目次
- ※1出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://fooddb.mext.go.jp/
- ※2、5、6出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/
- ※3、7~10、12出典:日本バナナ輸入組合 https://www.banana.co.jp//a>
- ※4出典:日本臨床栄養協会「New Diet Therapy(vol.37 No.3)」(2021年) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcna/37/3/37_3/_pdf/-char/ja
- ※11出典:日本栄養・食糧学会「日本栄養・食糧学会誌 (第61巻 第3号)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/61/3/61_3_129/_pdf
1. バナナが体調に与える影響と健康

バナナの主要な栄養素は炭水化物だが、糖質だけでなく食物繊維も含む。また、カリウムやビタミンB6の含有量が多いという特徴がある(※1)。
そのため、バナナを継続して食べると、下記のような体調の変化が出ることが考えられる。
便秘の解消
便秘の予防や解消には食物繊維の作用が有効だ。食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に大きく分けられる。水溶性食物繊維は便をやわらかくする働き、不溶性食物繊維は便のかさを増す働きをもつため、便秘解消には両方をバランスよく摂取する必要がある。バナナにはどちらの食物繊維も含まれるため、便秘解消に効果的といえる。また、バナナに含まれるフラクトオリゴ糖も便秘改善に役立つ(※2、3)。
バナナを4週間食べることで、便通が促進される可能性が示唆された研究結果も出ている(※4)。バナナの継続的な摂取は、便秘体質が変わる効果も期待できるだろう。
血圧の降下
バナナに含まれるカリウムには、ナトリウムの再吸収を抑制し尿中への排泄を促す働きがあるため、血圧を下げる効果が期待できる(※5)。また、水溶性食物繊維もナトリウムの排出に関与するため、高血圧の予防に役立つ(※2)。さらに、バナナに豊富なアミノ酸の一種であるGABAにも、血圧の降下を促す作用がある(※4)。
バナナの4週間摂取には、高めの血圧を下げる効果が期待できることが研究でもわかっている(※4)。3つの栄養成分の働きにより、高血圧気味の体調が改善されるかもしれない。
免疫力を高める
バナナに含まれるビタミンB6は、主にアミノ酸代謝に関与する補酵素として働く栄養素だ。免疫機能の正常な働きを維持する作用があり、バナナ1本(約100g)を食べると、1日あたりの推奨量の約27~35%を摂取することができる(※1、6)。
また、マウスを用いた実験により、バナナには腫瘍細胞を壊死させる作用のあるTNFの生産量を増やす効果が高いことや、がん腫瘍の増殖を抑える効果があることが示唆されている(※7)。ヒトの免疫力への効果についても、研究の発展が期待される。
2. バナナが体調に与える影響と美容

バナナは体調の改善や健康維持だけでなく、美容にも効果が期待できる。考えられる代表的な影響は下記の通りだ。
ダイエット効果
バナナに含まれる食物繊維が便通を促す作用は、ダイエットにも役立つ(※1、2)。また、ビタミンB群、メチオニンやリジン(必須アミノ酸)、ビタミンEもエネルギー代謝や脂肪燃焼に関与する(※1、8)。
また、肥満は貧血リスクを高める要因となることが研究によりわかってきたが、バナナの摂取は肥満者の貧血リスクの抑制に効果的であることも示唆されている(※9)。体調を崩さずに健康的にダイエットするためにも、バナナは役立ちそうだ。ただし食べ過ぎてしまうと太る可能性がある為、食べる量には注意しよう。
肌への影響
バナナを2週間継続して食べたところ、肌の水分量や弾力が向上したという実験結果が報告されている。また、アンケートにより肌がかさかさしなくなったという感想も見られた(※10)。ただし、被験者が3家族に限られた実験結果のため、バナナの肌への影響に関しては今後の研究にも期待が寄せられる。
精神安定効果
バナナに含まれるGABAには精神安定作用があるといわれており、経口摂取にリラクセーション効果を得られることが研究で示唆されている(※11)。また、バナナの4週間摂取により疲労感や緊張感が改善されたというアンケート結果が出たほか、バナナによる精神安定作用には、GABA以外の成分も関与している可能性が見出されている(※4)。
3. バナナに期待される健康作用

バナナの主要栄養素である炭水化物は、エネルギー源として働く(※1、12)。皮を剥いてすぐに食べられるバナナは、手軽にエネルギー補給できる食品といえる。とくに、時間がなく朝食を抜きがちな人は、バナナを食べてエネルギーを補うことが、体調を健康に保つのに役立つだろう。
脳の働きを活性化
バナナにはさまざまな糖類が含まれるが、とくにブドウ糖は脳のエネルギーとして欠かせない。また、必須アミノ酸のトリプトファンは、脳の働きを活性化させるといわれるセロトニンを合成する(※1、12)。
また、バナナの摂取と集中力の関連を調べた実験結果によると、2週間摂取後に子供の100マス計算にかかる時間が短縮したという報告や、摂取15分後に計算速度がアップしたという報告が見られた(※10)。バナナを食べることは、集中力の向上にも効果が期待できる。
結論
バナナは手軽にエネルギー補給できる食品であるのに加え、便秘の改善や高血圧の予防など、体調を整えるための健康効果も期待できる。さらに、美容や精神安定、集中力の向上にも役立つことが示唆されている。バナナを上手に食生活に取り入れることは、体調や心を健やかに保つことにもつながるのではないだろうか。
(参考文献)
監修管理栄養士:児玉智絢
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士免許を取得。食品メーカーの商品開発などを経験後、フリーランスとして栄養・健康分野の記事監修を中心に活動中。
監修医師:鈴木 幹啓
経歴:自治医科大学卒業後/三重県立総合医療センター/三重中央医療センター/三重病院/伊勢赤十字病院/紀南病院で勤務後、平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。株式会社オンラインドクター.comのCEOも兼務