置の中で行われるため、一般社団法人Jミルクなどの酪農関連団体は、加熱殺菌の過程で乳脂肪の酸化が起こる可能性は極めて低いと説明している。
また、加熱殺菌によって牛乳に含まれる酵素が死ぬためからだに悪いという主張もある。酵素とはたんぱく質が主体の物質で、生物の細胞内で合成される。消化、吸収、代謝などあらゆる生命活動において必要だ。(※7)
対する反論は、そもそも牛乳などの食品から酵素を摂る必要性はないため関係ないという見解だ。食品から酵素を摂取しなくても、ヒトの生命活動に必要な酵素は体内で生成される。そのため、加熱殺菌によって牛乳内の酵素の活性が失われることは事実だが、そのことに大きな栄養学的意味はないとしている。

4. 牛乳はヒトのための食品ではないからからだに悪い

牛乳
牛乳は本来、牛が仔牛に与える母乳だ。ヒトが摂取するためのものではないため、牛乳を飲むとからだに悪い影響が生じるという考えがある。からだに悪いのは「乳糖不耐症」の人が多いのが理由だ。

ヒトが食べる目的で作っていない

牛乳を飲むと腹痛が起こることはないだろうか。乳糖不耐症はアレルギーとは異なり、牛乳に含まれる乳糖を分解する消化酵素が少ないために、牛乳を飲むと下痢や腹痛などからだに悪い影響が起こる状態だ。一般に大人になるにつれて消化酵素の分泌量が減るため、子どもより大人が起こりやすい。(※8)
対する反論は、調査の結果、乳糖不耐症が原因でお腹を壊す人の割合はそれほど高くないという。また乳酸菌やビフィズス菌が乳糖の分解に役立つため、腸内環境を整えることで乳糖不耐症の症状は軽減できるとしている。(※9)

結論

牛乳がからだに悪いかどうかはヤフー知恵袋などインターネット上で話題になるほど注目度が高く、牛乳の効果に関して学術論文も多数存在している。今回紹介したのは議論の一部だが、牛乳を飲むか迷いのある人は判断するための参考にしてほしい。
(参考文献)
※出典1※出典2:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
※出典3:一般社団法人Jミルク
「ウワサ31 たんぱく質を摂りすぎると骨粗しょう症になる? | 一般社団法人Jミルク Japan Dairy Association (J-milk)」
※出典4※出典7:公益財団法人長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/
※出典5:厚生労働省
「乳類/<牛乳及び乳製品>/(液状乳類)/普通牛乳 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類」
※出典6:厚生労働省
「02_各論_1-7_ミネラル_1_cs6_0116.indd」P45 ?
※出典8:長野県医師会
「「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」|一般社団法人長野県医師会公式サイト」
※出典9:一般社団法人Jミルク
「ウワサ16 日本人のほとんどは、牛乳を飲むとおなかをこわす | 一般社団法人Jミルク Japan Dairy Association (J-milk)」
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  • 更新日:

    2022年11月25日

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