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4つの椎茸

椎茸の菌床栽培と原木栽培の違い!気になる産地表記を解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2023年1月30日

椎茸などのきのこ類は菌類の仲間である。また、椎茸は菌床栽培と原木栽培の2種類の方法で作られている。椎茸の菌とはどのようなものなのか、また、実際にどのように作られているのか解説していく。椎茸やきのこについての理解を深めよう。

  

1. 椎茸は菌糸の塊

木に生えた椎茸
椎茸を含むきのこ類は、カビのような菌糸が集まってできている。椎茸の軸もかさも、すべて菌糸で作られているのだ。菌糸とは微生物の真菌類が作る糸状の物質で、それが集積し肉眼で見えるようになったのがきのこである。
自然界では、きのこは胞子を作るための器官として生長する。胞子が飛散し落ちた先で発芽すると、菌糸体ができる。その後、菌糸が密に集合し原基が作られ発達すると、新たなきのことなり増え続けていく。(※1、2)

坦子菌類について

きのことなる菌類は、ほとんどが子嚢菌類か担子菌類である。椎茸は担子菌類に分類され、松茸やエリンギ、えのき茸なども同様だ。この2つのグループの違いは、胞子の作り方である。担子菌類とは、担子器という構造の外側に胞子ができる菌類だ。
一方、子嚢菌類の胞子は、袋状の器官(子嚢)の内部に作られる。食用きのこでは、トリュフやアミガサタケなどが該当する。(※1)

2. 椎茸は菌床栽培と原木栽培で作られる

栽培中の椎茸
現在、椎茸の栽培方法には菌床栽培と原木栽培の2種類がある。それぞれの栽培方法による作り方には大きな違いがあり、できた椎茸にも異なる特徴が出る。

菌床栽培と原木栽培について

椎茸栽培は江戸時代頃からはじまったといわれている。原木栽培は昔ながらの栽培方法で、当初とやや変わった部分もあるが自生に近い作り方である。一方、菌床栽培はより人工的な栽培方法で、現在は椎茸生産の約8割を占めているという。2つの栽培方法やそれぞれの椎茸の特徴など、さらに詳しく見ていこう。

【原木栽培とは】

コナラやクヌギ、シイなどの原木を1mほどに伐採し、椎茸菌を植え付ける菌打ちを行う。その後、原木の養分を摂らせながら自然のなかで育てる方法である。椎茸栽培がはじまった当初は、原木に傷を付け胞子が付着するまで待つという方法だったが、昭和になり菌打ちを行う栽培方法に変わったそうだ。
菌打ちから収穫まで約2年を要することと、気候など環境により収穫が左右されることなどデメリットもあるが、原木栽培では味や香りのよい肉厚な椎茸ができる。一般的には干し椎茸として流通するものが主流で、高価格で販売されている。

【菌床栽培とは】

おがくずに米ぬかやふすまなどを混ぜ、ブロック状に固めた菌床に椎茸菌を植え付けて栽培する方法だ。原木栽培が自然のなかで育てるのに対し、施設内にて温度や湿度を管理しながら育てるため、一年中安定して収穫できるというメリットがある。また、栽培期間も3~6ヵ月程度と短く大量生産も可能だ。スーパーなどで安価で販売される生椎茸は、ほとんどが菌床栽培で作られたものである。
原木栽培の椎茸と比較すると色が薄く風味も劣るといわれてきたが、最近は改良により菌床栽培でも風味のよい椎茸が作られるようになってきている。

3. 椎茸の菌床と産地表記

トレーに並べられた椎茸
椎茸の菌床栽培が主流になり、商品として販売される際に産地の表記について問題が出てきた。海外から輸入した菌床を用いて国内で収穫した椎茸を、国産と表記してよいのかという問題である。椎茸などのきのこ類の形成には培養初期段階の環境が重要なため、消費者が安心して商品を選べるよう、下記のように表記方法が見直されている。

原産地と収穫地

令和4年3月30日に、消費者庁の「食品表示基準Q&A」が改正された。それにより、椎茸の商品表記は「原産地=植菌地」と定められた。海外で植菌し国内で収穫した椎茸の場合は、原産地は海外ということになる。原木栽培で海外の原木に菌打ちした場合も同様だ。
また、収穫地の表記は任意とされ、原産地と異なる場合は列記されている商品もある。椎茸のパッケージなどに表記されている原産地は、植菌された場所のことと覚えておくとよいだろう。(※4、5)

結論

椎茸は、菌糸が集まってできたものだ。現在は菌床栽培が主流だが、国内ではより手間や時間のかかる原木栽培を守り続ける産地も少なくない。菌類である椎茸などのきのこは、植菌された環境により品質が左右されるという。原産地もチェックしながら、さまざまな椎茸を食べ比べてみてはいかがだろう。
(参考文献)
※1出典:農林水産省 aff(あふ) 2021年10月号「不思議がいっぱい!きのこの生態と豆知識」
※2出典:東京都福祉保健局「キノコの基礎知識」
※4、5出典:林野庁
※4:しいたけの原産地表示について  消費者の皆様へ
※5:しいたけからの大事なお話

監修管理栄養士:黒沼祐美

経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。
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  • 更新日:

    2023年1月30日

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